生物分類技能検定2級動物部門 合格までに使った参考書・ツール
以前の記事で、合格体験記と学習に大切なことを書きました。本記事では、素人・初学者の私が生物分類技能検定2級動物部門に合格するまでに使用した参考書、ツールをざっと紹介していきます。多数の参考書を使いましたので試験対策としては効率が悪いですが、単なる試験対策以上のことを学ぶことができました。楽しく勉強できたので、勉強内容には満足しています。
図鑑
図鑑についてはどれが良い、どれが悪いというものはありません。どの図鑑にも目的・用途や想定利用者があります。
・自然写真 or 白バック
・写真の大きさ、写真の多さ
・識別ポイントのわかりやすさ
・持ち運びやすさ
・掲載種数が多い or 絞っている
・解説や生活史が詳しい
・学名や属の記載有無
・サイズや分布などの記載有無
など。すべてを備える図鑑はないと思いますので、目的に沿って図鑑を揃える必要があります。私は合格後も使用することを考えながら、図鑑を揃えていきました。すべて紙の図鑑で、電子書籍は購入していません。
※『◎』がついているのは、私がメインで使用していた図鑑です。
哺乳類・爬虫類・両生類
◎ フィールドで出会う哺乳動物観察ガイド: 生態写真でわかる探し方や見わけ方のポイント
日本産哺乳類は種数が少なく、難問も多いため、私はこの1冊だけを使用しました。哺乳類は深追いしなかったので、他の図鑑は購入していません。◎ 日本の爬虫類・両生類 観察図鑑: 季節ごとの観察のコツ・種類の見分け方がわかる (フィールドガイド)
こちらの図鑑は受験決意前から持っていました。少し古いので分類の調べ直しが必要でしたが、内容的には十分でした。
鳥類
◎ ぱっと見わけ観察を楽しむ 野鳥図鑑
鳥類のメイン図鑑として利用しました。近年の状況がどうであるかなど、解説を読んで理解しておくことが大切かと思います。フィールドガイド日本の野鳥
この図鑑はハンディなのに凄すぎます。すべてイラストで、科の特徴、見られる頻度、分布など細かく書いてあります。辞書的に使用しました。日本の鳥300 改訂版 (ポケット図鑑)
こちらは外出時の参考書として買いました。
魚類
◎ くらべてわかる 淡水魚
識別ポイントがとてもわかり易かったです。魚類のメイン図鑑として利用しました。日本の淡水魚258 (ポケット図鑑)
上の『くらべてわかる〜』だと掲載種数が少ないので、追加購入した図鑑です。辞書的に使用しましたし、魚類の見分け方も参考にしました。
昆虫類・クモ類
昆虫は私の好きな分野なので、どうも買いすぎました。
◎ 増補改訂新版 身近な昆虫識別図鑑: 見わけるポイントがよくわかる (フィールドガイド)
学名や属の記載はありませんが、生活史がある程度記載あり、識別ポイントや観察頻度も記載されている図鑑です。昆虫類のメイン図鑑として利用しました。日本のクワガタムシ・カブトムシ観察図鑑: 日本に棲息する種類と見分け方、観察のポイントがわかる (フィールドガイド)
こちらの図鑑は受験決意前から持っていました。もともとクワガタが好きなので。試験ではクワガタの亜種や南西諸島の種が問われることがあり、割と役に立ちました。蛾の生態標本図鑑
『身近な昆虫識別図鑑』は蛾の掲載種数が少ないため、追加購入しました。蛾に詳しくなりたかった、というのもあります。昆虫の食草・食樹ハンドブック
食草は共通問題の頻出テーマなので、こちらで勉強しました。日本の昆虫1400 (1) チョウ・バッタ・セミ (ポケット図鑑)
日本の昆虫1400 (2) トンボ・コウチュウ・ハチ (ポケット図鑑)
掲載種数の多い図鑑です。トンボの見分け方が大変参考になります。◎ クモハンドブック
識別方法、網の張り方、観察頻度が書かれています。昆虫以外の節足動物に関してはこの本だけを購入しました。その他の節足動物は図鑑なしで勉強しました。
その他
最新 日本の外来生物
外来種は以上に紹介した図鑑に載っていない場合があり、この図鑑は大変重宝しました。解説が詳しいです。特定外来生物だけでも通読すると良いと思います。自然散策が楽しくなる! 日本の生きもの図鑑
メジャー種を把握するために購入しました。神奈川 いきもの図鑑
こちらの図鑑は受験決意前から持っていました。メジャー種を把握するのに役に立ちました。子どもに教えてあげられる 身近な樹木図鑑
子どもに教えてあげられる 散歩の草花図鑑
こちらの2冊は『わぴちゃん』の本です。2級共通問題や3級の植物問題に対応するために購入しました。2級取るなら、植物も簡単に押さえておきたいというのもありました。
読み物
読み物は分類学だったり、進化だったり、そういった知識を補強するのにも使いましたが、モチベーションの維持が第一目的でした。試験対策だけならば、1、2冊で十分かと思います。
※『○』がついているのは、Kindle電子書籍です。それ以外は紙の書籍です。
○ 昆虫はすごい
問題集・解説集
2020年度 生物分類技能検定 試験問題集 2級 動物部門
2022年度 生物分類技能検定 試験問題集 2級 動物部門
2級動物合格のための必須アイテムです。ただし、2級では過去問と同じ問題もしくは似ている問題が本試験で出題されることは少なく、100問あるうちの1、2問あるかないかなので、過去問だけを解けるようになってもさほど意味はありません。出題される種や出題傾向を掴むのに使用しました。2020年度 生物分類技能検定 試験問題集 3級・4級
2022年度 生物分類技能検定 試験問題集 3級・4級
