パッセンジャー
指先の感覚がもうない
裏通りのゴミ箱の中をねぐらにしてなお
朝日が差すので歩みを止められない
灯りに釣られて
殺虫剤かけられにやってくる羽虫たち
似たようなものかもしれない
もう君は10代でも20代でもないのに
苦味だけ 空白だけ
見つめて 見つめられて
苦味だけ 空白だけ
空いたカップ スプーンに止まるハエ
出来れば行かないで欲しかったけど
心臓が動いている以上
時計の針は止まってくれない
かつても王ではなかった
どぶさらいをやってたら日が暮れただけ
帰って親子どもを殴るだけ
アイムパッセンジャー
ガソリンが常に漏れている軽トラ
アイムパッセンジャー
このままガードレールの外側へ
アイムパッセンジャー
名もなき人が名もなき人を殺して