エッセイ 「リレー」
やさしいってなんだろうな。
自分の家族や親しい人にやさしくできても
知らない人にやさしくするのはなかなかハードルが高いのでは
ないだろうか。
そんなことを思ったある日の通勤電車。
乗っている人達は知らない人。
毎日同じ人と乗り合わせても、顔も覚えない、名前だって
もちろん知らない。
ある朝、駅のホーム、白い杖をついた人が床をつつきながら歩いている。
「ちょっともっと左に寄らないと危ないよ、落ちちゃうよ」
心のなかでつぶやく。でも”声”にならない。
私の隣の人も同じように頼り