2級合格には当然3級範囲を理解している必要があると思い、勉強初期に基本問題集として利用しました。なお、3級は過去問と同じ問題も多く出題されるので、3級試験対策としては過去問周回が有効です。改訂版 生物分類技能検定3級・4級解説集
2級動物を目指す方には不要かもしれませんが、生物分類技能検定唯一の公式参考書です。2021年度 生物分類技能検定試験問題集 2級植物部門
2021年度 生物分類技能検定試験問題集 2級水圏生物部門
他部門でどのような問題が出るのか、どうしても気になってしまい購入しました。水圏生物部門の過去問の中には、2級動物で出題されていない淡水魚問題もありましたので、そちらは勉強しました。植物部門のほうは、2級動物対策に活かすことができませんでした。
その他の参考書
スケッチで実験・観察 -生物の描き方とコツ
2020年まで実物問題にスケッチ問題があったため、こちらを読んでスケッチの練習をしました。改訂版 ビオトープ管理士資格試験公式テキスト
ビオトープ管理士の科目に『生態系』があるのですが、生物分類技能検定2級対策に役に立ちます。理科年表 2020
理科年表プレミアム ※サブスク
理科年表は紙の本ではなく、プレミアム (サブスク) の利用をおすすめします。過去の理科年表の記事やデータを参照でき、さらにデータをダウンロードできます。
ネット上の資料 (無料のもの)
ウェブページ
Wikipedia
生物の分類、植物、真核生物、学名、階級 (生物学)、昆虫、菌類、鳥類、哺乳類、陸上植物、標本 (分類学)、タイプ (分類学)、分類学、タクソン、クロロフィル、藻類、などなど、役立つ項目がたくさんあります。参考にした項目をあげたらキリがありません。国内希少野生動植物種一覧
2021年1月に、国内希少野生動植物種として39種が追加指定されました。
2022年1月に、国内希少野生動植物種として32種が追加指定されました。
避けては通れない資料です。環境省レッドリスト2020
環境省レッドリスト2020補遺資料
環境省レッドリスト2020の掲載種数表
環境省レッドリスト2020随時見直し評価種一覧
こちらも避けては通れない資料です。なお『補遺資料』には、ここ最近のサンショウウオの分類見直しに関し、それぞれの種の解説文が載っています。どの種をどのように分割したのかがわかります。特定外来生物等一覧
特定外来生物等一覧 分類群別一覧
特定外来生物等一覧 指定日別一覧
こちらも避けては通れない資料です。河川生物の絵解き検索
神奈川県版 河川生物の絵解き検索
県民参加型調査 調査マニュアル
水生生物、特にヤゴを識別するために参考にしました。日本産爬虫両生類標準和名リスト
日本産両生類は種数が少ないながら、近年のサンショウウオの分類見直しによる新種登録が多いので、こちらを参考にしました。TORI Quiz
鳥類の写真問題対策に利用しました。
動画
なるみん大自然ちゃんねる
生物分類技能検定に関するレポート動画があります。プロの勉強方法が紹介されていて、参考にしました。リード生物部ラジオ
生物分類技能検定に関する解説が動画になっています。こちらの動画のおかげで、ノーマークだった知識が得られ、本試験で1問正答できました。
ツール
AnkiとAnkiMobile
AnkiはWindows、Mac、Android、Kindle Fireなどで使用できるフラッシュカードアプリです。無料です。AnkiMobileはiPhone/iPad用で、こちらは有料です。試験対策において、Ankiなくして暗記は不可能といえるほどの必須アイテムです。ExcelとGoogleスプレッドシート
出題傾向の分析をしたり (例えば種が出題された回数など)、調査した内容を記録して、繰り返し見返していました。MindMup
こちらは元々マインドマップツールなのですが、ツリー表現の得意なツールでもありますので、生物分類を図式化するのに使用しました。下図は生物分類ではないですが、競馬のサイアーラインを表現するのに使用した例です。生物分類を図式化するのに使ったデータソースは、Wikipedia・理科年表・目録・出題傾向分析データなどです。これをKindle Fireに入れて、外出先で見ていました。
Vixen ルーペ メタルホルダー M20S 4309-01
Vixen ルーペ メタルホルダー MT19 4109-03
元々はスケッチ対策で購入したのですが、現在はお散歩時の蘚苔類・地衣類の観察などで使用しています。OLYMPUS 双眼鏡 8x21 小型軽量 防水 グリーン 8X21RC II WP GRN
鳥類観察のために購入しました。Kindle Fire / Kindle Paperwhite / iPhone / iPad
電子書籍の読者のみならず、PDF化した『まとめノート』やネット資料、MindMup、Ankiなどを入れて、外出時に持ち歩きました。
その他に活用したもの
近所の川・農道・野山・海
フィールドでの観察は大事です。川、田んぼ、草むら、森林、公園、海などで、意識的に観察していました。種も覚えるし、出現場所や時期も覚えます。冬にアカガエルの卵を発見、海もでカルガモが泳いでいる、あの黒いアゲハは分からないから後で調べよう、とか。水族館
淡水魚を中心に展示している地元の水族館 (相模川ふれあい科学館) に行き、生体を見て、解説を読んで、展示の写真を撮って、写真問題の対策をしました。
本記事では、私が使用した参考書・ツールを紹介しました。次の記事では、合格までに要した勉強時間と費用を書いていこうと思います。
その他の記事もご参考ください。