芸達者なカラス
私はケーキ屋さんで働いている。
帰りにシェフが賄いとして作ってくれたクレープを貰った。
生クリームとイチゴとバナナチョコ。
冷蔵庫でひやひやを貰ったので帰るうちの1時間で
生ぬるくなってしまう。
そんなのもったいない!と、帰りや道に速攻で食べる。
バス停に着き、おっこらしょっと休憩がてらしゃがみ込む。
だーれもいない田舎町。しゃがむくらい許される。
クレープのクリームを食べてる感がたまらなく好き。
残り3分の1だ〜幸せが終わってしまう〜
バサーっバサバサッ
風切り音がし、登場したのはカラス。
私のクレープを狙ってきたことがすぐにわかる。
そういえば昔この辺に住んでいた頃
朝ごはんにおにぎりを食べながら毎日出勤していた。
急いで家を出るので時間の省略のために歩きながら食べていたあの時、背後からカラスに頭を突かれおにぎりを取られそうになったことがある。
しかも1度ではない。朝、カラスに会う日にはいつも私の周りを飛び回り視線をこちらに向けている。
彼らは私がおにぎりを食べながら歩いていることを覚えていて、狙おうとするのだ。
今来たこいつも強行突破で来るか?
少々ビクビクしながら伺う。
お?大人しいな。
クレープもう少しで食べ終わるんだけど。
彼はじーーーっとこっちを見つめてくる。
独り占めもデブまっしぐら、欲張りか。と思い一欠片投げてみた。
パくっと随分おいしそうに食べるじゃないか。
なんかお腹いっぱいだし全部あげよう。食べやすく一口ずつね。と、ちぎって投げる。なんと彼は
口キャッチでパクり。
おーーー!君、そんな芸もできるのか!
面白くなって『せーのっ』ポイっと投げる。上手に口キャッチ。
嬉しくて会話をしてみる。
『ほら。これ最後の一口だよ。せーのっ』
ナイスキャッチー!
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