「バランス」の話
second placeの佐藤です。
どうぞよろしくお願いします。
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大学時代、海外遠征としてオーストラリアを訪問する機会に恵まれました。大変貴重な体験として、期間中はAIS ( https://www.ais.gov.au/ )という施設に滞在させていただきました。
AISは将来オリンピックで活躍するような選手を輩出することを目的に国が設立、数多くのアスリートたちが競技を越えて集まっている環境でした。
日本では当時からあまり馴染みのない施設でしたし、当然ながら私自身も聞いたことがなかった施設でしたので、IMG Academyの時と同様、「競技を越えて」アスリートたちが集まってお互い刺激を与え合っている点にとても興味を抱いたことを記憶しています。
ただ、実際に滞在してみて最も印象に残ったのは、「エリート教育」の側面についてでした。あくまで当時のお話ですが、現地の関係者の方々からお話を伺ってみると、AISにいるアスリートたちは早いうちから将来を期待されてきたようないわゆる「エリート」たちが多く、当時としては珍しかった科学的な方法で競技力向上をサポートされ、各競技に必要な心理的な安定などについてもアドバイスを受けられるとのことでした。
滞在中、都市部から離れた広大な施設の中で、すべてのことが「将来的にアスリートとして世界的に活躍する」という目標に向かって一直線の印象を受けたのと同時に、とても個人的な感想として、「広い視野を持つ」というようなことを身に付けるには少し大変だろうな、とも感じたことを記憶しています。
同じような家庭環境で生まれ育ち、似た価値観を持つ人たちと切磋琢磨しながら競技力を向上させていくことは、ともすれば「合理的な方法」なのかもしれませんが、あくまで個人的な意見となりますが、本当に難しい状況であったり、自ら答えを出して突き進まなければならない状況のときに必要になってくるのは、この合理的な方法「だけでは」きっと身に付けることが難しい、例えば「想像力」のようなものである気がしています。
エリート同士が切磋琢磨できる環境に身を置きながら、一方で生まれ育った環境も年齢も国籍も立場も自分とはまったく異なる方々とのコミュニティ「にも」身を置くような、お互い激しく影響を与え合うような「バランス」の可能性について、今も自らの偏りを痛感しながら考え続けています。
second place 佐藤
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