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ロックの冒険(19)

僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。

大空を悠々と飛んでいるトビを見るたびにロックとクロウは、「あんな上空まで飛べたらきっと楽しいだろうな。」と思っていた。
そんな時、一羽のトビが近くまで降りてきた。
茶色い羽がとてもかっこよかった。
「ねぇ君の名前は?」ロックが聞いた。
「オレ?オレの名前はミラン。お前たちは?」
「僕はロックで、隣にいるのがクロウ。」
「お前イソヒヨドリだな。なんでこんな内陸まで来てるんだ?イソヒヨドリは海の近くが縄張りなんじゃないのか?」
「僕たちは森へ行くんだよ。」
「森へ?そうか、もうすぐだな。お前たち行き方は分かるのか?」
「なんとなくだけど、、」
「だいたいの場所は分かっといた方がいい。おいカラス、お前は重いからダメだけど、ロックは小さいからオレの背中に捕まれるだろ!オレが空の上に飛んでやるから、そこから下を見ろ。」
「うん分かったよ。」
「へん!勝手にしろ。」クロウはふてくされた。ロックはミランの背中の羽毛にに足の爪をたてて捕まった。

「いいか、いくぞ!」ロックを背中に乗せたミランは大空へ羽ばたいた。
ミランはぐんぐんと上昇していった。そして空を旋回した。「うわー、すごいや。ミランすごいよ。」ロックは初めての経験で興奮した。
「右側の山を見てみろ、あれがお前たちが行こうとしている森だ。」
そこは緩やかな三角形の形をして、青黒い木々が一面に茂っている場所だった。
「あそこが森かー。」ロックは感慨深げに唸った。
「お前、オレの背中に乗ったままで、森の入り口まで飛んでみるか?」
「ええ、いいの?クロウも誘おう。」
「カラスは自分で飛べるだろう。」そう言ってミランは急降下して、クロウの近くまで戻ってきた。

「おい森へ行くぞ、一緒について来い!」ミランはクロウに言った。
「分かった。だけどオレはトビじゃなくカラスだから、あんまり上空まで行くなよ。」
そう言ってクロウも飛んだ。
ロックを乗せたミランとクロウは、森に向かって飛んでいく。
空から下を見ると川や田園が広がって、3人の向かう先には三角形の森が見えた。

だいぶ飛んだだろうか、3人は森の入り口らしい場所に着いた。
「じゃあな、オレはここまでだ。お前たち元気でな?」
「ミラン、ありがとう。恩にきるよ。」
ミランが飛び立つと、ロックとクロウは大きな針葉樹が何本も立っている場所に足を踏み入れた。薄暗いその場所に生き物の気配は感じられなかった。
その時だった。
「そこにいるのは誰だ!」と樹の上から恐ろしい声が聞こえてきた。
ロックとクロウは、思わず身震いした。

(次回に続く)

#小説 #冒険小説 #野鳥

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