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スポーツ心理学 - Motivation
スポーツをしている身として自分ごとに感じられたモチベーションについての授業。
*心理学では 'Motivation' は「動機づけ」とされるらしいのですが、このnoteでは「モチベーション」としています。
モチベーションとは?
そもそもモチベーションとは何なのか。
授業では「Motivation is the direction and intensity of effort」
とシンプルな定義が紹介されました。
モチベーションは、個人の特徴(性格、興味、目標など)と環境(指導者、チームメイト、施設、チームの強さなど)の相互作用によって決まると考えられています。
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Intrinsic Motivation & Extrinsic Motivation
Intrinsic motivation (内発的モチベーション) は、個人の願望や好奇心など、個人の内側の感情から起こるモチベーションのことです。
Extrinsic motivation (外発的モチベーション) は、報酬や罰則などの外部の力や条件によって起こるモチベーションのことです。
成功(失敗)体験、大会や試合の重要さ、指導者の行動などの社会・環境的要因と個人の心理的要因が内発的モチベーションに影響されると言われています。
ある研究では、内発的に取り組んでいた活動でお金などの報酬を得ると、その活動に対するその人の内発的モチベーションを低下させる可能性があることが発見されています。
Achievement Goal Theory (Nicholls, 1989)
Achievement Goal Theory(達成目標理論)は、個人の成功に対する '解釈' がモチベーションや行動に影響するという考え方です。
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'成功' が何を意味するかは人によって違い、大きく2種類 (+Social goal orientation)に分類されます。
① Ego (performance) goal orientation
他者に勝つことや、他者より良いパフォーマンスをすることを重視。
② Task (mastery) goal orientation
自身の過去と比較してより良いパフォーマンスをすることや、新しい技や知識をマスターすることを重視。
High Achievers vs Low Achievers
これは、モチベーションの根源が「成功を収める」ことにあるか「失敗を避ける」ことにあるかを説明しています。
【High Achievers】
・Mastery goalsや個人の成長を重視
・利益や報いに向かって努力・行動する 'Approach goals' を重視
・成功の原因=個人がコントロールできる内的要因
・失敗の原因=個人がコントロールできない外的要因
・困難に挑戦することを好む
・他者から評価される環境でいいパフォーマンスを発揮する
【Low Achievers】
・結果や Performance goalsを重視
・失敗自体や失敗による恥を避ける 'Avoidance goals' を重視
・成功の原因=個人がコントロールできない外的要因
・失敗の原因=個人のコントロール内の内的要因
・困難を避ける、簡単なタスクか極端に難しいタスクを選ぶ
・他者から評価される環境下ではパフォーマンスが下がる
↓授業内で行った High achiever / Low achiever 寄りかのテスト↓
Achievement Goal Theory - 2x2 Framework (Elliot and McGregor, 2001)
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このフレームワークは、Achievement goal theory をベースに、
Mastery-approach(自身の能力向上を目指す)
Mastery-avoidance(無能だと思われないことを目指す)
Performance-approach(他者より良いパフォーマンス・結果を目指す)
Performance-avoidance(ビリにならない、他者より悪いパフォーマンスをしないことを目指す)
という4つの目標志向を説明したものです。
Self-Determination theory(Deci and Ryan, 2000)
Self-Determination theory(自己決定理論)とは、モチベーションとパーソナリティに対する理論で、以下の生得的な3つの心理的欲求に焦点を当てています。
① Competence(有能性)
自分には十分な能力があると感じられて、その能力を表現する機会があること
② Autonomy(自律性)
自由に自己決定できる、主体的に行動できると感じられること
③ Social Connectedness / Relatedness(帰属意識 / 関係性)
周囲の人を気にする気持ちと、周囲の人からも気にかけられているという繋がりを感じられること
この理論では、モチベーションがない状態からモチベーションに溢れている状態までのフェーズが説明されています。
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フェーズは6段階あって、モチベーションが全くない第1段階、外発的モチベーションによる第2〜第5段階、内発的モチベーションによってやる気に満ち溢れている第6段階に分かれています。
最後に
今回はモチベーションについての授業まとめでした。
次のスポーツ心理学のまとめはモチベーションとも関係が深い「目標設定」についてになります。
長くなりましたが何か学びがあったら嬉しいです!