一度嫌いになってしまったものは二度と好きになれない~推し活とは
志おんは飽きっぽい人間である。
すぐ飽きて新しいものに目移りする。
そして嫌いになったら嫌なところがとことん目に付くようになってしまう人間でもある。
一昨年の10/31、志おんはとある男性に恋をした。
所謂「推し」。
自分よりもはるかに若く、しかしながらしっかりしていて演技もそこそこ上手い。顔もとても好みである。
もっとものきわみ、最&高である。
彼のインスタやらツイッターは毎日更新を確認したし、調べられることは全て調べた。
見に行った舞台の千秋楽を迎えた後も、出演の情報がないかチェックしていた。
まだ駆け出しの新人なのだろう、過去の出演作も1作品しかない。
けどしっかりセリフのある、そしてキャラ立ちした役ををもらって舞台の一員になっていたわけだ。若いのにすごい!可愛い!そんなことばかり考えていた。
しばらくして、彼のバースデーイベントが行われるという情報が入った。これは行くしかない。
帽子が好きだということでトミーフィルフィガーで可愛い帽子を買ってプレゼントにもっていった。
当日には髪もセットしてもらって、最高な自分に仕立ててもらった。
いざ、イベント。90分。体感時間は5分。
帰りにはイベントTシャツの物販に立つという。イベント開始前に買っちゃったじゃねーか、まあいいか。そんな思いで物販に行く。
大きい、細い、かっこいい、声がいい、肌がきれい。
この世の称賛はすべて彼の為にあるんじゃないかと思ったほどだった。
ちょっとだけお話をして、買ったプレゼントをお渡しして
「これからも応援してます」と半泣きで伝えた。
志おんは嬉しいとすぐ泣くのだ。
帰りの新幹線は天にも昇る気持ちだった。
その後、ファンクラブの発足があったり(勿論迷うことなく即入った)、小さいが舞台が決まったというので、見に行かないわけにはいかないとチケットも即購入した。
これが世に言う推し活か、楽しいな!!そう思っていたが。
コロナ禍が世間を襲う。
舞台は勿論中止、そのあとの予定も未定。
世間のイベントはすべて中止。
落ち込むとかそういうものじゃない。
水を与えてもらえない植物は枯れるしかない。
そういう事だった。
落ち込む中で、なんとか彼もイベントをやろうとzoomを使ったファンミーティングを開いてみたりyoutubeのチャンネルを作ったり、頑張ってくれていた。
1回目の落ち着きを見せた6月ごろだったと思う。
ファンミーティングを行うというのだ。勿論、国や自治体の許可の範囲で。
志おんは即申し込んだ。今回は、昼夜の2本立てだという。
両方出るしかない!!ファンクラブに入っていたし、チケットは取れるだろう。ということで早速申し込みを行い、見事当選したのだった。
イベントごとなのでプレゼントももちろん買っていった。
推しのイメージにぴったりなTシャツで、多少お値段はしたけれど、迷わず買った。自分も着ることはないと思うけど、同じものを購入した。
イベント当日は非常に楽しかった。前回ほど力を入れた服装ではなかったもののまた推しに会えた、またこれで頑張れる、乗り切れる。そんな気持ちで新幹線の中、お礼のメールとこれからも応援し続ける旨を書いて送った。
Tシャツも気に入ってくれたのか、翌日の会員限定のメルマガで早速着てくれていた。
泣いた。
こんなに嬉しいものだとは。
志おんはきっとずっとこれからも、この推しを押していく、そして好きなんだろうと思っていた。
飽き性は、これで卒業だ。