青森県平川市にいったい何があるというんですか?~弘南鉄道温泉旅(後編)
今回の記事は、本サイトの2本の記事を再編集しています。本サイトには移動手段や写真も多めに載せていますので、ぜひ合わせてお読みください!
平川市がどこにあるのか分かってもらえましたか?
前編では、弘南鉄道弘南線の駅前温泉を3つほど紹介したけれど、今回は同じく弘南鉄道で足を延ばしての温泉宿泊記録なのである。なので、残念ながら「青森県平川市」を飛び出してしまうので、平川市の話題ではない。
平川市の弘南線沿線は温泉の宝庫だよ、という魅力を伝えたい気持ちは前編で果たせたので、もう思い残すことはない。平川市の話題を期待された方には大変申し訳がないけれど、ここで読むのをやめられても、私にはそれを引き止める権利もない。
そういうわけなので、ひとつめは、弘南線終点の黒石まで足を延ばして「青荷温泉ランプの宿」に宿泊をした記録。
ふたつめは、弘南鉄道のもうひとつの路線である大鰐線に乗って、やはり終点の大鰐温泉で宿泊をした記録。
黒石駅から 青荷温泉ランプの宿でデジタルデトックス
青荷温泉は、スマホの電波も届かないような山間にある。とはいえ、アクセスが超困難かというとそんなことはなく、黒石駅から弘南バスで「虹の湖公園」まで行けば、宿の無料送迎車が迎えに来てくれる。
車に乗って山の奥へと分け入っている間にも、スマホのネットの電波はどんどんと弱まり、宿に到着する頃には完全にネット環境からは切断された。もう、5Gとか4Gとか、速いとか遅いとか、そんなレベルではなかった。
「ランプの宿」というだけあって、もちろん電灯なんてものはない。電気製品はどこにもないし、部屋には電源コンセントすら存在しない。せっかくデジタルデトックスができる環境に来たのだからと、翌日までスマートフォンの電源ごとオフにした。
宿に着くと、まずは温泉で汗を流し、日が暮れるまで読書をする。夕食をゆっくり食べて、就寝前にまた温泉に浸かって眠りに入る。暗くて何もすることがないので、21時に布団に入るという、いつもの自分ならあり得ない時間での就寝だった。窓の外の池では蛙が鳴き、その声が心地良い子守歌になっていた。
翌朝は夜明け頃に自然に目が覚めて、朝風呂に入る。そして、朝食まではひたすら読書。
温泉は、内湯の他に露天風呂、滝見の湯、健六の湯の4つの湯が楽しめる。
夕食も朝食も大広間で食べる。夕食はランプの下で、朝食は山間から朝日が昇りきる前の時間帯だったので、いずれも薄暗い中での食事だ。シンプルな味付けの食事だが、必要十分だ。食べるペースも、自然と、1品1品きちんと味わうようにゆっくりとなる。
夕食時には、ちょうど津軽三味線の演奏会の企画があり、三味線の音色を聞きながらの食事もなかなか良いものだった。みんな演奏に聞き入っているので、食事をしながら無駄なおしゃべりをしているような人もおらず、とても良い雰囲気だった。
翌朝、黒石駅行きのバスの時刻に合わせて、送迎車で「虹の湖公園」まで送ってくれる。
わずか1日のデジタルデトックスではあったが、あらためて分かったことがある。自分が1日くらいデジタルから完全にオフにしたところで、自分のあずかり知らぬところでも世の中は動いているのだから、常にデジタルでつながっている必要はないし、外からの情報に急き立てられる必要もないということだ。
大鰐温泉「温泉民宿赤湯」はコスパ高レベルの宿
弘南鉄道のもう1つの路線である大鰐線。その終点の大鰐温泉がもうひとつの目的地。これで弘南線と大鰐線を始発駅から終点駅まで乗り尽くしたことになる。
大鰐温泉では早々に宿のチェックインを済ませて部屋に荷物を置き、近所の共同温泉に入るため、タオル類と小銭を持って、散歩がてら近所を徘徊。
そしてやって来たのは、宿の近くに2つある共同温泉の1つ、若松会館。200円。源泉かけ流し、高温なので加水をしているが、それでも熱めのお湯なのだった。自分の他に人がいなかったので、かけ流しほやほやの新鮮なお湯で、余計に熱かったのかもしれない。
風呂上り後は、飲み物を片手に、涼みがてら寂れた雰囲気の温泉街を散策。
町を流れる平川の川沿いの歩道はきれいに整備されていて、涼むにはちょうどいい。訪れた頃は、外気も暑すぎず涼しすぎず、外湯めぐりには良い時季だった。
宿泊したのは「温泉民宿 赤湯」。
部屋はひとりには十分な広さで、きれい。トイレや流しなどの共同スペースも清潔感がある。さすがに昨今の世の中の情勢で値上げをしてしまったが、温泉付きで2食付いた「ビジネスプラン」はコストパフォーマンスが高いと思う(私が宿泊した時は6500円、2023年9月現在は7500円)。
食事は「ビジネス2食付き」のプランとはいえ、品数も量も十分なレベル。そして美味しい。地域の名産品である「大鰐もやし」を使った小さな鍋も付く。
先を急ぐ旅でもないし、翌朝はゆっくり朝風呂に入って、チェックアウト。
弘南線沿線の日帰り温泉を楽しみ、黒石駅から青荷温泉ランプの宿、そして大鰐線で大鰐温泉に宿泊…と、弘南鉄道を使い倒しての2泊3日の温泉ひとり旅は、観光するという目的に気を取れることもなく、身も心も頭も時間もリフレッシュできた、良い旅となったのだった。