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構築した価値はいつかきっと死ぬ。彼女と違って私は泣きながら青春を渇望した。彼女との関係を説明するとすれば虚無、しかし彼女にとっての青春は誇張なんかじゃなくまったくのディストピアであった。


神戸の夜駆け抜ける高速道路から見えるラブホテルのネオンサインはオレンジに光る。彼女によるとそのホテルは「奇麗で結構豪華なんだよ。」らしい。たしかに彼女は体を売るにあたってラグジュアリーなラブホテルを使わせるぐらいには価値のある女の子であったしあくまでもラブホテルに呼ばれている時点でその程度の女子高生であった。



私は彼女のことをどうしても理解したくて彼女になろうとした。しかし私には金の発生するセックスをする甲斐性も、自死を選ぶ覚悟もなかった。


彼女は私に「生きる価値のない人間なんていない。」と励ましたくれたのに。 



あれは彼女なりの罪滅ぼしのつもりだったのだろうか。


彼女と私はある誤読のもとでつながっていた。関係性を説明するとすれば虚無。確かに彼女にとっての青春はまぎれもなくディストピアであった。そして彼女はわずかな自尊心を抱きながら絶望と調和していた。それはまるで奇跡のようなムードであったし私はその目撃者であったことを誇りに思う。




構築した価値はいつかきっと死ぬ。しかしすぐにまた形を変えて生まれ変わり、そして生き続けるだろう。




神戸の夜駆け抜ける高速道路から見えるラブホテルのネオンサインはオレンジに光るたとえそこに彼女がいなかったとしても。



味気ない思い失われていく価値伝わらなかった言葉気付けなかった誤読そして彼女にはなかった渇望



消えていく思い出






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