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トライブ紹介 早育ママ【1/2】

私たちSEEDERは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。トライブレポートの詳細については、まずはこちらの記事をどうぞ!

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。
今回は早育ママをご紹介します。

今後日本でもエビデンスベースの教育が求められてくる

1. 日本におけるエビデンスベース教育の必要性

いい教育を受け、いい人生を送ってほしい。子どもにそう考える親の愛は古来から普遍的といえるでしょう。それに応えるように、教育産業もまた持続的な発展を遂げてきました。教育の中でもできるだけ早く教育的配慮を子どもに図ることで、その人生を豊かなものにしようとする親たちが「超早期教育する親(早育ママ)」です。
この世に子どもが生を受ける前の教育として胎教が一部に定着しているのは既知の通りですが、生後の教育の早期化も著しく、乳幼児向け知育は、生まれて数か月の赤ん坊すらその対象にし、たとえばスマホを使ったアプリによる知育など、その方法の中にはITを用いた先進的なものも多く存在します。
また、英語で幼児保育・教育を行う施設は「プリスクール」という通称を得て、2000年代後半からポピュラーになりつつあります。このような施設では、早いところでは1、2歳から子どもを受け入れ、将来のバイリンガルを目指して英語を用いた保育・教育を行うといいます。彼らは子どもの将来のためなら際限なくリソースを割きたいという考え方を持ち、その世界観も国際的に開かれています。
彼女らを深く知ることで、今後の教育系ビジネスの大きな示唆を得ることができるでしょう。

2. 早育ママの価値観と行動の分類

このトライブのセグメントについて説明すると、「未就学児から実年齢よりも早い教育をほどこすことが、子どもの可能性を最大限に広げることにつながる」という価値観は同じで、それぞれ失敗克服型、成功体験実践型、不安脱却型という動機の違いで分類しています。
基本的にこれまでのトライブレポートのセグメントは、ソロ介護のように、だんだん状態が発展していく中でどういう風に価値観や行動が育っていくのかを見るパターンと、まったく同じ価値観でアプローチが違うのが定番ですが、早育ママのトライブレポートのセグメントは、早期教育をする動機別になってしまっているため、これを使ってサービスデザインをする場合は、ここからさらにアプローチがどう違うのかという読み解きが必要です。
まず、調査前は語学的なところに力を入れていることを予想していたのですが、「日本語だけでなく英語も」という知識先行型ではなく、みなさん「子どもの興味関心をどれだけ引き出してあげられるか」という点を最も重視していました。
どのお母さんも「子どもの自己肯定感を高めてあげたい」という言葉を口にしていて、成功体験から、「自分はやればできる」というメンタルを育ててあげたいという思いが強いことが分かります。よい環境を与えて「あなたはできる子なんだよ」ということを伝えたい、そういう場や体験を用意してあげたいと考えているのです。
ただ、この「人間力」というのは点数で測れるものではなく、言語化できないので、親の皆さんも何が正解かわからなくなり、さまざまな習い事に通わせているのではないでしょうか。
こういった動きには、社会的な背景が大きく影響していると思います。センター試験がなくなり、従来の詰め込み型教育では通用しない、AIが出てきて誰も20年後の社会を想像できない過渡期に子育てをしているわけですから、ある種、保険的な意味も強いのかもしれません。勉強や運動がダメでも、別のところで勝負ができる、どんな状況でも自分を肯定的に捉えられるメンタルを作ってあげたいというのが、保護者のみなさんの思いです。
次に、これだけ最先端のことに取り組んでいる彼女たちですが、「先人の知恵」のようなものを一番信用しているということが、実際にインタビューで明らかになりました。教育にしろ子育てにしろ情報が溢れすぎていて、その質もさまざまです。だから情報サイトよりも、経験や知識のある「先輩ママ」や近所のおばあちゃんに「これで大丈夫」と言われると安心するというのです。
今の母親たちは常に過剰な不安を抱いていて、それを軽減したり解消したりするために早育を行うわけですが、一方で心のよりどころとしてメンターを求めているように感じました。
現在の子育てビジネスの多くは、短期的に成果が見えるサービスが溢れているように感じます。数値化できないようなものの場合、それをどう見せるか、実感してもらえるかは大きな課題といえます。
また、早育ママの方たちは子どもにかける時間がとても多くて、「〇〇を身に着けるために、〇〇を〇時間やる。そのためには自分の〇〇の時間を諦める」という風に、タイムマネジメントと、タスクマネジメントをかなりしっかりとやっています。
短い時間をどれくらい濃密に過ごせるかということをすごく重要視しているので、集中して取り組めるテキストなどにはお金を払うのです。
まず、親の希望としては、単に「知識や技能」を身に着けさせたいわけではないという点を教育系の新規事業、新商品・新サービスを開発する側は理解しなければいけません。
「早育ママ」というと、一見一部の教育熱心な方だけにしか当てはまらないように思われるかもしれませんが、広く子どもを持つ親の根本的な思いや、どう育てていきたいか、どういった人生を送らせたいのかということがよく分かるレポートになっています。

次回は早育ママの3.エビデンスベース教育の潮流と事例、4. 日本におけるエビデンスベース教育の未来についてご紹介します!お楽しみに!
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