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ハラル給食【復習】

音声配信「偏見と考察」を更新した。ぜひとも聞いてね。
以下、文章での基本知識まとめ。

参考文献


※この記事は基本無料で読めます

音声配信「偏見と考察」にてハラル給食を扱ったので、その際に学んだことと考えたことの備忘録。はっきり言って、喋るよりこっちのほうが得意である。

そもそもハラルとはなんなのか

ハラル(もしくはハラール)とは「イスラーム法(シャリ―ア)によって許されている物事」を指す。対義語は「ハラーム」すなわち「禁じられている物事、不法な物事」。
ハラルなのか、ハラームではないのか微妙なもの、疑わしいものは「シュブハ」と呼び、基本的には避けた方が良いものである。
しないほうが望ましい忌避行為は「マクルーフ」。たとえば離婚や喫煙。忌避もハラールの一部である。(ハラームではない)

ハラル認証という言葉が一人歩きして、ハラル=豚NG、みたいに思いがちだが、ハラル/ハラームの区別は日常の諸行為にもある。
たとえば泥棒、汚職、婚外性交など……これだけみたらキリストも似たようなものである。

食べ物と飲料の禁忌

でもやっぱり今回問題となるのは「食」なのである。婚外性交はともかく(⁉)、泥棒とか汚職は世界中どこで見ても「よくないもの」として根付いているからみんな縦に首を振ってくれるだろうけど、なにを食べてよいかいけないかについては「安全に食えるか否か」以外の視点は人類共通ではないと思っておいた方がいいだろう。それは我々の生存に密接に関わることだから、食ってはいけないと言われていようが飢えていたら同胞でも食ってしまうのが人間であり生き物なのだ。こればっかりは意見が割れて当然だろう。
以下はイスラムにおける食べ物と飲み物の禁忌である。

食べ物

  • 死肉(イスラーム法に則って正しく屠畜されていない肉)

  • 流れ出た血

  • 豚肉

  • 唯一神以外の神に捧げられたもの(⁉)

飲み物

  • アルコール(ただし食の禁忌に比べればかなり温度差があるので、酒をたしなむムスリムもいるっちゃいる。時代が下るにつれて禁忌が厳しくなっているそうな)

アッラーって唯一神なんだから、唯一神以外の神ありきで話が進んでいるのはおかしくないかと僕は思わず驚いたのだけれど、クルアーンをちらと読むと「啓典の民」としてユダヤとキリストのことも書いてあったから、まあいいのか。世界観的な話だから放っておこう。

ハラム以外は全部ハラルなので、消極的条件であるハラムだけに着目すれば彼らの食べいいものといけないものの区別はつく。

具体的なもので言うと、豚肉、味噌、醤油、ソーセージ、アイスクリーム、ベーコン、シャンパン、ビール、などなど……。

動物の屠畜

陸の動物の場合は、屠畜方法が決まっているらしく、神の名を唱えてから鋭利な物で喉元を切るか突くかで出血させて殺すのだそうだ。

水産物は地域差が激しい

ことシーフードに関しては宗派と学派でいろいろ解釈がわかれているらしい。
これまた全部引用するわけにもいかんのでざっくり説明すると、スンナ派のシャーフィイー学派とハンバル学派ではうなぎは食べていいが、水陸両方で生きるもの(蛙とか鰐とか)はハラームである。一方マーリク学派ではうなぎはハラーム、蛙は食用とされることもある。
またスンナ派のハナフィー学派とシーア派では鱗のある魚は食べるが、タコ、イカ、うなぎはハラームである。

面倒であれば「鱗のある魚はどこの派閥でもハラール」と覚えていていいだろう。

ハラール認証をとったからとて安心してはならん

2024年現在、ハラル認証に世界統一規格はない。ハラル認証機関にはレベルがさまざまあって、玉石混交なのだという。
上記で見てもらった通り、派閥によっても食べいいものとよくないものがわかれているので、ハラル認証とったぜ!これで安心だぜ!油断していてはどこでなにが起こるかわからない。注意が必要である。

インドネシア味の素事件

ムスリムが多いインドネシアにおいて、日本の味の素がハラール認証を取得して販売していたのだが、これが実はハラールではなかったということで、現地法人の社長やら役員やらが逮捕、拘束されたという事件である。詳しいことは文献などでご参考願いたいが、要は味の素側は結構ハラールに配慮して植物性の培地を使っていたんだけれども、製造過程で豚由来の酵素を触媒として使用していたとかなんだかで、商品そのものには豚要素は一切入っていないのに取っ捕まったという話である。


以下、わたしの個人的考察……。読みたい人だけ読んでね。

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