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MotoGPもてぎ観戦後の感想moto2

2024年今年もモビリティリゾートもできで開催される2輪レースの世界最高峰MotoGPがやってきました。

10月4日〜6日の日程で開催されましたが危うく海外出張となるところでなんとか予定を調整し茂木へ観戦しに行くことができました。

しかしながら、予定はタイトで日曜日のレース終了後そのまま車で羽田まで行き、夜発の便でパリ経由にてドイツミュンヘンに出発しました。この記事は出張先のザルツブルク近くのホテルから執筆しています。

motogpクラス終了後のウイニングランを全台見送ってから帰路につきましたので現地を出たのは早い方だと思います。帰路の車の中で嫁さんと羽田で誰かライダーに会うかもねなんて話をしていたら本当にいました。

moto2にRed Bull KTM Ajoから参戦するD.Oncu選手でした。エールフランスの羽田発パリ行きに搭乗していたようです。搭乗前にそれぽっい人達の中に見覚えのある顔だと思っていましたが名前が出てこず、人違いだど失礼なので話しかけられず残念でした。パリに着いてネットで調べたらオンジュ選手でした。次の機会があれば一緒に写真など撮れたら最高ですね。

それでは本題のGPの感想と考察ですが、最初のハイライトはmoto2の予選Q2が印象的でした。今にも雨が降りそうな曇天の中、ウェットかドライか悩ましい非常に難しい状況でした。Q2開始直前はまだ雨は降っていませんでしたが眼鏡にはポツ、ポツと極小の雨粒が当たっていました。

この状態だとQ2ゲートオープン次第すぐにでもコースインして1番最初にタイムを出してしまわないと、待っていたら確実に雨が降る雰囲気で、場所によっては降り出している状況でコースオープンとなりました。

これはみんな言わずもがなで各ライダー達は一斉に飛び出していきました。まるで決勝のスタート直後のような位置どり合戦で、この状況で位置どりの争いもしていますから各選手アウトラップからレーシングスピードです。この状況から一発勝負のタイムアタックな上、さらに雨は強くなりそうな傾向でしたから、GPライダーとはいえヒリヒリした状況だったでしょう。

この状況で1番早いラップを刻んだのはJ.ディクソンでした。今シーズン2勝を挙げていて過去通算でも6回のポールを獲得していますが少しラフな印象もあるイギリス人ライダーで、以前LCRホンダにも所属していたクラッチェローを彷彿させるファイター系ライダーと私は位置付けています。

そんなJ.ディクソンが一発勝負のタイムの出し合いで見事に1番時計を叩き出しました。最も気になる小椋選手もピットアウトが素早く、アウトラップで少しバックオフしたような印象を受けましたが、ファーストアタックのタイムで9番手を獲得。結局そのあとは雨が路面を濡らしドライタイヤではファーストアタックのタイムを上回ることはありませんでした。小椋選手は結果的に9番手スタートとなりました。moto3の頃からですが小椋選手の場合はこの位置でも安心感を持って見ていられるので決勝が楽しみです。

決勝を除いたベストラップはQ1でM.ゴンザレスが記録した1:49.771でした。小椋選手のベストタイム1:50.015で実質3-4番手くらいのポジションだと仮定するとレースペースの良い小椋選手なら決勝がフルドライでも確実にお立ち台争いはしてくれるだろうと予想していましたがまさかの天気で逆にワクワクする展開となりましたね。

ちなみに決勝はウェットかドライか読みずらい天候のなか、各選手のタイヤチョイスが大きく明暗を分ける状況で最終的に勝ったのがゴンザレス選手であったというのは示唆に富んでいましたね。元々からしてこの週末、セットアップも含めて1番乗れていたとを最終的に証明した形となりました。

その決勝ですがはたまた雨に翻弄されました。ウォームアップランまではギリギリ曇天。このままドライのレースになるかと思いきや、グリーンシグナルとほぼ同時にS字からVコーナー、ヘアピンにかけて急な雨、ブラックアウト後のホールショットから2コーナーの立ち上がりではなんと9番手スタートの小椋選手が2番手に浮上、会場は大歓声でした。

レース好きな私統計では、チャンピオンレベルの選手は総じてスタート直後の立ち回りで上手くポジションアップをしてきます。データはとっていませんが小椋選手にも同様の素質を強く感じます。

そんな状況で会場は色めき立ちましたが、瞬間的な雨がひどく、S字に入る頃には各ライダーが危険だと判断して手を挙げすぐにレッドフラッグとなりました。

その後、決勝レースは12周に減算されて約5分後のリスタートとなりましたがこの時点で一時的に強まった雨は止み始めてきました。しかしながらS字からV字、ヘアピンあたりはほぼウェット、コースの半分は確実にウェットで半分はちょい濡れくらいの状態。国際映像も各選手のタイヤチョイスにフォーカスしたカメラワークでした。

そんな中、再スタートに向けて各選手のタイヤウォーマーが外されていきます。小椋選手とチャンピオンシップを争うS.ガルシア選手がウェット、ポールのディクソン選手もウェットを履いている映像が抜かれてきました。私はバックストレートエンドの90度コーナーで観戦していました。小椋選手に感情移入をしてタイヤチョイスをするとガルシア選手と同じ戦略に合わせたいというのがF1観戦歴30年の私のイメージでした。

