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地学オリンピック:一次予選分析
地学オリンピックの学習範囲を調査しました。
公式発表では一次予選は地学基礎の範囲となっていますが、実態は・・・?↓募集要項
https://jeso.jp/download/pdf/jeso16th-entryguide.pdf
調査対象は2023年の第16回日本地学オリンピックの一次予選問題です。
↓問題
https://jeso.jp/download/exam/jeso/16thjeso-q1-exam_rv1.pdf
【地質】第1問~第11問
大体、地学基礎の範疇です。
<地学基礎の範囲外の問題>
→第1問 走向・傾斜は理系地学
→第4問 固溶体は理系地学(固溶体という言葉の意味の説明は問題中にあるが、そもそも固溶体を知らないと解けないのでは?もしくは自力で固溶体の概念に到達していれば解ける??)
<地学基礎だが難しい問題>
第6問 クラーク数覚えてないし。。。
参考:クラークがおっしゃる鉄火丼(クラークがお(O)っし(Si)ゃる(Al)鉄(Fe)火(Ca)丼)
第9問 最古の人類化石として「アウストラロピテクス」はもう時代遅れで、「サヘラントロプス・チャデンシス」を抑えておく必要がある。
【個体地球】第12問~第24問
大体、地学基礎の範疇です。
<地学基礎の範囲外の問題>
第13問 正解の「モホロビチッチ不連続面」は基礎範囲だが、不正解の選択肢の「和達・ベニオフ帯」は理系地学範囲では???
<地学基礎だが難しい問題>
第18問・第24問 プレートの境界についての問題。確かに地学基礎の教科書にプレートの境界の地図はあるが、それを隅から隅まで眺めていないと解けない問題。
【海洋】第25問~第30問
地学基礎の海洋はかなり内容が薄いので、理系地学まで踏み込んで学習しておきたい範囲。
(とはいえ、過半数の問題はギリ地学基礎です)
<地学基礎の範囲外の問題>
第25問 黒潮と親潮の海面高度の違いは理系地学の範囲。
第27問 世界における塩分濃度の違いの分布は理系地学の範囲。
<地学基礎だが難しい問題>
第28問・第30問 珍しく知識ではなくグラフの読み取り問題。
そう思うと、やはり海洋は地学基礎のみの内容で独立した分野として出題するのは難しいのでは???
【気象】第31問~第40問
地学基礎の範疇の出題です。しかし、難易度は高い。
<地学基礎の範囲外の問題>
なし。
<地学基礎だが難しい問題>
第39問 衛星画像から雲の読み取り。(実際は知識も必要)
第40問 天気図から気象現象の読み取り。
【天文】第41問~第50問
おおむね地学基礎の範疇ですが、中学地学内容の天体の見え方も対策が必要。
<地学基礎の範囲外の問題>
第42問、第45問 銀河系・天の川の話は地学基礎と理系地学の境界線上(教科書によって掲載されていないこともある)
第41問、第42問、第48問は天体の見え方(中学地学)。
<地学基礎だが難しい問題>
第45問、第50問 太陽系の各惑星の性質を詳しく抑えておく必要がある。
【総合】第51問~第60問
地球環境っぽい問題や、防災関係の問題が中心。一応、地学基礎の教科書のどこかにこっそり書いていたりする内容です。
<地学基礎の範囲外の問題>
第51問 SDGsの17の目標は地学かな??
第53問 ミランコビッチサイクルは理系地学
第54問 海水温の上昇による影響は化学っぽい見方が問われている?
<地学基礎だが難しい問題>
第59問、第60問 警報の発表回数や発電量のグラフの読み取りなどは、知識で確実に正解するというよりは、地理的な持っている知識から可能性の高そうなものを選ぶ勝負か。
【まとめ】全体を通して
限りなく地学基礎に準拠して、その中で最高難易度を目指したような出題です。実際の優先順位としては地学基礎の範囲が最も優先度が高いですが、その内容が一通り終わったら、範囲にこだわらず理系地学の内容も含めて統一的に学習をしていくのがよさそうです。
一方で細かい知識(プレートの地図、古生物、太陽系の惑星、日本の四季の天気、など)を蓄えていくのも忘れずに