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2023年度生物分類技能検定の振り返り(1級/2級/3級/4級)

自然環境研究センターより2023年度生物分類技能検定の試験結果 (合格者数・合格率など) が発表されました。2級動物については問題を解いてみたものの、かなり難しく感じました。試験結果を見ながら2023年度の検定を振り返ってみたいと思います。
参考:2023年度の概要1級2/3/4級


生物分類技能検定3級・4級

合格者数:
・3級:625名 (前年629名)
・4級:675名 (前年648名)

合格率:
・3級:50.8% (前年51.6%)
・4級:75.4% (前年66.5%)

合格者の平均年齢:
・3級:27.5歳
・4級:22.4歳

4級の合格率が大きく上昇しました。今年の4級は比較的易しかったのかなと思います。4級申込者数・受験者数が2018年度以降で最も低かったので、生物に特に関心を寄せている受験生が多かったために合格率が上昇したのかもしれません。4級は合格平均年齢が22.4歳で、学生の受験生・合格者が多かったです。

3級は受験者数が過去最高でした。合格率が昨年と同程度でしたので、難易度も昨年と同等だったのかなと思います。3級の受験者・合格者も学生が多いのですが、社会人の合格者も多く、合格者平均年齢は27.5歳でした。X (Twitter) を見ているとみんな合格しているように見えますが、現実には2人に1人が不合格となってしまう難易度です。3級は4級より難易度が高い上にオールジャンルなので、苦手分野もある程度克服が必要になります。私も植物分野の理解が乏しいので、受験当時は覚えるのに苦労しました。

生物分類技能検定2級

合格者数:
・動物部門:22名 (前年24名)
・植物部門:15名 (前年23名)
・水圏生物部門:11名 (前年6名)

合格率:
・動物部門:4.2% (前年5.0%)
・植物部門:7.1% (前年11.2%)
・水圏生物部門:7.2% (前年3.7%)

合格者の平均年齢:
・動物部門:32.0歳
・植物部門:32.3歳
・水圏生物部門:34.5歳

動物部門受験者にとっては悲報ですが、昨年大きく合格率が下がったのに、今年はさらに低下して、受験者518名に対し合格者22名、動物部門では過去最低の合格率4.2%という更なる難化をしています。植物部門は2022年に合格率が高かった反動からか、合格率が大きく減っています。逆に水圏生物部門は2022年度が難しすぎたので、2023年度は合格率が少し上昇しています。総合すると、2級全体としての合格率は5.4%で過去最低値でした。

私も2023年度2級動物部門の問題を解きました。共通問題と写真問題は標準的な難易度と感じましたが、全体的にはとても難しかったです。少し出題傾向が変わったと思えたのが専門問題の鳥類出題数が10題から11題になりました。2021年にCBT試験に移行してから、各分野ごとの出題数に揺らぎがみられます。

2級動物部門の直近3年の分野別出題数

それから観察問題です。観察問題 (旧実物問題) には2021年・2022年と種名の記述問題がありましたが、全問が選択式になりました。また鳥類ではなく昆虫からの出題に戻りました。

生物分類技能検定1級

合格者数:
・哺乳・爬虫・両生類専門分野:4名 (前年5名)
・鳥類専門分野:4名 (前年7名)
・魚類専門分野:2名 (前年2名)
・昆虫類専門分野:4名 (前年4名)
・植物専門分野:2名 (前年2名)
・浮遊生物専門分野:1名 (前年1名)
・遊泳生物専門分野:受験者なし (前年受験者なし)
・底生生物専門分野:3名 (前年1名)

合格率:
・哺乳・爬虫・両生類専門分野:44.4% (前年55.6%)
・鳥類専門分野:80.0% (前年77.8%)
魚類専門分野:14.3% (前年15.4%)
・昆虫類専門分野:36.4% (前年44.4%)
植物専門分野:11.1% (前年18.2%)
・浮遊生物専門分野:25.0% (前年100%)
・遊泳生物専門分野:受験者なし (前年受験者なし)
・底生生物専門分野:37.5% (前年100%)

合格者の平均年齢:35.6歳

1級は受験者数自体が少ないため、数値の大小比較を何ともし難いのですが、過去と同様に他の部門に比べて魚類専門分野と植物専門分野の合格率が低めでした。合格者の平均年齢は昨年と比べると 40.5歳から35.6歳に低下していました。(母数が少ないので、大きく数字が動いてもあまり参考にならないですね。)

昨年の情報は以下の記事から見られます。



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