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トライブ紹介 おてんばマダム【2/2】

前回に引き続きおてんばマダムついて 2. おてんばマダムたちの行動(続)、3. おてんばマダムの3つのアプローチについてご紹介します!


2. おてんばマダムたちの行動(続)

SNSで発信するシニア

「カワイイ夫婦コーデを着こなしているのはbonさんとponさん(@bonpon511)。結婚37年目を迎える、60代の夫婦。Instagramに投稿したところ、世界中から「かわいすぎる」「オシャレ」「素敵なご夫婦」とコメントがたくさん寄せられ、憧れのカップルとなっている。

また、シニアYouTuberの成羽さんは「ユーチューブにハマり視聴しているうちに、あっ、これだ!と思った」という。何よりも嬉しいのはリスナーからのコメントで意外だったのは、視聴してくれる人は若い方がすごく多いということ。初めの頃は10代、20代の子がほとんどで、やっていくうちに、もう少し上の年代層まで広がっていったという。小学生、中学生ぐらいの子たちから「こんなおばあちゃんが居ればいいのに」「うちのおばあちゃんみたい」と言われたり、上の年代からは「亡くなった母みたい」などと言われるという。「自分がしゃべってる姿で元気づけられる、癒されると言っていただいたのがすごく嬉しかったですね」。

バックパック旅行をするシニア

久保木武子さんは60歳を超えてから海外一人旅を決意する。当時、英語も話せなかった彼女は、筆談でコミュニケーションを取るなどし、一人でも海外旅行へ行けることを実感したと述べる。78歳現在、80カ国以上を訪れており、アフリカ大陸も23カ国を制覇している。

また、バックパッカーであった筆者が、過去の経験を元にして、若い頃に感じ取れなかったひとり旅の良さを伝える『シニアひとり旅』なども出版されている。

学び続けるシニアたち

少子化が進み、大学経営は悪化を辿り、そこで目をつけられたのがシニアである。シニアの中には、一度はキャンパス生活を味わってみたい、もう一度大学で学びたい、現役時代の仕事の集大成をまとめあげたいという、勉学意欲旺盛なシニアが少なからず存在する。キャンパスが世代の違う学生同士の交流の場となることで、若者はシニア世代の経験や知恵を知り、シニアは新しい考え方や技術を知ることで刺激をもらうことができる。

実際に、立教大学では50歳以上のために、「学び直し」と「再チャレンジ」のサポートを目的とした講座が中心。人や地域や社会とネットワークを形成し、仕事や多様な社会参加の担い手として、セカンドステージに踏み出す人の育成を目的としている。また、明治大学大学院では、職業経験を新たな「実践知」の「創造」に結び付け、次世代に「伝承」しようとする、意欲あるシニア層の研究を支援することを目的としている。

世代や国籍が違う人と交流するシニア

異世代ホームシェアとは、住宅の空き部屋を学生が借り、その住宅の家主と一緒に共同生活を送る住まい方。異世代が共に暮らすことで、学生とシニアそれぞれが地域と結び付くきっかけとなり、街ぐるみでの見守りや生きがいを生み出す新しい共助の関係を目指す。シニア側のメリットとしては、孤立感の解消や生きがいづくり、夜間の不安の解消、健康寿命の増進が挙げられる。同様なサービスが日本だけでなく、オランダやフランスでも存在する。

また、高齢者の三大不安は、健康不安、経済不安、孤独不安であり、Airbnbのホストをすることは、この三大不安を解消し、高齢者の生活を豊かにすると考えられる。遊休資産を使うことで、年金以外の副収入が増え、経済的に余裕ができる。また、ホストとして海外からの観光客と交流することで、孤独の解消になり、健康増進にもつながる。加えて、時間に余裕のあるシニア層が来日する観光客に日本独自のおもてなしを提供することで、日本文化と日本人の美徳を伝えることができ、それを体験した観光客は、他の観光客にその感動を伝え、草の根で日本の好感度が広がるというメリットもある。

仕事への情熱が続くシニアたち

第四新卒とは、新卒、第二新卒、第三新卒(大学院博士卒者で未就労者の採用)に対して、社会人としての経験を十分積んだ後も仕事に対する情熱を失わず、次のキャリアにチャレンジしようとする人材を、性別・年齢を問わず採用していくこと。実際に、森下仁丹では第四新卒の採用が行われている。

