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弟、失踪したってよ part1

やらかし選手権があるなら、上位に名前が上がるほどにやらかす男、それが

やらかし選手権てなんだよ、上位ってお前ら家族
大体平均的にやらかしてるじゃない
のよ、そんなオーディエンスの声は聞こえない。

やらかすか、やらかさないか

俺か、俺以外か

某イケメンホスト様には申し訳ないが、比べるものがないくらいに、やらかす男。

昔はわりかし大人しめで、兄のせいか存在感が薄い弟はだったが、今はメキメキと頭角を表し、我が家の代表選手になれる存在となった。

最初のやらかしは学生時代のおめでた婚だが、そこから彼の人生はコロリンした。

子どもができたと聞いた時は「学生のお前に何ができるの?生活どうするの?人間育てるんだよ?」と懇々と話をしたが、返ってきた答えは

「配管工でもなんでもやる」だった。

配管工ってマリオかよ

配管工の仕事を舐めんな

大学中退した高卒が努力もしないで今すぐできる仕事なのか??

配管工の方々に詫びてまわれ

一瞬にして色んな気持ちが噴出し、色々飲み込んで至った思いは「こいつダメだ」という諦めの気持ちだった。

そこから始まるストーリーはやらかしの連続だった。

まず夫婦喧嘩。

これが毎回エグい。

甥っ子が生まれてから夜中にオカンが様子を見に行くレベル

殴り合い家の家財道具が飛ぶ

アパートの前には包丁や炊飯器が転がっている…

さながら地獄絵図。

夫婦喧嘩ってそんな命かけてやるもんだっけ

なんで人間なのに話し合えないの?

言語力どうなってるん?

疑問符が脳内を駆け巡る。

次に金と女

夫婦喧嘩するくらいだからね、俄然ここも絡んでくるよね。

金と女は喧嘩の定石じゃないですか。

甥っ子が生まれて、夫婦喧嘩が絶えなくなった頃、弟がネットで知らない女性とやり取りしていると分かり、嫁さん激怒。

義実家から猛クレームを受ける実家。

まあ、そりゃ怒りますよね。

でも、そこは本人たちの問題ですから、怒るなら弟を差し出すから好きにしてくれ。

すでに家を出ていた勝ち組の私は、そんないざこざに巻き込まれたくなかったので
見猿聞か猿言わ猿を貫いていた。

しかし

ある日の夜勤明け、実家から一本の電話が…

弟が失踪したのだ。

「弟が自殺するかもしれない!」
「警察に探してもらう!」
「あんたの所に連絡入ってない!?」

当時の私からしてみたら夫婦の問題だし、なんなら浮気した弟が悪いし、失踪したからって死ぬわけないと分かっていた。

だからつい面倒になり

そういう奴は死なない、大丈夫」と答えてしまった。

その言葉が相当頭にきたのだろう、母にめっちゃ怒られた。
社会人になりたてで仕事でも怒られたことないのに

「そんなの分からないじゃない!」
ってしこたまキレられた

でも正直、うちの家系は大体クズなので、クズは1人で寂しく死んだりはしない。

かまってもらえるようにアピールする、それがクズなのだ。

キングオブクズを祖父並びに父に持つ私はクズの心理をそこそこ理解していた。

だからこそ「死なない」そう言い切れた。

でも結局母親にブチキレられたので警察にでも行けばいいと提案、夜勤明けの私は付き添いコースとなった。

でもね、正直成人男性が自分の意思で失踪したからって警察は動きませんよ。

警察だって暇じゃないんだよ。

だって事件性0じゃん。

身内がみたって事件性ないんだよ、そんな大人の家出に毎回付き合ってたら、警察が官過労死しちゃうよ。

こんなくだらない家族のいざこざに付き合わされたお巡りさんに真底申し訳ない気持ちになった。

結果的に弟は生きて帰ってきた。

当たり前だ。

どこに行ってたん?って聞いたら海と答えた。
夏だからね、ちょうどいいよねって…

馬鹿野郎!

心配かけたね、とかごめんもない。

居なくなる事がこわい母親は何も聞かずに受け入れた。

許されることを知った、モンスターは着実にレベルアップし、この後もやらかしていくことをこの時はまだ知らなかった。

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