森環:『透膜による遮断/つばのぬめり』について
出演者一人一人に、作品について自由に書いてもらいました。直接のネタバレはありませんが、作品のテーマに触れているnoteも多いためご注意ください。このnoteは、母役、森環のnoteです。
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アイドルを好きになったことがありません。
正確に言うと、男性アイドルに対して疑似恋愛的な感情を持ったことがありません。よく考えてみると、アイドル以外の芸能人も、Vtuber もアニメキャラも、とにかく「推し」を作ったことがありません。
また、リアルの知人(クラスメイト、先輩、先生……)を「推し」と呼ぶのを聞くことがありますが、これもやったことがありません。
これはたまたまやったことがないのではなく、個人的な考えで使用を避けています。というのも、リアル対人関係の中での「推し」という言葉は、その人に対してアクションを起こさないために使われることが多いと思っているためです。
「告白とかしないの?」
「いやあ○○は推しだから」
といったように、「推し」は曖昧に好意を示しつつ何もしないときの理由づけとして使われ ることが多いと感じています。しかし――私の考えではですが――アクションを起こさない好意などというものがあるでしょうか? 私は内気な人間なので人を誘ったりすることは実際にはかなり難しいのですが、それでもチャンスがあれば誘うぞという内的なアクションはたいていあるものです。
この話をすると思い出すのはある友人との出会いのことです。彼女とは一年生のときに新歓で知り合って、しかし別のサークルに入ったので知り合う機会がなかったのですが、どうしても話してみたいとずっと思っていて、たまたま学食で見つけたときに声をかけて友達になったのです。
私にとって人に興味を持つというのはそういうことであり、今後もこのスタンスを変える つもりはありません。
「それ偶然うまくいっただけで仲良くなれないかもしれないじゃん」と言われるかもしれません。私もそれは重々承知の上ですし、誘ってみたものの仲良くなれなかった人のほうが圧倒的に多いです。
それも当たり前の話で、人間の好意というものは基本的に気持ちが悪いのです。気持ち悪いものをいきなり押し付けるのですからぎょっとされて当然です。しかし、その気持ち悪さというのは、引き受けないことによって消滅するタイプのものではないと考えています。
むしろ自分の中で長い間気持ちをぐつぐつ煮詰める行為は、いざ気持ちを拒絶されたときに反射的に浮かぶ負の感情を膨らませることになって経験上危険です。アクションへの欲求があるならアクションしたほうがいいです。心に変な圧がかかるのを防げます。
今だったら駒場祭に誘いましょう。それでうまくいったらその人と、うまくいかなかったら 一人で劇場に来るといいと思います。11/22-24 は駒場小空間でお待ちしております。
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★公演詳細
第二懺悔会2024年度駒場祭公演『透膜による遮断/つばのぬめり』
作・演出/甲斐敬識
■日程
2024年11/22(金) 13:45開場 13:55開演
2024年11/23(土) 09:15開場 09:25開演
2024年11/24(日) 14:15開場 14:25開演
※受付は行いません。
※上演時間は約40分を予定しております。
※予約は不可となっております。直接会場までお越しください。
■会場
駒場⼩空間(東京⼤学駒場キャンパス多⽬的ホール)
京王井の頭線「駒場東⼤前」駅東⼝より徒歩7 分
全席自由・無料カンパ制