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カムシャフト、って聞いたことありますでしょうか?
これは「いつバルブを開閉するか」を決定する大切な部品なんであります。
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両端をベアリングやブッシュで支えられ、ギヤを回転させる事によって「おにぎり」がくるくると飛び出したり、戻ったりするのであります。
これによって、各おにぎりが担当する、ガソリンと空気の混合気を吸気するバルブと、燃えカスの排気をするバルブを、リフター、プッシュロッド、ロッカーアームを介して開閉します。
カムからバルブエンドに至るまでの中継はありますが、このおにぎりの形がエンジンの性格を決めていると言っても過言ではありません。
Evolutionまでのハーレーダビッドソン、ビッグツインと呼ばれるOHVの空冷2気筒エンジンは、各気筒ごとに吸気バルブ1本、排気バルブ1本ですので、合計4つのおにぎりがあるわけです。
その後、1999年式からのいわゆる「ツインカム」と呼ばれているハーレーダビッドソンのビッグツインは、カムシャフトが各気筒に1本ずつの合計2本になりますが、バルブの数は変わりません。
これは1950年代前半までの、インディアンのサイドバルブツインのレイアウトでもあるのですが、これはまた別の機会に。
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という事は、ちゃんとした位置にギヤが圧入されていないと、「バルブの開閉タイミング」がズレてしまうという事になりますね。
よく聞く、「点火タイミング」はまた別のお話で、これは、「ピストンがどの位置にいる時に点火するとエネルギーの効率が良いのか」という事で計算された、読んで字の如く点火のタイミングです。
エンジンの、そもそもの性格を決定すると言っても過言ではないと書きましたが、そのタイミングのズレっていうのは一大事に繋がるのではないでしょうか?
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そんなバルブタイミング、バルタイのズレをチェックしつつ、また意図的にズラしたりして圧入できる特殊な工具があります。
これが高額で、ふつうは人生のうちにコレ何回使います?みたいな頻度なので、持ってるプライベーターは少ないでしょう。
更に圧入したり抜いたりするためには油圧のプレスも必要です。
僕やりますんで送って下さい(笑)
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カムカバー側を正面に見て、ピニオンギヤは時計回りでカムギヤは反時計回り。
するとこのツールで確認すると、カムは6°ほど進んで先走ってるという事になります。
純正はちょっとズレてるのが多く、だからと言って走らなくは無いんですが、バルタイがズレてることで色々と変わって来ますね。
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蛇足ですが、点火タイミング調整してみたら、タイマープレートの切り欠きから逸脱する、もしくはなんかギリギリ!みたいなのはこのズレが原因です。
シャフトの方にアドバンスウェイト及びポイントカムの位置決めがありますので、そーいう事ですね。
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信頼のハイパフォーマンス、S&S社の新品カムも…
あれっ、ちょっと遅くないっすか?
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「ここにハメろよ」というケガキがあるんですけど、うーん、少ぉーし、ズレてね?(笑)
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実はバルタイを意図的に遅らせている、というのならオッケーなんであります。
「ウチのハイクオリティなカムは、純正プロフィールでも4°遅らせる事によって────」、みたいなコダワリみたいのに説得力があれば納得ですね。
バルブの開閉タイミングを遅らせる意図は、ノッキングを防いだり、高回転でのパワーアップを狙っていたりと様々なんですが…
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でもめちゃイジってるエンジンでハイカム使って云々…みたいなのでなければ、通常はど真ん中ストライクでオッケーっす。
カムギヤの「歯」の立ち方によっては、今まで平気だったのにカム交換したら音が出るみたいなのがあります。
これを解消するために、今まで使ってたギヤだけそのまま使いたい、というご要望があるわけですね。
通常S&Sのギヤなどは少しタイトに出来てる傾向があるかと思いますので、ピニオンギヤのサイズを調整しなければギヤ鳴りしたりします。
面倒な場合はギヤの入れ替えと、ついでにバルタイのチェックもご依頼下さいませ。
ではまた次回!
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