この世の
考えてみると、蛇口をひねると水が出る、きちんきちんとした時間に電車が来て遠くまで行くことができる、なんなら空さえ飛行機に乗りさえすれば飛べるし、誰が住むか分からないないがあんなにきちんと真っ直ぐにあんなに高くタワーマンションが建ち、寒くないよう暑くないよう色々な工夫がなされ、人として生きるためのなにがしかの教育をするための機関があるなど。
本当に考えてみると人の世には数え切れぬほどの先人のあらゆる経験の上になるたけ快適に人間らしく豊かに過ごしていこうよ、そうしようというもので成り立っておりそうした知恵の上に自分らは生きている。
そこで巻取り式コードの掃除機への疑問が出てくる。
掃除が終わりさあ片付けようという段になるとこの疑問がいつも自分の前に横たわる。
コードを少し引き、手を離すとスルスルと掃除機本体に巻き込まれ吸い込まれて収納完了となるのだが。
あ、間違った、この掃除機を使う時のお話だ。このコードを引き出す時の問題であった。
「ここまで引き出したらもうそろそろと辞めてもらえませんかね」という感じでコードに黄色のテープが巻かれた部分が出てくるのだ。いわゆる「注意ポイント」だ。
それより先に引き出して行くと「警告ゾーン」に入り赤いテープか巻かれた部分に到達してそこから先は進めなくなるのだ。
なぜ、初めから黄色ポイントで引き出し不可能にしないのか?どうしてもそれが分からない。
使用する者の良心というか何か常識でも問われているのか?分からない。
なのでその理由を問うべく掃除機を製造している電気メーカーのお客様センターに聞くことにした。
するとなんと理由は「分からない」とのことだった。それ以上確認しましょうという意志をオペレーターから感じられなかった為一旦断念。きっと暇つぶしの冷やかしだと思ったのだろう。
こうして巻取り式掃除機のコードの不便というか不可解さは永遠に先送りされ解決しないままで。
しかし、これで良い。なにもかにも合理的に解決されてしまえばこの世の何か均衡が崩れてしまうのではないかとも思うのだ。
リカちゃん電話健在のニュースを見てホッと胸をなでおろしそんな事を思ったのだった。