また、東京都労働産業局が、主に50代60代の方を対象に「シニア起業支援事業」に取り組んでいる。サービス内容としては、①起業相談・事務サポートの実施②起業家交流会及びセミナー「アントレセミナー交流会」の開催③レンタルオフィス「アントレサロン」の運営などがある。

このように「何歳だからこうしなければならない」という考えがなくなり自律的エイジングフリーになると、人は20代と同じような行動を取るようになり、おてんばマダムをひと言で説明するのであれば「20代とまったく同じことをしているシニア」という言葉が当てはまります。

老いをむしろ魅力ととらえたり、50~75歳がいちばん輝けるという風に価値観がエイジング・シフトすると、今起きているトレンドは何も不思議ではありません。

これがおてんばマダムが生まれた背景になります。

3. おてんばマダムの3つのアプローチ

自律的エイジングフリーという共通の価値観を持つおてんばマダムのセグメントは、以下の3つのアプローチがあります。

ビューティーアクティブ

いわゆるアンチエイジングではなく、ありのまま、自分らしい、グレイヘアなどでファッションや美を追求している生活者。

ライフアクティブ

加齢を受け入れ、自然なライフスタイルを追求する生活者。

ミータイムアクティブ

60歳前後になって趣味としてダンスを始め熱中する生活者。

おてんばマダムのプロファイリングはいくつかありますが、おてんばマダムにとっての美しさとは容姿ではなく、「老いを魅力に変えようという姿勢そのものが美しい」という価値観があります。

たとえば「女ひとりゆく。若きは美しい。老いたるはもっと美しい」というホイットニー・ヒューストンの歌詞が大好きです」というトライブの発言があります。

つまり、容姿やプロポーションを若く見せようということではなく、50歳をすぎても大胆な色使いの服を着たり、60歳を超えてモデルをやったり、いくつになっても人生を楽しんでいる様子が重要だから、今をいきいきと楽しんでいる姿みたいなものが共感を呼ぶのです。

だからこそ、白髪を黒く染めるのではなく、あえてファッションとして取り入れて楽しむその姿勢が美しいからグレイヘアは美しいと言われているのであって、グレイの色合いが美しいといった表層的な意味ではないという点に注意する必要があります。

もう1点、おてんばマダムは「(老人向けだから)簡単にできる」とか、「穏やかに過ごせる」といいった刺激のないものを逆に嫌がり、「老化はケアすることで防がれるのではなく、負荷をかけることで防がれる」と考えています。ここは一般的なシニア向けの商品開発やサービス開発担当者が勘違いしがちな点です。

ケアではなく、慣れない環境が老化を防ぐからむしろ刺激を与えなければいけないと考えているからそ、ヒップホップダンスやAirbnbに挑戦するといった行動が出てきているのです。

この「適度にストレスがかかるほうが老化に予防的」という認識はかなり広がってきています。

同様に「暇な時間があると老化が進む」と考えているため、忙しくしたいと思っているシニアも増加しています。あるトライブは「同い年の仕事をしていない友人は精神的に鍛えられていないから老化している」と発言しています。すべての高齢者が潜在的に熱狂や刺激といった対象を求めているといえるでしょう。

もうひとつ重要なプロファイリングとして、ビジネスを設計するのはシニアよりかなり若い人たちなので、目標を持ち、努力していくことで向上していくと考えがちですが、シニアは体力が衰えているため、大きく向上することは不可能です。そのため、昨日に比べて今日も維持できていることが分かったり、無理ぜす自分のペースで続けられるもののほうがリアルに嬉しいということが調査では分かりました。

刺激は欲しいのですが、強すぎる刺激は求めていない、このへんの機微が分からなければシニアに刺さるようなビジネスは作れないでしょう。

このことから分かる、シニアの消費者行動のサービスデザインで大切な点は、普通はダイエットなどの目標達成は、数字記録することで成長が実感できるようなデザインですが、シニアの場合、日々の小さな変化を伝えることを意識すべきです。

たとえば健康系アプリであれば、目標にどんどん向かっていくというUIではなく、「一昨日3落ちたが今日3戻った」というような小さな変化や、「維持できている」という見せ方で、波打ちながら浮き沈みする日々の変化を実感できると満足することができます。


今回はおてんばマダムについてご紹介しました!
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