ウエムラキョウコ

上村香子/バルセロナ在住、グラフィックデザイナー。現在は布で小物などを製作したり、ブログでバルセロナの素敵なお店や暮らしのことを綴っている。著書に『旅のヒントBOOK 心おどるバルセロナへ』(イカロス出版から)がある。 ブログ https://kinopiyo.com/dia/

ウエムラキョウコ

上村香子/バルセロナ在住、グラフィックデザイナー。現在は布で小物などを製作したり、ブログでバルセロナの素敵なお店や暮らしのことを綴っている。著書に『旅のヒントBOOK 心おどるバルセロナへ』(イカロス出版から)がある。 ブログ https://kinopiyo.com/dia/

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バルセロナ きらきら太陽の真下のカフェで

はじめに まだブログがない時代に、バルセロナのおもしろさを伝えたい、伝えようとブログのように描いたエッセイだ。 先日、衣替えをしようと部屋の掃除をしていたら棚の奥のほうに無印で買ったキナリ色のなつかしいファイルが出てきた。それがこれだ。 二十年ほども前のバルセロナの風景や香り、人々の様子を描いたものだ。 それでふと思ったのだ。noteで投稿してみたらどうだろうか、、、。 思ったら即行動とはいかない腰の重い私だが、このことに関しては気持がスルスルと歩くようなテンポで進み、今こ

    • アニエス・ヴァルダの展覧会へ行く

      若い頃は、フランスに憧れていた。 それは、紛れもなく映画の影響で 暇さえあればTSUTAYAなどへ行き フランス映画のビデオを数えきれないほど借りていた。 アニエス・ヴァルダと言えば 私の中では『5時から7時までのクレオ』だ。 主人公の女性のファッションが大人っぽくて洗練された感じや パリの街並みが流れるように映し出され その中でもカフェでの映像がとても印象的だ。 そこへ集う人々が話すフランス語の音、仕草、雰囲気。 すべてに胸を鷲掴みされてしまった。 だから、映像に夢中だっ

      • バルセロナのチョコレートSimón Collシモンコルの、チョっとした話し

        この写真にも描かれているように カタルーニャ語でDes de 1840とある。 これは英語でいうSinceの意味で 1840年からこの会社が始まっているということだ。 Sinceというと、私の好きな『みうらじゅん』を思い出してしまうのだが、、、 と、まぁその話は置いておくとして。 実は、このSimón Coll 1972年にあの有名なバルセロナのチョコレート会社である 『Chocolate Amatllerチョコラテ・アマッリェ』を買収しているのだ。 どれほど有名かというと

        • バルセロナでビキニを食べよう

          夏が似合うバルセロナ。 海に行くとビキニ姿の観光客でいっぱいなのではないかと 思うこの頃。 ここでビキニのお話をしたいのだが、 残念ながら、水着のことではなく バルセロナのBarバルで定番メニューの『BIKINIビキニ』という名の 食べ物のことだ。 ここバルセロナでは 若者に人気の素敵なカフェから老舗のオヤジ系のバルまで 『BIKINIビキニ』という名のホットサンドが存在する。 ちょっと、おしゃれすぎるカフェにはもしかしたらないかもしれないが、、、。 ほとんどののバルやカ

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        バルセロナ きらきら太陽の真下のカフェで

          バルセロナで、素敵なのにあまり知られていない美術館

          地下鉄の駅、エスパーニャ広場で降り 階段を上がって地上に出ると 真っ青な大空と光り輝く太陽と 真っ直ぐに伸びた大通りの先に見えるのが カタルーニャ美術館。 そこからまた先に、ミロ美術館がある。 それらは誰もが観光に来ては行ったことがある 有名な美術館だろう。 でも、エスパーニャ広場駅から 一番近くて、素敵な美術館がある。 しかもチケットがとってもお手頃な値段なのである。 それが、今から紹介するCAIXA FORUMカイシャ・フォルムだ。 この美術館の建物は110年以上は経っ

