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トライブ紹介 プライバシーシェアラー【2/2】

前回に引き続き「プライバシーシェアラ―」ついて 3. プライバシーをシェアすることの価値についてご紹介します!


3. プライバシーをシェアすることの価値

彼らの調査から見えてきたプライバシーシェアの大きな価値は、「コミュニケーションの手間をいかにはぶけるか」という効率性の意味でのベネフィットです。位置情報をシェアしているからこそ、待ち合わせ時間に遅れることなどをわざわざ伝える必要はなく、コミュニケーションの数が削減されるというベネフィットは想像しやすいのではないでしょうか。

一方、効率性とは逆に、「ディスコミュニケーションを避け、相手の感情や状況をおもんばかるためにお互いのデータを活用する」という価値もあります。今回はとくに後者の価値に注目しました。

SEEDERが分析したプロファイルの一部をご紹介すると、プライバシーシェアラーは、それぞれがどれだけタスクを抱えているかをお互い可視化することで日々相手を思い合っているという価値観を持っています。

たとえば、たとえ一緒に暮らしていても表情や言動だけでは分かりえないも部分も多々あります。相手がイライラしていると感じたとき、その原因が仕事の忙しさか、気圧の低さか、体調不良によるものなのか、まったく別のことに対してなのかは、想像することしかできません。これまでは、この見えない部分をうまく推し量ることができず、ディスコミュニケーションが生まれがちでした。

しかし、例えばお互いのタスク量を可視化することができれば、仕事やプライベートのタスク量やストレス感情の原因が分かり、代われる家事を引き受ける、リラックスできる飲み物を淹れてあげるなど、コミュニケーションをよりスムーズにすることが可能です。

また、このプロファイルから「データベース活用による思いやり」というお互いのデータをもとに相手の感情や状態を想像して交流する生活者変化行動仮説が考えられます。

たとえば、相手の位置情報が分かることで「今は誘わないほうがいい」または「誘おう」と想像したり、繁忙状況や身体情報が分かることで、相手と自分の家事量を調整したり、気圧やバイオリズムなどが分かることで、シンプルにストレスの原因を察知したりすることが可能になります。

これまでもさまざまなデータのシェアはありましたが、あくまで目的はデータをシェアすることでした。しかし、今後は、お互いの心身の状態や繁忙状況を知るために自分のデータをシェアし始めるという変化が起こると予想されます。

さらに、機会領域のひとつをご紹介すると、たとえば、現在共働き家庭向けに、Time Treeを始めとする家事シェアアプリはさまざまなものがありますが、今抱えているタスク量だけではなく、今何かを依頼する余裕があるか、総合的な相手のステータスをシェアできるようなタスク管理ツールが考えられます。

お互いの繁忙状態により、育児や家事の分担を考える際、お互いのスケジュールだけを知るのではなく、さまざまなデータから、今タスクをおこなう余裕があるかないかだけが端的に抽出され、お互いがそのステータス状況を把握できるようなサービスデザインが今後求められていくことが予想されます。

もちろん家庭だけではなく、ビジネスにおけるタスク管理ツール開発へのヒントにもなるでしょう。

たとえば、上司が部下に仕事を依頼したいとき、現段階ではスケジュールに入れてある予定を見ることでしか判断できませんが、さまざまなソースをもとにオートメーション化されたステータス機能があれば、仕事の依頼の可否を端的に知ることができます。

現在ステータスを手動で設定するアプリもありますが、日々手動で設定することは、便利のために手間が増えてしまっているため、手間とベネフィットがつりあっていません。
今後、カレンダーアプリと体調管理アプリや位置情報アプリなどの複数のデータを連携させることで、自分のステータスを周囲に知らせることもおそらく可能になっていくでしょう。

プライバシーをシェアするミレニアル世代は、コミュニケーションのすれ違いや意図していない伝わり方をすることを極端に避けたいと考えています。

LINEなどのチャットツールを通したオンラインでのコミュニケーションが発達しすぎた結果、文字情報だけで発した言葉やスタンプは歪曲してとらえられ、ディスコミュニケーションを生む原因ともなってしまっています。

そこで、これまでオフラインで知ることができた相手の表情や空気感など、ノンバーバルな言語でない情報を、データで補完していきたいと考えているのです。プライバシーを守りつつ、お互いの今の状況が正しくシェアされることが、今後の求められる社会の在り方になっていくでしょう。


今回は「プライバシーシェアラー」についてご紹介しました!
いかがでしたでしょうか?お仕事のヒントになるアイデアは見つかりましたか?

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