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映画の中のバルセロナもとっても素敵なのだ

ー バルセロナ きらきら太陽の真下のカフェで ー

◇このエッセイは二十年ほど前のバルセロナのお話しです◇

 バルセロナの見どころは、ガウディだけで終わることはない。数々の映画の舞台としてこの街は登場している。
 1963年4月にジョン・レノンとマネージャーの二人だけで数日間の休暇を過ごしたという設定で作られた(製作されたのは1991年)映画『僕たちの時間』は全編モノクロだ。バルセロナの風景が白と黒になっただけで遠い昔の風景にタイムスリップできてしまうのは、古い建物や街並みが残されているバルセロナならではの映画だと思う。
 若き日のジャック・ニコルソンが出ているミケランジェロ・アントニオーニ監督のロードムービー『さすらいの二人』は光や風の雰囲気が素晴らしくよく表現されている。撮影当時70年代のガウディ作品はジャック・ニコルソンと同じでとっても初々しく感じられる。
 バルセロナの人々の生活が知りたければビガス・ルナ監督の『おっぱいとお月さま』がおもしろい。テテ少年の夢と初恋がたっぷり詰まった物語。これはおそらく日本で最初のカタルーニャ語の映画だと思う。
 ペドロ・アルモドバル監督の『オール・アバウト・マイ・マザー』に出ているペネローペ・クルスはドメネク・イ・ムンタネーの建築で有名なカタルーニャ音楽堂の音楽ホールの向かいに住んでいるという設定だ。この映画の中で主人公の女性がマドリッドからバルセロナへやってくる時にバルセロナの街を上空から写した場面がある。あのスクリーンいっぱいに映し出されるバルセロナの景色は、私がこの街に留学するために、住み始めたばかりの当時の心の映像によく似ていて、鳥肌がたってしまう。私にとってそれは心細さと大きな希望が入り混じった映像なのだと思う。
 そんな留学時代をもっと明確に思い出させてくれたのはセドリック・クラピッシュ監督の『スパニッシュ・アパートメント』だ。ヨーロッパ数カ国の留学生たちがバルセロナを舞台に、ひとつのアパートで共同生活をする物語。この映像の所々に、私がこのバルセロナで体験したような生活がおもしろいように描かれていた。監督、どうして知ってるの?とたずねたくなってしまうほどだ。もしかしたら、いやたぶん監督もここで留学体験をしたのだと私は思う。
 そんな映画を見てお腹をかかえて笑ってしまったが、懐かしくてレモンのようなすっぱい気持ちになってしまった。コメディー映画『スパニッシュ・アパートメント』はあの映画だけの話だけではなく、バルセロナのあちらこちらで存在している、とってもリアルな物語だと思う。

ここからは二十数年前からヒューッと時間をもどし、現在のことをかきます。

 バルセロナを舞台にした映画は、とっても味わい深いものが多いので、チャンスがあればぜひ見てもらいたい。そのきっかけになってもらえたらと思い、それぞれの作品の予告編をYouTubeで探してみた。

『僕たちの時間』/ The Hours and Times
日本では1993年公開
監督 クリストファー・ミュンチ


『さすらいの二人』/ The Passenger
日本では1976年公開
監督 ミケランジェロ・アントニオーニ
 ガウディのカサ・ミラでのシーンがある。


『おっぱいとお月さま』/ La Teta y La Luna
日本では1995年公開
監督 ビガス・ルナ


『オール・アバウト・マイ・マザー』/ All About My Mother
日本では2000年公開
監督 ペドロ・アルモドバル


『スパニッシュ・アパートメント』/ L’auberge Espagnole
日本では2004年公開
監督 セドリック・クラピッシュ

 ここまでは20年ほど前のエッセイで語った映画だが、その後のバルセロナを舞台にしたものではこんなのがある。

『それでも恋するバルセロナ』/ Vicky Cristina Barcelona
日本では2008年公開
監督 ウディ・アレン


日本映画ではサグラダファミリアを舞台とした映画もある。
あまり注目されなかったが、バルセロナ好きの私は結構心に残っている。
松下奈緒と竹財輝之助が演じる若い二人の恋物語だ。
『未来予想図 〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜』
監督 蝶野博
公開2007年

それではこの辺で。 良い一日を ボンディア!

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