物の買い方が下手だと思う
ちょうど品のお店のラインナップは自分たちが本当に良いと思った物を一つ一つセレクトしている。
そんなことをカッコつけて言っている割に、僕は物の買い方がとてつもなく下手だと認識している。
インスピレーションを受けて直感で選んだものほど大抵使わなくなる。
このあいだも、「冷凍しておくと氷代わりになって溶けないから味が薄まらない」的なコンセプトのステンレスキューブを買った。直感でめちゃいいやんと思って買ったのに一度しか使っていない。思ったより冷えなかったから。
あと骨伝導で人差し指を耳下にあてるだけで電話ができるという時計バンド。アップルウォッチとかにつけるらしい。これも使わなくなった。そもそも僕は電話を極力したくないやつで、1日で電話する回数も多くない。
あ、これめっちゃいいって直感で思って買うといつもミスする。
こんなやつが物を選んで売る店をやっているんだから不安になる。選定のときに、まず1つ購入して使用してみるのだが、実際使わなくなったものは少なくない。
むしろ迷って迷って購入したものが一生使いたいものになっている。
こういう仕事をバイヤーというのだろうが多分向いてない。僕がバイヤーをやると仕入れがかさむ。ちょっとピンと来なくても、これにはこれの良さがあるから!売ろう!とすればいいのに、一度気に入らないと売ろうとする気がまったく起こらなくなるから問題だ。
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だからなるべくミスマッチが起きないように、コンセプトをもって選ぶようにする。それでも使ってみないとわからないところが大きいのだが。
具体的には3つのコンセプトをもって取り扱いを決める。
1.長く使えること
長く使えるとは耐久度だと勝手に思っていたが、どうも最近それだけではない気がしている。まずそう簡単に使えなくなるものに出会うことが少ない。(物づくり、素晴らしい)
むしろ長く使えるという意味には、長く使っていて飽きのこない。という意味を持っていたのでは?と感じてきた。
ちょうど品のお店に置かれている物はその中でもトップ選手であり、僕が飽きていないもの。といえる。
2.値段と価値が見合っている良質なもの。
これは、最近表現を変えた。もともとは「見てわかる良質なもの」としていた。それはそうなんだけど、良質というのがほどほどであることが大事だと強く思うようになった。
物には物の値段としてわかりやすく数字がついている。これは安いから粗悪で、高いから良品ということはない。
むしろ価格と価値が見合っているということ。そして(自分にとって)良質だったと言えるかということ。
僕の話でいえば、用途には見合わない高級素材だったりというものは好みとは違う。
3.作り手の思いに共感できること。
これも変えた。前は「手仕事を感じるもの」としていた。そこには作り手の思いやこだわりを感じるものという意味が込められていたが、どうにも表現として正しくない気がした。
手仕事という言葉で連想するとどうしても機械仕事は嫌だと言っているようにみえる。そんなことない。手で作ったから丁寧なんてことはない。完全に言葉のチョイスが違うので「作り手の思いに共感できること」とした。
作り手がその物をどういう風に使って欲しいか。とかこんなこだわりがある、という思いに共感できるかどうかを大切にしたい。
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僕たちの仕事はセレクトショップに他ならない。コンセプトを持って物を買い、それを見合った価値で売る。
良いと思っているものを見せて共感してもらえれば当然嬉しい。だから良いなと思ってもらうには全力でその物の好きなところを伝えることだなと思う。
僕たちがコンセプト(自分の基準)を持って購入したときと同じように、物の選び方とか売り方とか、そういうのを好きになって買ってもらえたら幸せだなあと思うこのごろ。
インスピレーションで買っていかれるお客様ももちろん嬉しい。
一方、迷って迷ってぐるぐる行き来して一旦家に購入を持ち帰ってでも、最終的に大事そうに買っていかれる方を見ると、楽しい仕事だなあなんて思う。
下手でもなんでも、自分が幸せになれる物の買い方をしたい。