もう充分頑張っている
私の母は、2人姉妹の姉だ。
母は搾取子、叔母は愛玩子。
叔母は「お姉ちゃん、それ私に頂戴」が口癖だ。
母も私も祖母に褒められた記憶がない。
母は私に色々なことを期待した。
勉強すること。
自立すること。
手に職をつけること。
どれも私はやってみせた。
それなりに偏差値の高い学校を卒業した。
家を出て自分でアパートの家賃を払った。
スキルを活かした仕事を続けている。
どれも母自身は経験したことがないものだ。
なぜ、母は私にそうさせたのか。
自分がやったことがないからその過酷さが分からないだけではない。
母は、叔母に「うちの子はちゃんと自立している」マウントを取りたかったのだ。
母は運転免許の取得費用、自家用車、習い事の着物などの代金を、自身のOL時代の収入から支払ったという。
一方の叔母は全て祖父母が買ってくれたという。
叔母の子供たちに当たる私の従姉妹も、祖父母の惜しみない援助の恩恵にあずかってきた。
その結果、手に職どころか小遣い稼ぎのアルバイトでさえ長続きしない中年ニートに育ってしまった。
祖父が四半世紀近く前に亡くなり、祖母も最近亡くなり、従姉妹たちに援助してくれる人が居なくなってしまった。
この姉妹差別の顛末は、親戚中に知れ渡っていて、叔母と従姉妹たちの「親戚の同情を誘う泣き落とし作戦」は、「過去の事は水に流して」の叔母の一言が親戚の失笑を買い、どうやら失敗に終わったようだ。
母の叔母や従姉妹へのマウントは取れたことになるのだろうか。
根本的な原因は祖父母の姉妹差別にあるのだが、叔母の「お姉ちゃん、それ私に頂戴」が祖父の遺産相続にまで及んだことで母の復讐心に火を点けてしまった。
私は、今の年齢になってみると母に早くから自立を促されたことについて、これで良かったと思う時もあるが、過去の苦労を思い出すと、半ば追い出されるように自立を迫られ、実家暮らしでもう少し貯金をする時間が欲しかったと思う事もある。
今は、「もっと頑張れ」と言われても「もう充分頑張った」という気分だ。
自分一人で頑張ってどうにかなることだけではない。特に仕事などは評価してくれる人がいないと、同じ仕事を続けていくのは難しく、正社員登用などのチャンスを掴むには能力に運もプラスされる。
また、私自身は母と子供が衝突する時は間に立ち、意見を求められれば伝え、費用がかかるものはサポートしているが、親の考えを押し付けないようにしてきた。
自分で目標にコミットするからこそ自分の為に頑張れるのであって、母のように自分がやったことのない事を子供にさせようとは思っていない。
子供にとって、自分がやったことのない事をやれと言われるのも嫌だと思うが、自分がやったからやれと言われるのはもっと嫌だと思うからだ。
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