野中銀花:『透膜による遮断/つばのぬめり』について
出演者一人一人に、作品について自由に書いてもらいました。直接のネタバレはありませんが、作品のテーマに触れているnoteも多いためご注意ください。このnoteは、警察官役、野中銀花のnoteです。
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かなり前に公演まで1カ月を切った、第二懺悔会の駒場祭公演ですが、この公演のある稽古日の翌日に、実は愛知に日帰り旅行をしていて。旅行と言っても目的は一つで、その一つの目的というのが他ならぬ推し活であって。稽古が夜9時に終わった次の日、ちゃんと時間をかけておしゃれをしてから朝8時に家を出て、新幹線に乗って行ってきました。この上日帰りだから少々強引なスケジュールなのだけれど、お目当ての期間中に1日中空いている日が他になかったから仕方ありませんでした。
私は、気晴らしの第一選択として推し活を決行しがちで、加えて今後の自分のタスクが大変そうになることを察すると、前倒しで心の支えをストックするために多少場所が遠かろうと多少お金がかかろうと推し関連の諸々の場所に軽率に足を運びがちになっているのです。私の父親も、娘も家から離れ、そろそろ自分のために時間を使ってやりなと母親から言われてからというものの、暇になるたびにはるばる各地に遠征し、東京にやってきたとしても私に会おうとする素振りも見せず推し活だけをして帰っていきます。どうやら血は争えないらしいです。
ちなみに現在これほど積極的に推し活をしているのは2次元の方。現実の方でも推しはいるのですが、考えてみると近場でやっているライブに行くことぐらいまでしかしたことがありません。私の場合は、「推し」という自分にとって特別な存在でありながら同じ地平に立つことが、実際に近づきすぎてしまうことが、なんだか怖く感じてしまうのかもしれないです。「推し」には、個人としての自分が干渉しないところで私が好きだと思うようなことをしているところが見たいという、なんだか面倒くさい感情を持っているようです。自分がどれだけ近づこうとしたとしても、相手の方は決して一定の距離を超えては近づいてこない安心感。何があっても私が相手を変えてしまうことのない安心感。私がどれだけ相手に期待をしていても、相手はその評価に見向きもしない安心感。自分の推しのことを好きに好きでいられる安心感が、「推すこと=安らかな気持ちになること」のままでいさせてくれるのだと思っていたりもします。まあ、実際のところは、今一番推しているその2次元のキャラが、自分の中に衝撃が走るくらいにあまりにも好みにドンピシャだっただけなのですが。
ただこれは、周囲の人たちに私の「推し」は全くいないと言っていい、その理由になるには十分な言い訳ではあると思っています。そうされるつもりは全くないのに特別扱いされたり、過度に期待されたりするのが一番やるせなくて苦しいだけだと、私自身がそう思っている。そう思っているからこそ、滅多にはそのようなことはしたくない、と感じているのかもしれません。現実で実際に接している人には、それなりの距離まで近づいて、個人としての私の、ありのまま、とまでは言わないけれど、隠さないでもいいと思えている姿を見てほしいものですから。飾らなくていい、適度なおふざけぐらいだったら受け返してくれる対等な関係、というのがやっぱり一番好きなのです。
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★公演詳細
第二懺悔会2024年度駒場祭公演『透膜による遮断/つばのぬめり』
作・演出/甲斐敬識
■日程
2024年11/22(金) 13:45開場 13:55開演
2024年11/23(土) 09:15開場 09:25開演
2024年11/24(日) 14:15開場 14:25開演
※受付は行いません。
※上演時間は約40分を予定しております。
※予約は不可となっております。直接会場までお越しください。
■会場
駒場⼩空間(東京⼤学駒場キャンパス多⽬的ホール)
京王井の頭線「駒場東⼤前」駅東⼝より徒歩7 分
全席自由・無料カンパ制