ところが小椋選手のウォーマーが外されるとなんとスリックタイヤを履いています。会場ではまるで転倒したかのような感嘆とどよめきが響いていました。私も驚きを隠せずこの瞬間、今日の小椋選手のレースは終わったなと思いました。この状況ではタイヤ選択はライダーズチョイスだと思っていましたから、チャンピオンシップリーダーがギャルブルしなくてもという思いで見ていました。

ひょっとすると、小椋選手のチームはデルタの計算をしていたかもしれません。土曜日のQ2が似たような天候推移をしましたからドライとウェットのクロスオーバータイムとコース状況の相関を予想できた人はいたかもしれません。

機会があれば別の投稿で掘り下げたいですが、F1レースなどでは決勝レース中に雨が降り始めた時にウェットタイヤに交換するタイミング、またはその逆のタイミングを適切に判断するために、ドライとウェットのラップタイム差、ピットインによるタイムロスなど計算しています。

小椋選手はレース後のコメントで、担当のエンジニアがスリックで行けと言うのでそのまま従ったとコメントしていましたが、金曜日のFPから土曜のQ2終了まで主要な選手のラップタイムを分析していた人であったなら比較的最適解をみつけることができたかもしれません。しかし唯一誰にも予測が難しかったのがモテギウェザーでした。

あの状況化ではもうわからないとしか言いようがない状況でした。湿った重い空気が澱んでいるような雰囲気で空が低く今にもまた降りそうな雲行きでした。
しかし観客席付近の地面を見るとドライでも行けそうなちょい湿の路面で他のセクションの詳細は見れないという状況でしたからさまに判断が分かれると言った状況でした。

リスタートのウォームアップランがスタートして各ライダーがS字からV字コーナーに上がってくる時の水しぶきを見た瞬間に絶望しました。これは小椋選手のレースは終わったなと。あとは雨が止んで路面が急速に乾いていく事を祈るしかないと思いました。

フタを開けてみればスリックは圧倒的に少数派でしたが、改めてレースはやって見なければわからないというのと、やはり攻める勇気が必要なんだと認識させられました。野球でも暴走と好走塁は紙一重という言葉がありますがまさにそれを体現したレースとなりました。

12周に減算されたレースがスタートしてみるとオープニングラップから読み取れたのはウェットコンディションなのは130Rからヘアピンまでの区間だろうと推測できました。小椋選手は1周目かなり慎重に走っていましたが雨粒の少なかったエリアに関してはコーナーの寝かし込みも深くウェット勢よりもキレがありました。

一方で天気は回復傾向で雨はほぼ止んできていて、2周目には問題のウェットエリアの水しぶきもかなり少なくなってきていました。現地の観客はすでに2周目に入る時点でスリックの方が早いのではないかと気づき始めたようです。

2周目のヘアピンへの進入を見た時には私もこれは逆に小椋選手のレースだと確信に変わりました。誰よりも本人がそう思ったでしょう。ヘアピンの立ち上がりから90度コーナーにかけて2-3台はごぼう抜きしていきました。

小椋選手は後のコメントで、また雨が降るとウェット勢が有利になるのでとにかく序盤に大量リードを稼ぎたいと思ったと言っていましたが、観客席の私達は小椋選手に大声援を送ってまだトップにも立っていないにも関わらず小椋選手の優勝を疑いませんでした。

1周終了後は14位、2周目は7位、3周目にはもうトップでコントロールラインを通過していきました。ギャンブル成功とはいえ痛快な小椋劇場となりました。
4周目からはもう1:53秒台に突入し、その後、51秒台て安定していましたから完璧なタイヤ選択でした。

一方で、レイン勢の上位でも最速で58秒台でしたのでこれは完全にスリックをチョイスしたライダー勇敢な選択が明暗を分けました。

そして12周のレースの中盤から小椋選手と同様にスリックを履いた18番のゴンザレス選手が最大4.5秒ほどあった差をみるみると縮めて猛追してきます。一周当たりに約1秒縮めてくる勢いです。この猛追に小椋選手も反応して逃げて欲しいところでしたが、チャンピオンシップを優先すると無理をしてほしくかったというのが大勢のファンのおもいだったと思います。

8周目にはトップを奪われますが、その後の小椋選手のタイムをめる限りでは猛追されている状態でも50秒台後半でタイムが揃っていましたから、1番冷静だったのは小椋選手本人だったかもしれません。

最終的には大健闘2位フィニッシュで、手を合わせたごめんなさいゼスチャーをしながらウイニングランを走っていました。しかし優勝出来なかった事を攻める人は誰もいないでしょう。大勢の日本のファンの前でMoto2チャンピオンに王手をかけるターニングポイントとなりました。

レースを振り返ると、再スタートのスターティンググリッドに着いた小椋選手がフロントカウルの雨粒を右手拭って水の量を確認したあと視線を下に落として路面をジッと見ていました。さらにゆっくり空を見上げるたあと、スイッチを入れたかのようにスタート姿勢に入りました。

キザなブンヤならその見上げた空の向こうにチャンピオントロフィーを見たのだろうとか書きそうですが、私の想像では実際に小椋選手はこう思ったのだろうと思いました。「わっかんねぇけど取り敢えずヤレるだけヤルか」と。。

準優勝おめでとうございました!

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