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ネイティブになれるの?【その3】
「Kiyomiのスクールに通えば英語ネイティブになれるの?」
と、最近3児のパパである友人にひょんな瞬間に聞かれました。
思わず同時に4つのことが頭をよぎり、即答できませんでした。
その「英語ネイティブ」ってどういう状態のことを言うの?
日本に住んで、限られた時間以外は日本語だけで生活しているんだから限界はあるよ
でも保護者様的には「なるよ」って答えた方がうれしいんだろうな。
そもそも「英語ネイティブ」にしたいのはなぜ?
今回は④について考えてみたいと思います。
非英語ネイティブスピーカーの割合
世界には英語話者は4億人ほどいると言われています。
その中で「英語ネイティブスピーカー」は約20%、そうでない「第2言語としての英語話者」の割合は80%くらい、約3億2000万人です。仕事などの事情、状況、また教育の一環として英語を話す人の方がぶっちぎりで多いのです。もちろんどのように英語を使うか、またどのくらい流暢に使いこなせるかどうかはその人その人で違います。ただ、そのような状態を考えると、英語は話せておいた方が人生得だな、発音は良い方が便利だな、そして逆にそういう社会なら「ネイティブ」になる必要性はないのでは?と感じます。
「ネイティブ講師」信仰
2023年の今、「英会話教室は絶対ネイティブの先生が教えてくれるところでなくちゃ!」とお考えの保護者様は減少してきているように思います。それは保護者世代の多くの方が小さい頃、また学生の頃「ネイティブ」の先生に英語だけで英会話を習い、「何を言われているのか分からない!」と挫折された経験があるからというのも理由の1つではないでしょうか。ダイレクトメソッド、英語だけでレッスンを行うのはESLの世界では有効ですが、EFLの環境では習得に逆に時間がかかります。(ESL, EFLについては前回をご参照ください。)
誰でも自分の言いたいことを伝えたいですよね。テキストブックのロールプレイなどは完全にその状況と同じ場面に遭遇した場合は効果を発揮するでしょうが、悲しいことに私は人生で1度もそういった経験はありません。日本語ではもちろん自分の意見が言える、でもそれを英語でどう言ったらいいのか教えて!というところで、日本語が分かるネイティブ講師やバイリンガル講師の需要が増しているのではないでしょうか。
実際私が以前まで勤務していた開校半世紀になる英語スクールではネイティブ講師にも英語力と日本語力の試験もありました。日本語を全く話せない、または理解できない方はいくら人格の良い方でも採用されません。その大きな理由の1つは
生徒が言いたいことを即座に教えてあげることが不可能だから。
です。
教えるのが上手な講師ならネイティブでなくてもこだわらない
英語を教えることを始めてから10年ほどお世話になった先輩講師がいます。日本人です。正直に言って決して先輩の英語の発音は「ネイティブ」のようには聞こえない。でも生徒のことをいつも良く見ていて、保護者様から絶大な信頼がありました。何よりいつも驚いたのが、この先輩が担任になり、何年か経つと生徒の発音はまるで帰国子女のようになるのです。「習得の仕方を継続して教える」ということがいかに大切か、また生徒たちの様々な将来に活かされるか、今その先輩のことを思い出しても襟を正したくなる気持ちになります。
「英語ネイティブ」にならなくていい
夢を実現したり、将来の選択肢を広げるためには英語ができるようになっておくと得することは多く、損することは何もないなあ、と自分を振り返って思います。ただもちろんいつから始めるにせよ、母国語で思考をしっかり確立した上で他の国の方々と英語で話す時にはお互いに尊敬の念が生まれ、更に有意義な時間が持てるのです。
「英語ネイティブ」にならなくていい、でも英語をツールとしてバッチリ使いこなすことができる。そういったことのお手伝いができるように日々子どもたちと向かい合っております。