          バルセロナで、素敵なのにあまり知られていない美術館

          小津安二郎生誕120周年記念をバルセロナ映画祭で

          バルセロナの街を歩いていたら あら? なんだか日本人っぽいお顔のポスター? 近づくにつれ、 それが、原節子だと理解できた。 美しい人だ。 はてさて、なんのポスターだろう。 そう思い、もっともっと近づいてよく見ると、 それはバルセロナ映画祭の ポスターであることがわかった。 そして、そのビジュアルは 小津安二郎監督作品の『晩春』からの一コマだと webの案内を見て知った。 この映画祭は今年で第8回目を迎え 世界から集められ、 選び抜かれた70本ほどの映画が上映される インター

          小津安二郎生誕120周年記念をバルセロナ映画祭で

          バルセロナからショートトリップ、崖の上の小さな町

          カタルーニャの小さな町を訪ねるのが好きで 夫のバケーションに合わせて 車であっちこっちと出かけている。 今回紹介したいのは この崖の上に町並みが並んでいる Castellfollit de la Rocaカステルフォリッダラ・ロカ。 少し歩きたかったので 町へは直接、車で入らず 少し離れた場所に車を停めて 歩いて上まで登った。 この景色を見ると 登るのは相当大変そうに見えるが ゆるいハイキングコースがあり 古い橋を渡って、 誰もが歩けるほどの 少し急な坂道ではあるが 子ども

          バルセロナからショートトリップ、崖の上の小さな町

          地中海を散歩する

          ◇このエッセイは二十年ほど前のバルセロナのお話しです◇ ときどき海を見たくなることがある。 水着を身につけて海に入って泳ぐとか ギンギンの太陽を浴び、サンオイルをベッタリと身体に塗って 日焼けをしたいとかいうのではなくて なんとなくあの空と波が打ち寄せる景色を 風に吹かれながら 感じてみたくなるのだ。 どちらかというと それは夏以外の海が、私の気分にぴったりくる。 地中海までは 住んでいる場所から歩いていけるほどだったので ほんとうによく散歩をした。 バルセロナの中心地

          地中海を散歩する

          バルセロナの冬のお楽しみは

          ◇このエッセイは二十年ほど前のバルセロナのお話しです◇ 二月に行われるカルナバールは寒い季節に 心楽しくさせてくれる愉快な行事だ。 『カルナバール』とは いわゆる『カーニバル』のことだけれど リオのカーニバルほど大それたイベントではない。 大人も子どもも着飾って仮装をして街に繰り出すのだ。 「みんなでやればコワくない」という言葉がピッタリ。 この日ばかりは、皆とてもはじけている。 いろんなものに変身している人々の姿を、 街に出て見に行くと良い。 いや、見るだけでなく、ぜひ

          バルセロナの冬のお楽しみは

          初日の出はモンセラがいいという話

          海外に住んでいると 日本のように初詣という行動に出ることがない。 それはそうだろう。 ここはヨーロッパ、文化が違うし しかも神社があるわけではないのだから。 バルセロナ郊外に住んでいる私は ここの初日の出が朝の8時台だということを知り、 我が家から車で1時間で行けるモンセラなら そんなに早起きをしなくても 無理せず8時台にそこへ行けるではないかと思い、 去年はじめて夫の車に乗り 初日の出を見にモンセラへ行ったのであった。 去年の初日の出は 出てくるまではドキドキワクワクで

          初日の出はモンセラがいいという話

          パーティに呼ばれた時は

          ◇このエッセイは二十年ほど前のバルセロナのお話しです◇ 休みの日には ホームパーティに呼ばれることが多い。 そんな時は、 だいたいワインを一本買って持って行く。 ワインに詳しいフランス出身の子に 美味しいワインの一番のポイントは何かと たずねたことがある。 それは、スパイシーであることだ!と教えてくれたが それは試飲してみないとわからない。 知識がない私のワイン選びは もっぱらラベルのデザインで決めることが多い。 いわゆるジャケ買いだ。 ホームパーティーと言うからには 友

