【豊かな海のまもり方④】 七夕の日に迎えるシーフードレガシー創立記念日
皆さん、こんにちは。
シーフードレガシー代表取締役CEO 花岡和佳男です。
7月7日の七夕は、たくさんの人々が願いごとを短冊に記し、星にお祈りをする日。皆さんはどのようにお過ごしになりましたでしょうか。
シーフードレガシーは、2015年のこの日に創立し、今年、無事に9回目の創立記念日を迎える運びとなりました。
2015年の七夕で短冊に記した願いごと
創立年、私は短冊に「『生命力あふれる海が身近にあり、海に関わる全ての人が笑顔と活気に包まれ、未来に希望の明かりが灯る世界』が実現しますように」という願いごとを記しました。
ボルネオで共に過ごしたマングローブ民や、これまでに訪れた日本各地の漁村に、活力あふれる若い後継希望者が列をなし、地域社会が繁栄していく様をイメージし、それを短冊いっぱいに書き込んで、小さな七夕祭りの笹にかけました。
パラダイムシフトの幕開け
その言葉はそのままシーフードレガシーのビジョンとなり、「海洋生態系・水産経済・地域社会の繋がりを象徴する水産物(シーフード)を豊かな状態で未来世代に継いでいく(レガシー)こと」というパーパスや、「社会課題と当事者意識を共有する多様なステークホルダーが輪(和)を生み重なりあって解決策を共創する様」を示すロゴや、「市場変革を軸足に、規制改革との二足歩行を回す」というセオリーオブチェンジなど、私たちのコアバリューを構成しました。
会社創立の2ヶ月後には国連サミットでSDGsが採択され、潮流を確信しました。その2ヶ月後には「魚から考える日本の挑戦」を旗印に初めての東京サステナブルシーフード・サミット(当時はシンポジウム)(TSSS)を開催し、世界中の水産物が集まる日本市場で、サステナブルシーフード・ムーブメント新時代の幕が開きました。
9回目の創立記念日を迎えるにあたり
加速するムーブメント
以来、水産分野における環境持続性や社会的責任を追求する数々のイニシアチブが大手川下・川中企業を中心に相次いて立ち上がり、流通や水産事業会社だけでなく、I T企業や金融機関もその輪に加わるようになりました。
また、70年ぶりの大改正を遂げた漁業法には「水産資源の持続的な活用」が初めて目的に記され、その2年後には、IUU漁業リスクの市場流入を阻止すべく水産流通適正化法がアジアで初めて日本で成立しました。
単なる外圧対策ではない、これまでと比較にならないほど自発的で本質的で未来志向なサステナブルシーフード・ムーブメントが、多くのステークホルダーの皆様の努力および協働により、紡ぎ合わされてきました。
それでも世界の水産業界に蔓延し続ける闇
しかし依然として、世界の水産業界では、IUU漁業が水産資源状態を悪化させ、人身売買や奴隷労働等に代表される労働者の人権侵害が蔓延し、産業全体の今と未来をブラックなものにしています。
加えて、不安定な世界情勢、いつまたパンデミックが起きてもおかしくない状況、気候変動に伴う異常気象や生態系変化など様々なリスクが、この業界とそれに依存する世界中の市民の未来に、暗い影を落とし続けています。
闇を晴らす力を……!
日本の水産業を国際社会課題の解決産業に
世界3位の水産物輸入市場国である日本の強大な調達力・購買力は、世界各地の生産者に環境持続性や社会的責任を追求するための、インセンティブを提供する力を備えています。
また、世界6位の大きさの排他的経済水域を持つ日本の漁業や養殖業は、飢餓と資源争奪の世界シナリオを書き換え、世界的な問題を解決する産業になる、大きな可能性を持っています。
これらのポテンシャルの最大化が、私が9年前にシーフードレガシーを日本で創立した理由です。
日本の水産業を、国際社会のこれからの繁栄における基幹産業にしたい。その貢献を通じて、新たな日本のアイデンティティを国際社会に浸透させたい。
その想いは、9回目の創立記念日を迎え、ますます強いものになっています。
2030年目標の達成を目指して
2024年のシーフードレガシーの立ち位置
シーフードレガシーは今年1月、「サステナブルシーフードを日本の水産流通の主流に」という2030年目標を掲げました。今の私たちの事業や活動はすべて、この2030年目標からのバックキャストにより行われています。
また、社員数増加に伴い、7月末にはオフィスを引越します。これを機に、自社における林産物と水産物の購買方針を策定し、サステナビリティ推進企業としての取り組みをさらに明確にしました。
そして、今年10月には、アジア最大規模のフラッグシップイベントに成長した東京サステナブルシーフード・サミット(TSSS)の、節目となる10回目の開催を控えています。多くの参加者の皆様と共にこれまでのムーブメントの10年史を振り返り、進捗を確認・祝福し合うと共に、この2030年目標を共有し、達成に向けたロードマップを描きたいと思っています。
皆様と共に
今年もこうやって創立記念日を祝い、志を再確認できること、ひとえにお世話になっている皆様のおかげです。有難うございます!
この先も初心を忘れず、道を照らしてくださる多くの先輩方や、共に歩んでくださるたくさんのパートナーの皆様に深く感謝して、2030年目標に向け、たゆまず精進を続けてまいります。
今後ともなにとぞご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
そして最後になりましたが、皆様が今年の短冊に書かれる願いごとが叶いますよう、心よりお祈りしております。