弱視から裸眼1.2へ
思えば、字を読みたがらなかった。
絵本を読んでもらうのは好き。
思えば、塗り絵をはみだしまくった。
そういうタイプの子だと思っていた。
思えば、丸を描くとガタガタした線になった。
鉛筆に慣れてないからだと思っていた。
生活で何も困らなかった。
図鑑でも粘土でも鉄棒でもご飯でも、
お箸も鉛筆も持てた。
だけれど、年少さん前からよく目をパチパチするようになった。幼稚園に入ってさらに。ストレスでチック症なのかと不安になった。眼科に行ったら「アレルギー」で目が痒いのでしょうの目薬をくれた。
年中さんになって、またパチパチすることが多くなった。目薬をもらいに眼科を受診すると、「年齢も上がってきたので一旦視力検査をしてみましょう」と言われた。
待合室からでもみえる大きなCの欠け具合。
娘は何度も首をかしげ、首をふった。
見えないんだ••。
その結果、「お子さんは弱視の疑いがあります。メガネをかけても視力がでません。」
左目0.9 右目0.6 レンズ越しでも状況が変わらないため、弱視。乱視もあり。おそらく遠視による弱視ではないかとのこと。
「子供のうちは調節力が強いので、そのままだと正しい視力がわかりません。アトロピンという目薬をしていただいて、調節力をゆるめて別の日に検査しましょう」
ガーーーーーン
ショックが大きかった。わけがわからなかった。
大人でメガネやコンタクトの人は多い。
いつかは、必要かもしれないとは思っていた。
え?メガネをかけても視力がでないなんてことがあるの?
今うちの子はどんな風にみえてるの?
「弱視」を調べまくった。
メガネをかけても視力がでないのに、メガネをかけるの?それが治療ってどういうこと?
とにかく弱視と遠視を検索し、意味は理解した。
だけども、いきなりの「娘メガネ」宣言。
心が固まった。
いきなりメガネ生活がはじまるの?
大好きな鉄棒やでんぐり返しはできるの?
幼稚園のお友達にどう言われるんだろ。
昨日までの娘と何も変わらない娘が目の前にいるのに、診断を受けただけで、ショックと動揺が止まらなかった。
ダンナさんは、動じなかった。自分もメガネをかけていることもあったからかもしれない。
「腕が一本失われると言われてたら、違うかもしれないけどメガネだよ」と。
頭の理解に心が追いつかないまま、検査の日まで過ごした。
病院にもよると思うが、行った病院は検査にアトロピン点眼薬を使用した。こちらは、1週間くらい近くがぼやけたり、外にでると眩しかったりする。
実際、自分の指がぼやけてみえないと言っていた。
だが、娘はそれを面白がった。
ピアノの練習もおててがよくみえないよ。
楽譜がみえないよ。鍵盤がみえないよ。
鉛筆もっても字がまぶしいよ。
テレビはみえるけどiPadはみえないよ。
ヽ(´ー`)ノ
大変だったが、なんでも面白がる娘に救われた。
鉄棒や跳び箱などは目に頼っていないようで
運動には困らなかった。
家ではメガネの練習のためも含めて、可愛い子供用のサングラスを買ってつけていた。
娘はこのサングラスが気に入ってピアノのレッスンも、どこへ行くにもつけていきたがった。
この機会に私もメガネを購入することにした。
(遠視、乱視だけどメガネは人生で1度もつけたことがなかった)
メガネをかけることの不便さと、便利さを一緒に体験したかった。
「ママもメガネだよ。パパもメガネだよ。いっしょだね」
娘のメガネは、色々調べてトマトグラッシーズのにした。
トマトグラッシーズのメガネは、他のに比べると高いのだけれど、外れにくさと壊れにくさでこれにした。
(弱視だと補助金制度などで賄えました。)
小学校5年生になった今でもトマトグラッシーズにお世話になっている。
もっと嫌がるかと思っていたメガネ。
思っていた以上に娘の生活にスッとなじんだ。
鉄棒などの運動にも困らなかった。
長く続いて困ったのは、お友達の「ちょっとだけ外してみて」「メガネ外した顔みせて」
好奇心で数日もすれば終わるかと思っていたが、結局、一年たって幼稚園卒業するくらいまで続いた。
娘は嫌がっていたがそれを顔に出すのが得意ではなかった。
同じころにメガネをかけた男の子は「ママが外しちゃダメっていったからダメ!」とはっきり口にしていたと言ってた。
性格もあるので娘にそういえばよかったのか、どうかは今でもわからない。
先に同じ弱視でメガネをつけはじめた子のママが、「3ヶ月、半年でだいぶメガネ着用での視力が伸びたよ」と教えてくれた。励みになった。
眼科の先生には「小学校の低学年までにメガネをかけた視力は上がると思うけど、遠視は近くも遠くもピンとが合わなくて疲れるから、眼鏡は続けたほうがいいでしょう」と言われた。
本当に、3ヶ月で0.8、半年後には眼鏡をかければ1.0の視力がでるようになった。そこからは3ヶ月〜半年に一度くらい定期検診。
娘は今でもメガネを新調しては、かけている。
家では外すこともあるが、学校だとメガネありの状態がデフォルトなので、メガネなしでいるのは恥ずかしいという。
5年生になって「視力検査ね。メガネ外した方がみえたよ」「席が1番後ろになったんだけど、メガネしてると黒板の字が見えずらい。メガネずらしてみると見える」と。
重い腰をあげて、眼科に行ったところ、昨年よりさらに視力があがっていた。
「娘さんは、裸眼で1.2見えます。メガネの度数が合わないのでしょう。」と。
結局、メガネがないと疲れやすいので、
また点眼した視力検査をしてレンズを新調することにした。
(はじめに買った時からすると4回目の新調)
(2回目のメガネ処方からはサイプレジンでした。こちらだと大体2日以内に目が戻りました)
それでも、視力があがって新調するのはうれしい。
お金がかかってもうれしい。
実際、1年半前眼鏡を新調したときは、遠視プラス4だったのが、今回はプラス2になっていた。
レンズを変えて娘はこういった。
「うわぁ!よく見える!遠くの字までよくみえるよ!」
幼稚園年中さんからかけはじめたメガネ。
近視と違って調節力を使わせないため、疲れさせないためだけのメガネで、メガネをかけてもかけなくても、あまり変わらないとよく娘は言っていた。
眼鏡をかけるとよく見える。をはじめて体感したようだった。
眼鏡をかけても0.6の視力が出なかった子が今は私よりずっとよく見える。
この先、近視になるかもしれないし、
遠視や乱視もまた強くなるかもしれない。
先はわからないけど
もう、眼鏡をかけても視力がでない。なんてことは、なかなか起こりにくいだろう。
もちろん、同じ弱視でも回復のケースやタイミングは人それぞれだと思う。それでも「一年以内には眼鏡をかければ視力がでた」という記事をみつけては、励まされた。
同じく「お子さんは弱視です」と言われてビックリしている方にすこしでも、参考になったらうれしいです。
今は、娘と同じトマトグラッシーズのピンクの眼鏡を小さい子がつけているのをみると、懐かしくて、かわいくてマジマジみてしまう変なおばさんです。
あら、メガネ?じゃなく、単に愛しくて仲間意識のような気持ちでみちゃってます。
そんな人もいることを心の片隅においてくださると幸いです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?