          パーティに呼ばれた時は

          バルセロナの『ミロ-ピカソ』展をたずねて 【その2】

          私も蠍座で なんならピカソと同じ誕生日だ。 そんなことを知った小学生の時 同じ誕生日なら同じような人生を歩むかもしれないという思いを秘め 学校の図書館で借りたピカソの本を読んで スペインのマラガで生まれ 後に、バルセロナに移り住んだことを知った。 これが、私が最初に『バルセロナ』というワードを認識した時だった。 バルセロナに移り住んだことだけは同じだが 歩んだ人生は全く違う、違いすぎる。 今回の展覧会で、ピカソの展示物に カワイイふくろうの作品が目についた。 ピカソはハトが

          バルセロナの『ミロ-ピカソ』展をたずねて 【その2】

          バルセロナの『ミロ-ピカソ』展をたずねて  【その1】

          ピカソの誕生日は10月25日、蠍座の男だ。 つい先月、その誕生月から始まった『Miró-Picasso』というタイトルの とってもスペシャルな展示会へ行ってきた。 今年はピカソ没後50年、 ミロ没後40年という記念すべき年で それをピカソ美術館とミロ美術館の両館で 思いがけないほど数々の二人の作品を観ることができるのだ。 この部屋はミロの作品、ここの場所はピカソと区分されておらず ピカソとミロの作品がまぜこぜに並んでいるので 時々、これピカソ? これミロだよね! どっちが

          バルセロナの『ミロ-ピカソ』展をたずねて  【その1】

          バルセロナ、ゴシック地区の狭い路地を散歩してわかったこと

          ー バルセロナ きらきら太陽の真下のカフェで ー ◇このエッセイは二十年ほど前のバルセロナのお話しです◇ ゴシック地区へ行くと 場所によっては迷路のように路地がはりめぐらされている。 昔の人の知恵で 人が迷いやすいように わざとこのようになってしまったとのことだ。 地元の人でも道案内をするのに うまく説明できない事もあるという。 おまけに、路地はとっても狭い。 そのまま視線を上に向けてみると 青空の面積もすっかり細く狭くなっている。 こんなに細い路上でも 現地の人は平

          バルセロナ、ゴシック地区の狭い路地を散歩してわかったこと

          小さな親切でヘトヘトになったこと

          ー バルセロナ きらきら太陽の真下のカフェで ー ◇このエッセイは二十年ほど前のバルセロナのお話しです◇ 美術学校の新学期が始まろうとしていた頃、 友だちと一緒に 画材を買いにで出かけたことがあった。 ふとしたことから 友だちが版画を習いたいと言い出し、 それならちょうど画材屋さんへ行くから きっと何か情報がつかめるだろうと 軽い気持ちで『版画教室探し』ははじまったのだった。 まず最初にゴシック地区の坂の途中にある 画材屋さんへ行き、たずねてみた。 「版画を教えてくれ

          小さな親切でヘトヘトになったこと

          町が百年前にタイムスリップするお祭り

          本日はわが町のお祭りのお話。 つい先日、 住んでいる町でお祭りが行われた。 それは、ちょうどガウディが生きていた 百年ほど前のモデルニスモ時代の洋服を着て 町を歩くのだ。 もちろん、歩くのは町の人だけとは限らない。 観光でいらっしゃる人も 誰でも参加できる。 コスプレが好きな人なら たまらないお祭りだ。 ここ数年の私の感想としては 人生の後半を歩まれている 歳を重ねた方々が、 昔の洋服をまとって、参加されているのがほとんどだ。 やはり、とてもステキなので 衣装を着てい

          町が百年前にタイムスリップするお祭り