ヴォイドグラブは優先的に倒すべきか
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ヴォイドグラブはそこまで優先的に倒すべきではない
ヴォイドグラブは5体以上倒すと勝率への影響がでてくる
ヴォイドグラブを倒した数が4体以下では勝率への影響はあまりなく、ドラゴンを取りに行った方がよいと考えられる
はじめに
はじめまして、うみうしです。このブログではLoLに関するデータ分析をしていこうと思っています。LoLやデータ分析が好きな人の目に留まれば幸いです。
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背景
今回は、ヴォイドグラブを優先的に倒すべきかについて調査しました。
ヴォイドグラブはシーズン14で初登場したエピックモンスターであり、倒すとタワーへの追加ダメージを恒久的に得られるなど、強力な効果を持っています。しかし、タワーを攻撃できないと意味がないため、ヴォイドグラブを取らなくても勝てたと思うような試合も多々あります。特にプロシーンでは顕著です。
そこで、ヴォイドグラブを倒したことで、勝率にどの程度寄与しているのかを確認したいと思いました。
※分析結果は統計情報なため、プロシーンや上位数%の高レートの試合に必ずしも当てはまるわけではないことは、ご承知いただきたいです。
ヴォイドグラブとは
シーズン14から登場した、かわいいモンスター
試合開始から5分経過するとバロンピットに3体出現し、1体倒すと4分後に復活、合計で6体出現します。戦闘状態になると、12秒ごとに各ヴォイドグラブから4体のヴォイドマイトが出現します。
ヴォイドグラブのバフ
ざっくりまとめると、5匹以上倒すとタワーへの攻撃性能が上がります。テキストもなんか長いし、結構強そうですよね
LoL API について
ここからが本題です。まずはLoLの対戦データを取得します。
実はLoLは外部APIを公開しており、あるコマンドを入力すれば対戦データを取得することができます。このサービスを利用して、opggなどは対戦履歴や勝率を集計・表示しています。
やり方はこの記事などを参考にしていただければと思います。
LoL APIを用いれば、参加者や試合時間、バロンをキルしたかなど、割と細かい対戦データを取得できます。
対象にしたデータ
シーズン14以降のノーマル、ランクをまとめた約4万試合のデータを分析対象にしました。パッチは14.1と14.2が含まれているものになります。
※パッチ14.1と14.2はアイテムやチャンピオンの調整が多く、データ自体の信頼性が低いです。しかし、ヴォイドグラブ自体に大きな変更は入っていないため、今回の分析では両方のデータが混ざっていても問題ないと考えています。
※早期降参、ヴォイドグラブが6体出現する前に終わった試合は除外しました。
このデータを使えば、例えば試合時間がどんな分布になっているか、ボリュームゾーンはどこか、などを確認することができます。
分析結果
ヴォイドグラブに関する基礎データ
それではヴォイドグラブに関するデータを確認します。まずは、ヴォイドグラブを倒した数です。
0はヴォイドグラブを倒していないことを示しています。倒す場合は3、6体まとめて倒すことが多いようです。
次にヴォイドグラブを倒した数と勝率の関係を見てみます。勝率はヴォイドグラブの倒した数ごとにブルーサイドのチームが勝利した割合を%で出しています。
勝率は50%を超えるのは、ヴォイドグラブを2体以上倒している場合のようです。ヴォイドグラブを倒すことは大事な気がします。
逆に、レッドサイドのチームにヴォイドグラブを取られてしまった場合のブルーサイドの勝率を見てみます。
勝率が50%を切ってしまうのは、レッドサイドに4体以上ヴォイドグラブを取られてしまったときのようです。
集計結果を見るだけで、ヴォイドグラブをある程度倒すことが大事そうだ、ということが分かりました。
ヴォイドグラブ討伐による勝率への因果効果
本項は専門的な内容であるため、読み飛ばしても問題ありません。
集計結果から分かる通り、ヴォイドグラブは自分たちは2体以上倒しつつ、相手に倒される数は3体以下に抑える必要がありそうです。しかし、この結果はブルーサイドがヴォイドグラブを倒さなかったときと倒したときの勝率を比較しただけにすぎません。ヴォイドグラブを倒したときと倒せなかったときでは状況が違う可能性があり、単純に比較しただけでは正しい比較をしているとは言えません。例えば、ヴォイドグラブが出現するまでの有利さやチャンピオンの相性(JGブランドやTOPウディアを使っているなど)、ヴォイドグラブを倒さずにドラゴンを倒していた、などが考えられます。
今回最も興味があるのは、「ヴォイドグラブを倒したことで勝率がどのくらい上がったのか?」です。つまり、ある試合でブルーサイドがヴォイドグラブを6体倒した世界の勝率と、ヴォイドグラブを1体も倒さなかった世界の勝率を比較したいです。そうすればヴォイドグラブを6体倒したことで、勝率がどのくらいあがったのか確認できます。
しかし、同時に2つの世界を確認することはできません。そこで、実際には起きていない世界を統計・機械学習を用いて推定します。うまく推定できれば、推定結果と実際の試合の勝率を比較することで、ヴォイドグラブを倒したことでどのくらい勝率が上がったのか?を確認できます。
理論や実装は非常に難易度が高いため本章では割愛しますが、興味がある方はここの記事などを見ていただければ理解が深まるかと思います。
実際に推定した結果がこちらになります。
※あくまで推定結果であるため、参考程度にしていただければと思います。
ヴォイドグラブを倒すことでいい効果がありそうなのは2、3、5、6体倒したときでした。6体倒すことでやっと効果が実感できるかな・・・?くらいの感触です。4体まで倒した場合の影響が低いのは、おそらくファーストドラゴンを捨てているからだと考えられます。実はファーストドラゴンを獲得している方が、単純集計でも勝率が高いです。
ヴォイドグラブを取るのであれば最初から6体取りにいくつもりで臨む必要がありそうです。しかし、4体までで終わってしまうようなことが考えられるのであれば、安全策としてもファーストドラゴン一択です。
つまり、jgの動きとしても序盤にtopを勝たせてヴォイドグラブを倒しに行くというよりは、botレーンを勝たせてドラゴンを取るような動きが大事な可能性が高いと考えられます。
まとめ
今回はLoLの対戦データを用いて、ヴォイドグラブを倒すべきかを確認してみました。統計的には、現状のパッチではあまり大きな影響は確認できませんでした。それよりもドラゴンを取りに行く方が序盤の動きとしては強いのではないかな、と思います。
ただし、レートやその時の状況によってとるべきオブジェクト、試合の運び方は変わるので、あくまで分析結果として考えていただければ幸いです。
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