子どもと本〜本を読む文化を次世代に繋げていきたい〜
セカンドスターのコラムをお読みの皆様、はじめまして。セカンドスターに参加している髙田理恵子です。
私は司書の仕事を16年間しています。本を子どもたちに手渡すのが基本的な仕事です。本を渡す人だと思われているせいか、子どもたちに「この本読んで」と言ってもなかなかすぐには読んでもらえないことがあります。
今回は、この「司書」というお仕事を通じて感じる、子どもたちの本との関わりについてお伝えしたいと思います。
本を読まない子どもたち
子どもたちに図書館まで足を運んでもらうために、図書館の掲示物を工夫したり、読書月間のイベントを企画したり、読み聞かせやパネルシアターをしたりしています。こうやって子どもとの信頼関係を築いていくことが必要なのです。
最近は本を読まない子どもが増えている、と取り沙汰されてています。
私が小学生の頃は遊びといえば読書くらいしかなく、よく本を読んでいました。今のようにたくさんの種類の本もなかったように思います。
今の子どもたちの置かれている状況を見ると、塾や部活で忙しいのでしょう。そして、なによりも情報ツールがたくさんあります。本を読まなくても、SNSや動画などでたくさんの情報を得られるのです。
本は小学校低学年で20ページ以上、中学年で50ページ以上、高学年になると100ページ以上の文章をじっくりと読むことが必要だとされています。読書は、その内容を理解し、前の内容を反復し、頭の中に文章の構図を描いていくという、とても高度な行為です。
確かにインターネットの情報は新鮮です。しかし、それが真実とは限らず、内容が浅いという欠点もあります。
本は生きていくための思考力となる
インターネットの情報と比較すると、本にはかなりの信憑性があります。ノンフィクションであれば真実に近づけるために、作家が丹念に一つの真実を調べて追及して書いているからです。思考の偏りにより見方が違う、情報が最先端ではなく出版された時には少し遅れているという欠点も多少はありますが。
フィクションであっても作家の並外れた才能のもとに書かれた世界が展開されています。
フィクションであれ、ノンフィクションであれ、子どもたちはそれぞれの本の世界の中から、喜怒哀楽の感情や世の中の仕組みや人間同士の会話の仕方、人に対する思いやりといった人生を学びます。
そのほかにも、宇宙のこと、動植物のこと、自然界のこと、世界に沢山ある生産されているものの仕組みなど、さまざまなことを本によって知識を得ることができるのです。
それらを総合して、自分が生きていくための思考の力となり、生きていくための知恵となっていくのだと思っています。
子どもに本を読むことの大切さを教えてほしい
本を読むという高度な行為を、最近の子どもたちはしなくなってきました。それは私たち司書も危惧しています。日本をさまざまな面で思考的に豊かな国にしていくためにも、読書は子どもたちにとって大切なことではないでしょうか。
考える力を育み、生きるための知識や知恵をもらい、思いやりや人間関係なども学ぶ。社会に出て自分が生きていくためのツールが、本にはたくさんあるのです。絵本も小さな芸術家と言われるほど、感性を磨くのに適しています。
五感を豊かにして、あらゆることに柔軟性と知識で対応できるようになるためにも、私はこれからも子どもたちのために本を手渡していきたいです。
セカンドスター世代の皆さんには、身近なツールとしてお子さんやお孫さんに本を読んであげていただければと思います。
執筆:髙田理恵子
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