横矢桐の

ニュース記者(株式会社シードアシスト)。

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  • 関西から伝える【シードアシスト独自取材】

    • 5本

    関西の地域に根ざしたニュースをシードアシスト所属記者の独自取材でお伝えします。 #シードアシスト独自取材

最近の記事

「だんじりよ、永遠に」(鳳編)

だんじり彫刻師の前田暁彦氏について書いてきた。前田氏は堺市鳳の出身である。だんじり祭りは岸和田だけでなく、鳳でも行われている。今回、筆者はその前田氏の地元、鳳のだんじり祭りを見てきた。 衝撃の光景 晴れ渡る秋空の下、前田氏の地元である鳳のだんじり祭りが開かれた。 JR鳳駅を出てすぐ、一台のだんじりが目に入った。そのだんじりは、商店街の中に入ろうとしていた。そろりそろり。大工方も後ろに下がっている。まさか、この狭い商店街の中を走り抜けるのだろうか。そう思っていたら、「行く

    • 「だんじりよ、永遠に」(岸和田編)

      2024年9月14日、岸和田だんじり祭り・宵宮。 南海の電車内は、いつもより浮足立っていた。南海岸和田駅を降りると、人、人、人。 見せ場となるやり回しが行われる交差点にも人だかりができている。 組み立て式の小さな脚立を持っている人もちらほら見かけた。 少し様子を見ていたが、だんじりは来る気配がない。 お囃子の音を頼りに探しに行く。しかし、見つからないまま駅に戻ってきた。 ちょうどその時だった。お囃子の音が少し大きくなってきた。どこからかだんじりの来訪を告げる声が聞こえ

      • 「だんじりよ、永遠に」(三)

        不易流行 誰のための祭りか 「伝統工芸の技術を残す」という使命のため、工房を法人化した前田氏。 だんじり祭りを、だんじりを取り巻く技術を、後の世代に伝えていきたい。 その一心だった。 「赤字でも税金と従業員の保険料を払わなあかん。」 「給料も払わなあかん。」 そう言いながら額に汗して行政や企業に業界の現状を語り、ネットショップを開設して販路を拡大し、SNSに作品を投稿。 ある日は木彫り教室を開き、ある時は大阪・新今宮のOMO7大阪ホテルby星野リゾートで観光客向けに講演

        • 「だんじりよ、永遠に」(二)

          機動、RIJINDA 「だんじりは嫌いやねん。」 幼い頃はブロックでだんじりを作った。 小学校の3,4年にもなると、版画用の6本入りの彫刻刀を使って見よう見まねで木板にだんじり彫刻を彫っていた。 四つ車輪のついているものは曳き回すだんじり馬鹿だったのは中学時代。 高校入学と同時に青年団に入団し、ますますのめり込む。 だんじり彫刻師(木彫師)になりたいと親に打ち明けたのは高校卒業の頃だったが、その時は親に反対されて泣く泣く大学進学。 親は大学のうちにほとぼりも冷めるだろ

        「だんじりよ、永遠に」(鳳編)

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        • 関西から伝える【シードアシスト独自取材】
          5本

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          「だんじりよ、永遠に」(一)

          木彫り師、前田の野望初夏、早くもだんじりのお囃子の音色が聞こえ始める。 そーりゃぁそーりゃぁと掛け声をあげながら走り込みをする男たち。と思えば、子供が横笛を自由に吹き鳴らして遊ぶ。鉛筆で机を叩いてお囃子の真似事をする。 当たり前に続いていくと思っていた風景が今、危機に瀕している。 新調1台1億円、事故せんかったら80年。そんな数字も今は昔。もはや新調をする町自体減り、新調にかけられる価格も大幅に下がっているという。 出会い 遡ること、5年。 フェラーリが、呉服屋

          「だんじりよ、永遠に」(一)