生物分類技能検定2級 部門間の関係性
生物分類技能検定2級は動物部門、植物部門、水圏生物部門の3部門に分かれています。こちらにあるように、自然環境調査を本業とされる方にとってはどの部門の登録を得るのかは、比較的重要なポイントとなろうかと思います。自分の得意分野を鑑みて複数部門を狙うこともあると思います。
本記事では、私が生物分類技能検定学習を進めていく中で確認した各部門の専門問題の出題範囲の共通点や差異について紹介したいと思います。
※以下各部門の専門分野に限定して記載し、共通問題は対象外とします。
専門問題全般
公式サイトによれば、専門問題の出題範囲は以下のとおりとなります。
つまり専門問題の出題は日本に生息する生物が中心であるものの、ときには中心から外れる問題(つまり日本に生息しない生物)の出題もあります。試験勉強をしている際は日本に生息する生物の図鑑を使用するかと思います。おそらくそういった出題があったとしても正解率は低くなると思われますので、わからなくてもそこまで気にしなくてよいです。私は試験中に哺乳類でこの手の出題に出くわして、頭が真っ白になったことがありました。
動物部門
まずは動物部門ですが、対象生物群は以下のとおりです。
魚類は淡水・汽水産から出題されます。したがって水圏生物部門と出題範囲が一部重なります。過去問を見ると、過去には動物部門と水圏生物部門で同一問題や、選択肢が一部変更された問題がありました。そういった点でも出題範囲が重なっていることは確実です。
軟体動物(淡水・汽水産貝類)については、私は動物部門の過去問では見たことがなく、出題は極めて稀と思われます。仮に出題があるとすれば、水圏生物部門を勉強された方にとって大変有利かと思います。
淡水性の節足動物(水生昆虫を含む)は、動物部門では普通に出題があります。水圏生物部門で水生昆虫の出題は見たことがないのですが、昆虫類以外の節足動物についてはむしろ水圏生物部門のほうが難しい出題があります。
引用文の最後にある「動物全般」という言葉に範囲の広さを感じます。淡水性のヒドラやプラナリアなどを含んでもおかしくないからです。ただ、動物部門での出題は見たことがありません。
したがって、動物部門と水圏生物部門は
淡水魚・汽水魚・・・出題範囲が重なっていて、実際も出題もある
軟体動物(淡水・汽水産貝類)・・・出題範囲が重なっている
淡水性の節足動物(水生昆虫を含む)・・・出題範囲が重なっていて、実際も出題もある
ということになります。動物部門と植物部門とでは出題範囲の重なる部分は確認できませんでした。
植物部門
つぎに植物部門の対象生物群は以下のとおりです。
菌類と後生動物がオピストコンタとして近い関係にあるものの、動物部門で菌類の問題が出題されることは考えづらいです。
一方で、水圏生物部門との出題の重なりはあります。維管束植物として水草・海草は水圏生物部門でも出題されますし、藻類も水圏生物部門では頻出です。むしろ植物部門での藻類の出題が緑藻に偏っていて、水圏生物部門でのほうが広範囲で難解な出題が多いように思います。
水生菌類・水生蘚苔類などは私の知識不足で、植物部門と水圏生物部門双方の過去問を見てもわかりませんでした。ここでは単に「出題範囲が重なっている」とさせてください。
したがって、植物部門と水圏生物部門では
水草・海草・・・出題範囲が重なっていて、実際も出題もある
藻類・・・出題範囲が重なっていて、実際も出題もあるが、植物部門は緑藻に偏っている
水生菌類・・・出題範囲が重なっている
水生蘚苔類・・・出題範囲が重なっている
となります。
※植物部門の過去問は4年分しか保有しておらず、間違っていたらすみません。
水圏生物部門
最後にこれまでの確認を含めて水圏生物部門の対象を見てみますと、以下の生物群となっています。
動物部門と植物部門ではわりと限定的に列挙されていたのですが、水圏生物では「広範囲な分類群」とされています。そのため、動物部門や植物部門と淡水・汽水の範囲内で出題範囲が重なる、ということでしょう。
したがって、水圏生物部門は
淡水・汽水の「動物一般」・・・動物部門と出題範囲が重なっている
淡水・汽水の「維管束植物のほか、菌類、藻類、コケ類など」・・・植物部門と出題範囲が重なっている
まとめ
このようにみると、実は水圏生物部門は動物部門・植物部門とそれぞれ出題範囲が重なっており、ちょうど中間に位置しています。まとめると以下のような感じでしょうか。
検定試験の戦略としては、動物部門 ⇔ 水圏生物部門 と 水圏生物部門 ⇔ 植物部門 で相性がよくて学習が効率的と見えます。動物部門 ⇔ 植物部門は共通問題を除けば一から勉強を始める覚悟が必要ですね。
生物分類技能検定2級動物部門の対策等については、過去の記事をご覧ください。