【Covid Quarantine Birding <コウノトリ>】
野鳥に関する情報は、その国を代表する鳥であればあるほど、その国の言語で書かれた情報が多くなります。
例えばウグイスやキジは、圧倒的に日本語の情報が多いですし、ハクトウワシならアメリカ人の思いがたっぷり入った英語の情報で溢れるといったぐあいです。マヒワはロシア語の情報が多いですよ(マヒワ=Чиж)→興味があれば調べてみてください。
そして"ヨーロッパのコウノトリ"であるドイツの国鳥シュバシコウなら、断然ドイツ語の情報が多い訳です。(写真は日本のコウノトリだけど)
ドイツ語でWeißstorch(英語名はWhite Stork)
尚、リトアニア、ベラルーシ、ポーランドの国鳥でもあります。
「赤ん坊はコウノトリのクチバシで運ばれてくる」「コウノトリが住み着いた家には幸福が訪れる」「若い女性の上をコウノトリが飛ぶと赤ちゃんができる」というヨーロッパの伝承がありますが、この場合のコウノトリはシュバシコウのことです。
ヨーロッパでは決して傷つけてはならない神聖な鳥。文化面で様々な影響を与えています。アンデルセンの童話になり、詩で謳われ、多くの絵画で描かれています。
シュバシコウはヘブライ語で「慈悲深さ」を意味し、イスラム教徒もメッカへの巡礼にあたり、越冬で南へ渡るシュバシコウに自分を重ね合わせて崇拝してきたました。
シュバシコウは人間を恐れず、体が大きく、害虫を捕食し、人間の居住地や屋上に近い場所で営巣することが人間に崇拝された理由なのでしょうか。
その一方で、ナチスドイツが「Storchbein-Propaganda」という計画を作っていたことをご存知でしょうか?日本語に訳すと「コウノトリ ・プロパガンダ」。
1942年、ナチスのハインリヒ・ヒムラーは、当時英国領だった南アフリカのボーア人からの支持を集めるために、越冬でアフリカに向かうシュバシコウに「プロパガンダのチラシ」を運ばせてボーア人にチラシをばら撒くという計画を立てました。
結局は非現実ということで中止されましたが、いろんなことを考えるものです。
さて日本のコウノトリ(Oriental Stork)ですが、一旦は国内で野生の個体は絶滅しましたが、移入されたコウノトリが各地で大切に保護され、個体数を徐々に増やしているのは皆さんもご存知のことと思います。
写真のコウノトリは関東某所で観察したものです。コウノトリそのものが幸せをもたらすのではなく、コウノトリが安心して生存できる自然環境を永続させることこそが、同じ地球に住む生物としての人間にとって幸せなことなのではないかと思うのです。
Das ist alles für heute !
("今日は、この辺で"という意味のドイツ語です)
#野鳥 #バードウォッチング #コウノトリ #シュバシコウ