夏の夜の夢日記2024①
7/31
河童になった。
なぜだかわからないが、今住んでいるところを離れて、山向こうの池に移らなければならない。家族はいない。荷物も大して無い。
旅をする間は、人間に見つからないように気をつける。特に子供に見つかると厄介で、捕まったりなんかしたら遊ばれたり、吊し上げられたりするかもしれない。そして干からびて死ぬ。そういう風に教わった。
だけれど道中には水辺が少ない。近代化の影響である。身体を乾かさないようにするためには定期的に水を浴びなければならないので、それではどうするのかというと、こっそり人の家の水道にお世話になりにいくのだ。
途中、その家に住む少年に見つかりそうになったときはひやひやしたが、彼の妹がわたしの存在を察して少年の注意を逸らしてくれたおかけで、なんとか助かった。
雨が降るととても気持ちが良くて、車通りのない道路に寝転がって遊んだ。
8/1
羊の群れとか。
8/2
忘れた。
8/3
水鉄砲は、どうして水を吸い上げられるのか?
教室で、水を張ったビニールプールと腕の長さほどの注射器のような水鉄砲を用意し、実際に試してみる。取っ手を押し込んでから水鉄砲の先を水面につけて、取っ手を引っ張れば、確かな重さと共に筒の中を水が満たしていく。
なぜこんなことが起きるのかといえば、筒の中が真空だからだ。そうなんだ。
取っ手の重さは空気の重さだ。そうなんだ。
水圧と気圧の授業を受け終えると、我々は同時に一学期の課程も終えたことになり、夏休みに入るのらしい。家に帰るから、学期中に滞在していた部屋を片付けて荷物をまとめる。
その部屋の壁や床には、青や赤のタイルが所々に使われていた。部屋全体がスペインの飾り皿のように、白を基調として、原色の細やかな装飾が散りばめられてあった。自宅の部屋とは違う雰囲気で、わたしはこの部屋をよく気に入っていたから、離れるのが寂しい。けれど、もう出発する時間が迫っているから、急いで準備をしなければ。テレビが点いている。
8/4
少年に数学を教えている。知らない家で、図書館にあるような大きな長テーブルの端をL字に囲み、わたしは少年がノートに計算式を書いていくのを覗き込んでいる。
コンビニで新しい味のシュークリームか発売されたらしい。父がうきうきで買ってきたが、辛くて食べきれないらしく、ひとつ貰うことにした。紙のバスケットに入ったプチシュークリームを手に取って口に入れる。周りがチョコレートでコーティングされ、中にはからしとカスタードクリームを混ぜたものが入っていて、食べられなくはないけど2つ目はいらない味だった。クリームがざらざらしている。
同期と話しながら階段を下っている。踊り場の一面の窓の外は夜で、もうすぐ消灯の時間がくるようだ。外が暗いから、窓ガラスに照明とわたしたちの姿がよく映っている。
8/5
高原から、パラセールでサルガイシ川とコガラセ川との合流地点に向かって滑空する。
「Y」の字の谷間にあたる川縁にたどり着くと、丸い小石の堆積の中にいくつかの石像があることを確認できた。膝の高さほどのものが3体、同じ大きさに見えて半分ほど砂利に埋まっているものが2体くらい。
8/6
朝起きた。キッチンへ移動し、鶏もも肉の照り焼きと豚肉のソテー、フレンチトーストを作る。
食パンは6枚切りの2枚残っているのとまるまるひと袋があって、先に空いている2枚の方を取り出したら、それは耳のないものであった。フレンチトーストを作るには、卵液が均等に染みるのでちょうどいい。
レタスもちぎる。
すべて完成してお皿に盛り付けてみたら、肉料理が2品になってしまっていることに初めて気がついた。多分食べきれないな〜。
場所が変わって、木の根がぼこぼこと地上に露出している、土の坂道をローラースケートで滑っている。これでも整備されたコースで、なんかのカリキュラムのために訓練を受けているのらしい。
かなり急な下り坂もあるが、ローラースケートにブレーキがないからかなりのスピードが出る。その上、足元が根に引っかかり若干浮遊することもあって、怖い。
一応、踵の後ろに突起があるので、それを地面に擦ることで止まれるという仕組みではあるのらしいが、摩擦の感覚を想像してみると、大人しく慣性に従っていた方がまだ耐えられそうなのだった。
8/7
未明。
商業施設の開店にはまだまだ時間があるが、外もないし、シャッター街のようになっている施設内で、唯一夜通し開いている本屋で過ごすことにした。
バイオリン色の壁がおいしそうに光沢を纏っている。
本屋には、朝までの行き場のない人が子供から大人まで大勢いた。
8/8
街中のユニクロの店舗を巡って、合計30箇所の立て看板を調査せよ、とのことである。
当然、親しみのない街のはずなのだけれど、偶然にも先日バスでこの辺りの道を通っていたらしい。気が付けば、なんとなく見覚えのある橋をローラースケートで駆けていた。なんと、駆動機付きで速い!
この先、道は2回右折して更に1回左折して、繁華街の方面に向かう。
件の立て看板は、各店舗の入口ごとに設置されているのだという。合計30箇所というと多いけれど、店舗数は10店ということだから、そんなに多くはない。いや、多いよ。
バインダーを抱えて、チェックシートに項目を書き込みつつ、まず2店舗ほど回り終えたところ。
引き続き繁華街を歩いていると、白地に赤文字が用いられた正方形の看板が見えた。
そちらの様子を伺ってみると、そこはユニクロではなく、看板の雰囲気が似ているだけの洋食店であった。さらに覗いてみると、店内は数組の客が入っていながらも、ひんやりとして落ち着いている。ずっと外を歩いていたからか、中は暗すぎるようにも思えた。
顔を突っ込んで何も食べずに店を出るのも失礼なので、仲間と共に3人で席について案内を受ける。頼んでないけど、知らぬうちに、わたしにはフライドポテトともうひと皿(忘れた)が用意された。フライドポテトは平皿に盛られていて、パセリがかけられていた。
シェフの女の子もわたしたちの座っているテーブルにやってきて、一緒にご飯を食べた。
もうそろそろ食べ終わるというところで、自分が今、研修旅行の班行動の最中であることと、このお店が今夜行われる全体レクチャーの会場であることを思い出した。
本来ここへ来るはずの時間よりも随分早く来てしまったのだが、わたしが今食べたのは今夜食べる予定の分だったらしい。だから注文を取られなかったのかと合点がいき、同時に悲しくなった。まだ14時なのに、夜ごはんをもう食べてしまっているなんて……。
8/9
畑とか。