「スポーツとの向き合い方」の話
second placeの佐藤です。
どうぞよろしくお願いします。
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スポーツを観る楽しみのひとつとして、アスリートのみなさんのスピードやパワー、技術に裏付けられた正確性やセンスに触れられることが挙げられると思いますが、個人的にはアスリートのみなさんが何を感じ、何を考えながらプレーしているのかを想像することが大きな楽しみのひとつとなっています。
以前、陸上男子20km競歩の山西利和さんが出場した世界選手権のレースの様子、レース後のインタビューをテレビ中継で観る機会がありました。とても暑い中でのレースだったと記憶していますが、素人の私でも理解できるほど素晴らしいパフォーマンスで見事優勝を果たしました。
レース中には絶対に優勝するという情熱のようなものを見せてくれていましたが、レース直後のインタビューでは淡々とレースを振り返る一面を見せてくれました。
『世界一にこだわりはあるが、勝ち負け=白黒はすべてではない』
『すごいことをしたという思いはありませんが、誰かの通った道ではない道を歩き始められている』
レース直後ということで、気持ちもかなり高ぶっていたであろう状態でのインタビューだったにも関わらず、「世界一になることができてうれしい」などの瞬間的な感情を表現するわけではなく、世界選手権で優勝したこの日を、いつも通り練習をする日と同じように捉えているようでした。ともすれば批判を受けかねないコメントを、恐れず堂々と話している様子が非常に印象的でした。
あくまで自分の経験だけを振り返ってみますと、スポーツの世界では結果を残すために人生を懸けて、すべてを犠牲にして、というスタンスで取り組む価値観がある程度浸透していた側面があったかと感じています。
しかしながら、個人でも膨大で多種多様な情報に触れられるようになった現代において、アスリートのみなさんが選手としてスポーツに取り組む時間を長い人生の一部として捉え、その貴重な時間をどのように過ごすべきなのかを考え、ひとりひとりがオリジナルな「スポーツとの向き合い方」を見出しているように思います。
山西さんの堂々とした受け答えも、きっと日頃から自分の「スポーツとの向き合い方」を考え続け、ある程度の答えを見出し、それが自分の中で腹落ちしていたからこそ、誰に何と言われようと私はこう思う、という確固たる信念に裏付けられたものだったと想像しています。
学生スポーツはもちろん、何よりも結果を出すこと、勝つことが優先されるプロスポーツの世界でも、少しずつ世の中と同じように多様性が叫ばれ、これまで以上に「スポーツとの向き合い方」が異なるみなさんがぶつかり合うことで新しいケミストリーが生まれ、これまでにない世界観を見せていただけることを楽しみにしています。
second place 佐藤
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