谷口 亮太/RyotaTaniguchi

宮崎県出身で、今は福岡の病院で作業療法士をしています。領域は身体障害領域で、興味関心の…

谷口 亮太/RyotaTaniguchi

宮崎県出身で、今は福岡の病院で作業療法士をしています。領域は身体障害領域で、興味関心のある分野は脳外科や循環器です。日々、自分が臨床の中で感じた事や勉強している分野をアウトプットできる場として活用し、記事を読まれた方々に少しでもお役に立てればと思います。

最近の記事

6)心臓の構造

 人間の心臓は左右の心房、心室の4つの構造からなる。心房と心室は線維輪により分けられている。そして心房から心室へ刺激伝導系による電気刺激により心臓は拍出を行なっている。心臓は血液の逆流を防ぐ為に、4つの弁が存在している。動脈弁である大動脈弁、肺動脈弁。そして房室弁である僧帽弁と三尖弁からなる。この弁の働きにより、全身から大静脈を通って右心房から三尖弁を介して右心室へ、そこから肺動脈弁を介して肺へ入り酸素化される。そして肺から肺静脈を通って左心房に入り、僧帽弁を介して左心室へ入

    • 5)心不全における予防の重要性

       心不全は、食事・運動・禁煙などの生活習慣の改善により、予防が可能である。特にステージA及びBでは、心不全の発症予防に重点が置かれ、危険因子の是正と健康的な生活習慣の継続のための長期的な支援が求められる。心不全予防では、患者の病態や生活環境などに応じて、危険因子のリスク評価・治療・生活習慣の改善・心理的サポート・運動など多面的に支援する必要があり、他職種によるチームアプローチが効果的である。心不全療養指導士は、心不全予防の重要性を理解し、予防活動に積極的に参加する必要がある。

      • 4)療養指導の評価及び修正

         療養指導の評価の基本的考え方として、構造・過程・結果を評価の視点としている。構造は各医療専門職の存在、チームの形成、療養指導の場の確保などがこれにあたる。過程は、ガイドラインに基づいた治療、早期発見の為の検査、医療職の質保証としての教育なども含まれる。結果は死亡率や再入院率が主要なアウトカムであり、精神状態の評価、また治療アドヒアランスや自己管理行動も重要なアウトカムとされている。主観的評価としては満足度が主要なアウトカムとなる。療養指導の構造や過程は地域や医療機関の特性に

        • 3)患者教育に必要な基礎的理論 パートB

           アドヒアランスとは患者自身が必要と考え、納得して実施を選択したことをどれだけ守っているかを指す。アドヒアランスではインフォームドコンセントとインフォームドチョイスに基づいて医療者・患者間の相互理解と信頼関係構築と治療への積極的参加が重要である。  協同的パートナーシップでもアドヒアランス同様、意思決定や評価は医療者のみでなく患者と協同責任で行うものとされている。  ヘルスビリーフモデルとは、健康に及ぼす信念を「問題の起こりやすさ」「問題の重大性」「行動の利益」「行動の障害」

          3)患者教育に必要な基礎的理論 パートA

           「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017改訂版)」では、心不全の疾病管理では、患者教育・社会資源の活用・心理的サポートなどが必要とされている。その中の患者教育においては、ヘルスリテラシーを考慮した援助が必要とされる。具体的には心不全に関する知識・セルフモニタリング・増悪時の対応・アドヒアランス・禁煙など多岐に渡る。患者教育にあたって心不全療養指導士が備えるべき基本姿勢は「患者・家族の自ら学ぼうとする姿勢を援助する」「患者自身のこれまでの経験、知識、スキル、持てる力に着目

          3)患者教育に必要な基礎的理論 パートA

          心不全療養指導士試験対策

          2)心不全療養指導士の役割  慢性心不全患者は高齢で予後不良であり、心不全増悪により入退院を繰り返す。その原因は医学的要因だけでなく、減塩や服薬管理といったアドヒアランス不良、身体的・精神的ストレスが密接に関与している。慢性心不全患者に対する治療効果を最大限に引き出し、QOLを高めるには疾患管理を実践するチーム医療が必要である。その中で心不全療養指導士に求められる役割とは何か。  慢性心不全患者の治療にあたっては、かかりつけ医のみでフォローする事は到底不可能であり、看護師や薬

          心不全療養指導士試験対策

          心不全療養指導士 試験対策

          1)心不全療養指導士制度の目的 現在の死因トップは癌だが、後期高齢者に限ると心不全含む循環器病の方が死亡者数で上回る。また、国民医療費に関してはトップ(約20%)。理由は、患者数が多い上に入退院を繰り返す病気であるため。平均寿命と健康寿命の面においても、乖離の原因は循環器病であると言われている。上記3点から循環器病の克服は重要であると日本循環器学会は考えている。現在、我が国における心不全患者の数は約100万人いるが、2035年までに132万人まで増えると言われている。その原因

          心不全療養指導士 試験対策