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カラーパイがキャラクター創作の役に立たないかなぁと考えた話
カラーパイという概念をご存じだろうか。
元はトレーディングカードゲームの開祖『マジック・ザ・ギャザリング(MtG)』のデザインにおいて提唱された概念で、端的に言えば『色に従ってカードをデザインしよう』という考え方である。
「これをキャラクター創作に活かせないかなぁ」
と,、創作者志望の拙い脳ミソであれこれ考えている。
考えているだけで何か答えが出たわけではないが、備忘録代わりに頭に浮かんだことを書き記しておく。
〇そもそもカラーパイって?
MtGには白、青、黒、赤、緑の五色のカード群が存在する。
それぞれの色にはザックリとしたテーマ、性格のようなものが設定されている。
白は平和。秩序と調和を保とうとする。
青は完璧さ。知的で合理的であろうとする。
黒は力。犠牲を払ってでも結果を得ようとする。
赤は自由。内的な衝動に身を任せる。
緑は受容。ありのままを受け入れる。
色に沿ったテーマに従い、それぞれの色のカードの方向性や長所短所を定めるのが、カラーパイに準じたカードデザインということになる。
これだけでは分かりにくいと思うので、一つ例を挙げよう。
例えば青のカードに『カードを二枚引き、その後ランダムに自分の手札を一枚捨てる』効果を付けたいと思ったとする。
しかし、このままではいけない。カラーパイに反している。
なぜならば、青は完璧主義、知識による場の支配を目指す色だ。ランダム性の介在は青の理念に反している。知的な眼鏡キャラがいざというときに木の棒を倒して行き先を決めようとしだしたら気持ち悪いのと同じだ。
それはそれでギャップがあって面白いかもしれないが、その話は後でする。
で、ランダム性と一番相性が良い色は赤だ。やりたいようにやるという衝動が第一にあり、その結果が自身のコントロールから外れるかどうかなど、どうでもいいからだ。
よって、『カードを二枚引き、その後ランダムに自分の手札を一枚捨てる』効果は赤いカードにこそ相応しい。
もし青に似た効果を付けるならば、『カードを二枚引き、その後自分の手札を一枚選んで捨てる』とするのが良いだろう。赤だった場合よりも捨てるカードを選べる分、青の方が強い計算になるが、その部分の帳尻合わせは利くし、そもそもこの変更により『青の方がより手札操作が得意』という個性を作り出すことが出来る。
と、こうしたカラーパイの考え方を適用することで、五色それぞれに長所と短所、そして色のイメージに応じた個性が生まれ、特定の色だけが強くなることを未然に防ぐなどゲーム性の向上にもつなげることが出来る。
カードパワーのインフレと付き合い続けなければならないトレーディングカードのデザインにおいて、明確な短所を付与できるカラーパイ概念は重要だ。
カラーパイについてもっと知りたい人は、最後に詳しいページのURLを貼ったのでそちらを見て欲しい。
〇で、カラーパイを創作に活かすとは言ったものの……
色ほどキャラクターの特徴を端的に表す符号は無いかもしれない。。
アニメでキャラを見分ける時に、髪の色で認識する人も多いのではないだろうか。また、髪の色一つで、そのキャラクターが他のモブたちからは一層浮き出た存在であることを示すこともできる。
キャラクターが多いタイプの作品の多くは、それを活かしている。
少し前なら特撮や魔法少女もの、ホビーアニメのキャラクターがそんな感じだった。
最近ならソシャゲのキャラクターがそれに当てはまるだろう。
だが、そこにカラーパイまで適用しようと考えてみると、範囲がかなり狭くなってくる。
ザックリした色分けでキャラクターを立てる作品は、いわゆる戦隊モノに近い文脈を持っていなければならず、その段階でリアリティレベルを下げざるを得ない。
全身を赤っぽい意匠で統一した熱血主人公、クールで知性的な青いキャラ、ポップで時にエキセントリックな黄色キャラ……
『色』というイメージを借りる以上は仕方のないことだが、『ありがち』なイメージに縛られる代償が発生する。
それでも良いキャラクターを描けるならば万々歳なわけだが、そもそも単純に五色だけでは五人しかキャラクターを作れない。
どうにも運用できるレベルには達してないなとヤキモキしていたのだが、上の文章を書いていてふと思いついた。
色を混ぜてしまえばよいのだ。
〇眼鏡キャラに素顔を
上で挙げた『知的な眼鏡キャラがいざというときに木の棒を倒して行き先を決めようとしだしたら気持ち悪い』という例の続きだが、そういうキャラもギャップがあって面白いと思った人もいるかもしれない。
実は私も「面白いかも」と思った。
この行き当たりばったり眼鏡キャラは青のカラーパイには反している。
だが、彼を赤と青、両方の色の性質を持ったキャラクターへとアップデートすればストンと腑に落ちる。
普段は理知的で青のキャラらしく振舞うが計算外の事態に弱く、いざというときに素が出て博奕を始めてしまう、そんなキャラクター。危なっかしい感じはするが、逆に人間らしくて親しみやすい奴になりそうだ。
キャラを立てるには原色に近い色の個性が必要だが、そこから深みを出すには原色を組み合わせてキャラに立体感を出せばいい。
考えてみれば、Mtgでも色を混ぜた混合カードが人気を博しているではないか。
色の組み合わせ。
これには何か可能性がありそうな気がする。
五色を組み合わせるだけでも32種類。
さらに、普段はA色だが極限状態ではB色の素が出る、のように色の強弱を付ければ、その組み合わせは一作で描ききれるキャラクターの範疇を超える。
これは良いんじゃないだろうか。
一からこの考え方を適用してキャラクターを作るのも良いが、既存のキャラクターの性格診断、掘り下げのためのツールとしても運用できそうだ。
今度試してみよう……
と、そんな感じのことをイコリア(MtGの新作カードパック)のプレビュー記事を見ながら考えていたのであった。
〇参考文献
MTGwiki カラーパイ
http://mtgwiki.com/wiki/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%82%A4