「出直し」の話
second placeの佐藤です。
どうぞよろしくお願いします。
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能登半島地震の発生から現在の避難状況のニュースに触れることで思い出し、自分との会話を続けている、大学時代の友人の話です。
大学時代、私は入学当初からいわゆる体育会の運動部に所属していましたが、彼は入学当初からではなく、学年の途中から入部してきました。現在もおそらく同じ感覚かと思いますが、どこかのタイミングで途中から体育会の運動部に入部するのは珍しく、かなりの覚悟を持ちながらも、人一倍そのスポーツに対する情熱と愛情があったのだと思います。
入部後はお互い同学年ということで、大変多くのコミュニケーションを取りましたが、話題が非常に豊富で、スポーツへの情熱は部内でもトップクラスでありながら、どこかそれが人間としての彼のほんの一部に過ぎない、と感じさせるような、何とも言えない不思議な感覚を記憶しています。
そんな彼からコートの中でも外でもたくさんのことを勉強させてもらっていたわけですが、非常に残念そうな表情で「部を辞めなければならなくなった」という話を直接聞いたのは突然のことでした。
他の学生とは少し異なる境遇で、自ら厳しい状況に身を置いて大学生活を送っていたことや、私を含めた部員たちに心配をかけないように元気に振舞っていたことなどを知ったのは、恥ずかしながら彼から部を辞める話を聞いた後のことでした。
スポーツに対する情熱は誰よりもあるけれど、まずは学生の本分である学業を優先させることを選んだ彼の姿を見て、改めて自分の物事に取り組む姿勢について非常に深く考えさせられました。あれから20年以上が過ぎた今も、彼からたくさんのことを勉強させてもらっています。
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日々の生活の中で、特に目の前のやるべきことがあまりにも膨大で、疲れを感じてしまうとき、人間なのでどこかいい加減といいますか、投げやりになってしまう瞬間は誰にでもあると思っています。
そんなとき、大学時代に非常に影響を受けた彼のことや、(以前投稿をさせていただきましたが)高校時代の担任の先生から「海外に行ってしなければいけないのは、日本について考えることだ」と言われたことを自然と思い出します。
能登半島地震後、今も断水が続いているなどのニュースに触れるたびに、自分事として好きなことに取り組むことができる価値の大きさ、日々安穏と生活できる価値の大きさを改めて痛感しながら、今の自分自身を見つめ直し、出直しを繰り返すべきだと思っています。
second place 佐藤
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