見出し画像

雨が降ると、心にも「雨が降る」?〜"Stand by Me" 歌詞解説⑥〜

私が大学で担当している英語の授業で、一年の最初にやる曲がいつも "Stand by Me" なので、こちらでも解説してきました。(第一回第二回第三回第四回第五回

こちらの曲ですね↓

"Stand by Me" は同じタイトルの映画の主題歌で、その映画の映像の一部をつなぎ合わせて、曲と一緒にしている動画があるので、そちらのリンクを貼っています。

冒頭の歌詞は、「君がそばで味方でいてくれる限り、あたりが真っ暗になって月明かりだけが見える時でも、僕は泣かないよ」みたいな感じで始まり、2番でも「万が一、見上げる空が落ちてきて、山が海に崩れ落ちたとしても、君が味方でいてくれる限り、どんなことがあっても泣かない」みたいな歌詞が続いているのですが、その風景描写が意味していることについて書いてみようと思います。

冒頭の

When the night has come(夜がやってきて)
And the land is dark(あたりが暗くて)
And the moon is the only light we'll see(月だけが唯一見える灯りの時)
No, I won't be afraid(でも僕は恐れないよ)
Oh, I won't be afraid(ああ恐れない)

というところでは、「夜になって、あたりが真っ暗になって、月明かりだけが見える」という風景が描かれていますが、これが意味しているのは何でしょう?

何でしょう?という質問もあれなのですが笑、だって、月明かりだけが見える時なんて、普通に夜になったらありますよね?

ネオンがたくさんある場所ではめったにないかもしれませんが、田舎なら、毎晩、月明かりだけが見える風景は見られます。

なので、それで恐くなるってことありますか?
毎晩、夜になったら見られる風景で恐くなるって???

ということなので、この風景は「比喩」です。

「夜になって、あたりが真っ暗になって、月明かりだけが見える」という「心の状態」の比喩。つまり、落ち込んでいたり、沈んでいたりする心の状態を表しているんですね。

ドラマや映画や小説で、主人公が悲しみに浸る状況の時に雨が降る場面がよくありますが、あれも同じです。主人公の心の状態を風景で表現しているわけです。

だから、この歌詞でも「悲しんだり、落ち込んだりしている時でも、君がそばで味方でいてくれたら、僕は恐れないよ」という意味を表現するのに風景の比喩を使っているということなのでした。

2番の歌詞でも

If the sky that we look upon
Should tumble and fall
Or the mountain should crumble to the sea
I won't cry, I won't cry
(もし万が一、私たちが見上げる空が落ちてきて、
山が海に崩れ落ちたとしても、僕は泣かないよ)

となっていて、見上げる空が落ちてきて、山が海に崩れ落ちる、という風景描写ですが……こんな状況はまず考えられないですよね?笑

なので「万が一、〜」(If…should~)という仮定法を使っているわけですが、その風景描写で表現しているのは要するに「天変地異みたいなあり得ないことが起こったとしても」「どんなことがあっても」ということの比喩です。

君に悲しいことがあったり、天変地異みたいな、あり得ないことが起こったりしても、何があっても君の味方でいるよ、そんな優しい歌詞なのでした。そんな風景描写の背景を感じながら、ぜひもう一度聴いてみてくださいね♪

洋楽歌詞解説のXもやっています。


この記事が参加している募集

いただいたサポートは「おむすびアート」の活動に使わせていただきます♪