【Covid Quarantine Birding <ヘラサギ>】
僕の探鳥フィールドである葛西臨海公園で、2021年5月現在最も人気のある野鳥が、写真のヘラサギ(Eurasian Spoonbill)。
写真のように池の杭の上に止まってる時がありますが、ほとんどの時間はクチバシを引っ込めてしまっているので、その間はただの白いかたまりが杭の上に乗っかってるだけの印象。
池の周辺に集まってるバーダーの皆さんも、なんだか暇そうで世間話などをしています。
しかし、ほんの一瞬だけ顔を上げて、その立派なクチバシを見せてくれます。そして誰かが「顔を上げたぞ!」と言うと、一斉に一眼レフの連写音が鳴り響く。
いや〜、まったく人気者はすごい!
そしてヘラサギを見るよりも、ヘラサギがクチバシを出す瞬間を、今か今かと待ちわびるバーダーさんたちの生態を見る方がよっぽど面白い!
なんだかとても愉快で、生き物への眼差しが優しい愛すべき皆さん。
クロツラヘラサギは毎年律儀に葛西臨海公園に遊びに来てくれますが、ヘラサギはたまに遊びに来てくれる。
いずれにしても、東京駅から電車でわずか15分の大都会東京の都市公園に遊びに来てくれるから、東京のバーダーにとってはありがたいです。(緊急事態宣言で、他県への移動は自粛って言われてるし。)
さてヘラサギですが、ミトコンドリアDNAの分析によると、クロツラヘラサギ、オーストラリアヘラサギと姉妹群であることが分かっています。逆に言うとヘラサギの仲間って、この3種類しかいない。
種の保存状況では、ヤバい順に
クロツラヘラサギ> オーストラリアヘラサギ> ヘラサギ
となり、ヘラサギが一番広範な生息域を持っています。
ユーラシア大陸中央部やインドで繁殖し、冬季に越冬のため渡りを行います。尚、インドでは留鳥で一年を通じて観察できるそうな(インド人の友だちが言ってた)。
渡りを行う際の群れの数は、約100羽。
100羽のヘラサギがユーラシア大陸から越冬地のアフリカへ飛行する姿は、さぞすごいんだろうなぁ、と一度見てみたいです。
ヨーロッパでは、過去にヘラサギが激減してしまったために各国で保護活動が盛んなようです。かつては個体数の多かったヘラサギも、排水による水質汚染や捕獲・卵の採取なので激減、イギリスでは17世紀に一度は姿を消してしまいます。
しかし生息地の保護に成功し、再びイギリスでも繁殖を始めたそうです。
そしてあまり知られていませんが、ヘラサギは「沈黙の鳥」。
音を出すことがほとんどない。繁殖コロニーの中でさえ、クチバシのパチっという音、たまに聞こえる深いうなり声くらいしかない。
この文章を書いてる僕もだんだん眠くなってきたので、これからヘラサギのように静かに眠りにつくのです。
#野鳥 #バードウォッチング #ヘラサギ