
ガウディの最高傑作といわれているコロニア・グエル
今やサグラダ・ファミリアは予約なしでは中に入れない状態だ。
そのうえ、とんでもなく人が多くて心が落ち着かない。
それでも、サグラダ・ファミリアは本当に特別な場所だと思っている。
とはいえ、私の中でとても印象的なガウディの建築物は
これからご紹介する『Colònia Güell コロニア・グエル』だ。
ガウディのパトロンといわれているエウセビ・グエル。
そのグエルが、バルセロナ空港のわりと近くにある町、
Santa Coloma de Cervellóサンタ・コロマ・ダ・サルヴァッリョに
1890年に繊維工場を建設し、そこで働く労働者も
この町に住まわせていた。
そこで必要だったのが教会だ。
1898年にその教会の建築をガウディに依頼したのだった。
ところが、その建築設計のためにガウディは10年間も複雑な構造研究を重ね

教会建設の工事が着工したのは1908年だった。
10年間も研究された放射線状アーチの構造は
後にサグラダファミリアで使用されることになる。
1914年グエルの体調が悪くなり、
息子たちに教会の指揮を任せたのだが
彼らが無関心だったため、
ガウディもこのプロジェクトから降りてしまったという。
それだけが原因ではないと思うが、一説にはそういう話がある。

写真正面の鎖で作られたのは教会を逆さにした形のもの
このように、コロニア・グエルは本当は地下聖堂だけではなかった。
未完成のままの教会となってしまったのである。
もし、きちんと出来上がっていたら、
サグラダファミリアの中ぐらいの大きさにはなっていたはずだ。
それが、たったの地下聖堂だけで終わってしまった。
コロニア・グエルはサグラダファミリアのための実験室だったと
言ってもいいかもしれない。

教会の中に入ると、花のモチーフのステンドグラスが
暗い教会内でほっこりと素朴な雰囲気で浮かび上がっている。
この微妙な色、ガラスにペンキのようなものを塗っているような感じで
普通のステンドグラスのガラスとはちょっと違う。
それが、この教会内でかわいい花が咲いているように見えるのだ。

こんな窓が22個も存在するとなると、
全ての窓を撮影してしまいたくなるほど。
さて、あなたならどの色彩がお好き?なんて
色彩心理的な質問までしてしまいたくなる。
さらに、祭壇のところにある照明が
私の心を鷲づかみにした。
小さいけれど、丸いステンドグラスがいくつかついていて
存在感のある形がいい。

こちらは、ガウディがデザインをした
教会の椅子。波のような曲線が彼らしい。
しかも、二人がけ。

教会の柱は大小あわせて42本。
わずかに斜めになっている柱は建物の重さを分散させているそうだ。
太い柱は玄武岩で作られていて、
削った後がザックリと残っているのが印象的。
その自然さを残しているところが
さすがガウディだなぁと思うのだ。

天井を見れば、蜘蛛の巣のようなデザインになっていたり
階段脇にはレンガでデザインされたスパイラル模様があり
いろんなもののちょっとしたものに魅了されてしまう。
この教会内にいると、
大恐竜展などで見られる
大きな恐竜の骨組みの中に自分がいて
包まれているような気持ちになってしまうのだ。
ぜひ、この気持ちを体験してもらいたい。

教会の建物にはキリスト教を表すシンボルもあちらこちらに点在しているので
じっくりのんびり探しながら、建物を観察するのもいい。
ちなみに、こちらの中央にある円形の中にあるモザイク模様は
三位一体を表すアナグラムだそう。

魚はローマ帝国時代にイエスキリストの象徴だったとのこと。
右上にステンドグラスを保護している針金のようなものが見えると思うが
これはグエルの繊維工場で使用された針を
リサイクル利用されているそうだ。

コロニア・グエルは
緩やかな丘にあり、
天に向かってそびえ立つイメージで
丘に寄り添う感じに教会が建てられている。
自然と一体化しているようなイメージなのだ。

バルセロナでは
月曜日は美術館などが休館だけれど
ガウディ関係の建築物はほぼ休みなく見ることができる。
それで、月曜日の午前中に予約無しで友人と
コロニア・グエルを訪ねたのだが
最初に入場した時は、
私たちの他にはたったのひと組のお客様だけだった。
その後、ひと組、ふた組とやって来た程度。
入場料は通常10ユーロで
バルセロナの図書カードを持っていたら8ユーロ
65歳以上も8ユーロだ。
ぜひ、『コロニア・グエル』に
行ってみて欲しい。
コロニア・グエルの詳しいことはこちら
行き方
地下鉄に乗って
Pl.Espanyaプラサ・エスパーニャ駅まで行き
FGCの電車に乗り換える。

コロニア・グエルは下の図にあるように
路線番号であるS3, S4, S8, S9
4つの路線番号にしか停車しないので
この4つのどれかに乗れば行けます。
駅の自販機でチケットを買うときは
『Zona 1』のボタンを押してください。
わからなかったら、チケット売り場の販売機近くに
駅のスタッフがいるので、スペイン語か英語で
コロニア・グエルに行きたい!と言えば
教えてくれます。

詳しい各駅の路線図 (下)

コロニア・グエル駅に到着したら
ペンキで塗られたブルーの足跡が道路に描かれています。
この方法が面白いと思った。
途中、足跡が白っぽかったり黒っぽかったりですが、
それを道標として歩いていくと到着します。
途中、昔グエルが持っていた繊維工場があったり、
素敵な並木道があったりで、楽しい。


10分ほど歩くとコロニア・グエルのインフォメーションがありますので
そこでチケットを買って裏側の方へ歩くと
建物が見えてきます。
ドキドキしますよ。
お楽しみに。
それでは良い1日を! ボン・ディア〜。