#KENMAYA です。



映画の内容を10分ほどに編集し、権利者に無断で投稿する「ファスト映画」を巡り、札幌市などに住む男女3人が著作権法違反の疑いで逮捕されたことが分かりました。「ファスト映画」投稿での逮捕は全国初。一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)は6月23日、摘発についてサイトで報告するとともに、今後も引き続き対策を進めていくとコメントしました。
「ファスト映画」は2020年ごろからYouTubeで増え始めた動画スタイルの一つ。短時間かつ無料で映画の内容を把握できることから人気が高く、中には100万~200万再生を超える動画も。CODAの推計では、これまでの累計被害額は950億円超にのぼるとされており、業界でも問題視する向きが強まっていました。


ロックダウンやステイホームの長期化に伴い、在宅で手軽に映画を視聴するネットフリックスやアマゾンプライムが大躍進する一方、YouTube上で映画を短く編集し(ネタバレや結末を含む)あらすじを紹介する「ファスト映画」というジャンルが人気を博していたのは皆さんもご存知だと思います。

明らかに再生回数、登録者共に好調なチャンネルはサムネイル、動画編集やオープニングのクォリティにもお金をかけ豪華になっていることから、かなりの広告収入を得ているものだと推測されます。

もちろん違法アップロードに他ならない「ファスト映画」ですが、なぜここまで再生回数やチャンネル登録者を獲得できたのでしょう。


1.歴史


時は遡り、2009年。

P2P(Peer to Peer※リレー方式)で動画を配信するPeerCastという媒体で、公開前の映画を配信したとして逮捕者が出ました。
この頃は動画配信というもの自体が黎明期であり、完全にアンダーグラウンドなものでした。アニメや映画、アダルトビデオの違法アップロードはもちろん、ゲームの実況配信などもガイドラインが定められておらず、無法地帯化していたのは事実です。

ニコニコ動画の生放送や、YouTubeLive配信やTwitchが浸透するにつれて、様々なストリーミング業界の自主規制やガイドラインが定められ、「アウト」、「グレーゾーン」、「セーフ」の線引きがされてきました。

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そう、未だに「グレーゾーン」があるんです。
これだけ時代が進んでもなお、いわゆる「黙認」という分野があります。
本来であれば、ゲームや版権キャラクター、他人の著作物を動画内で使用し、広告収入などで利益をあげるのには、そもそも版権元であるメーカーの使用許可、あるいは使用料を支払わなければなりません。

しかし、寛大なメーカーや権利者は「クレジット表記してくれればいいよ~」とか「個別の案件には許諾は出せません。≒使ってもいいけど常識の範囲内でね。」といった、利用者の良心に委ねる部分があります。


2.グレーゾーンを突いた勘違い系YouTuberたち

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「ファスト映画」はもちろんのこと、○○ランキングや紹介系動画、海外でバズった動画に日本語ナレーションをつけただけの動画、ナショナルジオグラフィックなど海外のドキュメンタリーを切り抜き編集し、日本語ナレーションをつけた動画、こういったものが現在、YouTubeでは人気を博しています。

もちろん真っ当な活動をされているYouTuberも多くいますが、こういった動画を作るYouTuberはもちろん使用許諾などを得ているはずもなく、YouTubeを回遊する層や自動再生をONにしている人たちは、知らず知らずの内にこういった動画が流れてくるはずです。

理由は単純で、視聴回数が多く、途中離脱率も低いため、YouTube側のアルゴリズムで自動的にオススメ再生されやすいためです。
YouTube側はあくまで広告がきちんと再生されることが全てですので、長尺で離脱率の低い動画がどんどんオススメに入ってくるようになる仕組みです。つまり、「グレーゾーン」を突いた動画は、低リスクかつ誰でも簡単に広告収入を得る手段として目をつけられてしまっているのです。


3.なんだかんだアウトでも見たい視聴者たち

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そもそも視聴されるから、「ファスト映画」というジャンルが流行ったわけで、視聴者はネットフリックスやアマゾンプライムでお金を払ってまで見たい映画ではなく、短くカットされて「映画を見た気になれる」無料動画を求めているわけです。

これは「映画が好きか嫌いか」の話ではなく、元々タダで手に入るなら欲しい、という卑しい心の持ち主でもあります。
そしてこういった人たちはYouTube上での取締りが厳しくなれば、比較的そういった規制が緩い媒体に移動するだけであり、残念ながらいたちごっこになるのが歴史的に見ても明らかです。


では、どうすればいいか。
ここからはわたしの個人的見解ですが、あらゆる企業や権利者が「グレーゾーン」を撤廃し、「セーフ」と「アウト」の境界線をきっちり表明すべきだと思います。

昔と大きく違い、今やYouTubeやSNSは金になる時代です。
違法アップロードだろうが、グレーゾーンだろうが、金になりさえすればいい。という考え方が跋扈しています。
最近特にわたしが疑問視しているのは、新作ゲームの実況配信です。
ゲーム配信自体は悪いこととは思いませんが、新作ゲームの本編をずらっと実況で流されてしまえば、そのゲームを買いたいと思う人は減りこそさえすれ増えることはないでしょう。

そしてゲーム実況者を見る層も「その実況者が好きだから見ている」層がほとんどで、ゲーム自体は何でもいいというのが本音ではないでしょうか。
コンテンツメーカーの方々にはその辺りが実際どうなのか、きちんと調査をした上でガイドラインの策定、改定なりを進めて頂きたいものだと思います。


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