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トライブ紹介 ビューティーテック【1/2】

私たちSEEDERは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。トライブレポートの詳細については、まずはこちらの記事をどうぞ!

トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。

今回はビューティーテックをご紹介します。


1. ビューティーテックを理解するための前提知識

昔から美容の世界は、サイエンティフィック(科学的)な部分と、物語やビジュアルといった必ずしも科学的ではない要素がかけ合わさり、ひとつの価値をなしています。これまではテクノロジーも物語の作り方もそこそこ進化して、美容の価値もそれらに折り合いをつけながら進化してきました。

しかし、近年、テクノロジーのほうが急速に進化してしまったことにより、ストーリーの部分との折り合いがつかないという現状があります。この新しいテクノロジーと物語の関係性を見直し、新しい価値観やトレンドとして考えようという問題意識がありました。

ビューティーテックを理解するには、まずはこれまででてきている美容の価値観の進化過程をおさえておく必要があります。日本人のヘアケアの歴史を例に考えていきましょう。

そもそも日本人に洗髪するという習慣が定着したのはかなり近年のことで、これは歯磨きも同様です。初めてシャンプーが出たのは昭和初期(昭和5年)ですが、その当時のキャッチコピーには「せめて月二回は!髪を洗ってください」と書かれています。

そしてその三年後にはそれが「週に一度」になり、その30年後の昭和40年には「夏は5日に1回」、さらに昭和58年になり「毎日洗う」というキャッチコピーがついています。

つまり、昔はほとんど行動することもなかった「洗髪」という行為を、どんどん頻度を増やしていったのは、ある種のマーケティング効果であったといえるでしょう。

(参考URL:https://togetter.com/li/1224540)

同様に昔は毎日歯磨きをしているのは日本国民の20%ほどしかいませんでしたが、今では1日3回、さらに歯間ブラシまで登場するなど進化をとげています

ヘアケアの歴史では、最初は洗ってすらいなかったものを、まずはきれいにするところから始まり、次にブリーチやパーマという技術が登場しました。それにより髪が痛むようになり、リンス、コンディショナーなどが登場し、ダメージをケアする流れに。そしてダメージケアの次は見た目の問題として、ハリ、ツヤ、こし、ボリュームなど付加価値型の競争に移行していったのです。

歯磨きも同様で、1日3回の歯磨きの習慣が、歯垢をとることで虫歯を防ぐプラークコントロールという歯科医の言葉から始まり息のブレスケア、そして歯の見た目をよくするためにホワイトニング、歯周病や知覚過敏のケアなどが大きなニーズとしてあり、マイナスをゼロに、ゼロをプラスにするという流れで美容の価値観は進化してきました。

そして外側を美しくすることはもはややりきってしまい、次にやってきたトレンドが内面の美への干渉です。

商品のストーリーの中に「内面も美しいものでなければ本当に美しくはならない」という禅問答のような世界がやってきた、それがインナービューティーというトレンドです。

大きな流れでみると、このインナービューティーというトレンドは今現在も続いています。

ビューティーテックというトライブの説明をする前に、美容に関しては外側の美と内側の美という大きな2つの方向性があります。

外面の美は、たとえばパーマ技術の圧倒的進化、アウトバス、美容機器の圧倒的進化、細胞技術の進化など、外面が劇的に変わる進化などがありますが、大きなトレンドとしてはまだ黎明期といえるでしょう。

一方、内面の美、すなわちインナービューティーというトレンドは最終段階にきています。ストーリー的な部分はインナービューティーをおさえながら、腸内環境などのインナービューティーに関係しそうな技術との関係にフォーカスして調査したのがビューティーテックです。

美容の歴史的な長い経緯を踏まえたうえで、幹細胞テクノロジー、酸素カプセルといった最新のテクノロジーが、インナービューティーの観点からどういう風に位置づけられるのかを洞察した、テクノロジー&インナービューティーについての調査したのがビューティーテックのレポートです。

2. ビューティーテックの考える潜在的美とは

ビューティーテックの定義は「最新の美容テクノロジーにより、ふだん知覚することのできない細胞の活性状態などにアプローチして潜在的な美を引き出そうとしている」人たちなので、技術をすごく活用しながらも、トレンドとしてはインナービューティーであることがポイントです。

ただし、インナービューティーと聞いて単に「心の健康」と捉えてしまうのはもはや古い考え方です。

最新のインナービューティーは「本来自分の目に見えない・感じられないものもコントロールしようという流れ」であり、例としては腸内細菌、細胞の状態、身体機能、インナーマッスルといったものがあげられます。

この図のように、体内の深層部や自分の目では見えないところまで、いかにアプローチできている実感を得られるかどうかがポイントです。

たとえば「ヨガをして心が美しくなるというのもそのひとつではありますが、心がきれいになるだけではなく、コントロールできないものにアプローチできているかが彼女たちにとっては重要なのです。

次回はビューティーテックの3. 美意識の変遷とインナービューティーの登場、4. ビューティーテックの3つの分類と美容テクノロジーのヒントについてご紹介します!お楽しみに!
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