4)療養指導の評価及び修正

 療養指導の評価の基本的考え方として、構造・過程・結果を評価の視点としている。構造は各医療専門職の存在、チームの形成、療養指導の場の確保などがこれにあたる。過程は、ガイドラインに基づいた治療、早期発見の為の検査、医療職の質保証としての教育なども含まれる。結果は死亡率や再入院率が主要なアウトカムであり、精神状態の評価、また治療アドヒアランスや自己管理行動も重要なアウトカムとされている。主観的評価としては満足度が主要なアウトカムとなる。療養指導の構造や過程は地域や医療機関の特性によるところが大きいが、上記のような評価が繰り返し行われることにより、現実的かつ実効的な療養指導の実施が期待できる。 
 療養指導における評価には、①心不全患者の身体面・心理行動面の評価②心不全患者の自己管理に関する知識や技能の評価③効果的な療養指導を実施するためのシステム④療養指導士の指導能力の評価が挙げられる。療養指導の大きな目的の一つに病態の安定化がある。体重の増減や運動耐容能の低下がないか、BNPなど検査データによる評価が重要である。
 療養指導後に、患者がどの程度自己管理に必要な知識や技能を獲得出来たかを評価することは、療養指導の基本的な評価となる。療養指導を実施する者は、患者が基本的内容を理解しているかをセルフケア行動尺度などを用いて評価することが出来る。しかし全ての患者に尺度を用いることは困難なため、情報収集による評価が現実的である。効果的な療養指導を実施するためのシステムの評価として、療養指導の形態や他職種カンファレンスの評価が挙げられる。指導形態に関しては、集団指導と個別指導の違いに留意しながら評価することが重要である。
 心不全療養指導士は、実施する療養指導が心不全患者の自己管理行動の促進に効果を示しているか定期的に評価することが求められる。また、療養指導の基盤となるシステムの評価も欠かせない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?