Museum für Gestaltung Zürich|チューリッヒデザイン美術館
SEA SONS PRESSはブックフェア参加のためチューリッヒに滞在しました。本日はその間に訪れた Museum für Gestaltung Zürich(チューリッヒデザイン美術館)をレポートします。
ここはスイスを代表するデザインミュージアムで、1875年に設立されました。美術館は二つの建物に分かれており、今回訪ねたのはその内の一つ。
ここは1933 年、Neues Bauen(新しい建築)という建築運動の中で、スイスの建築家Adolf Steger & Karl Egenderによって設計されました。〔→資料〕
Posters by Celestino Piatti
Celestino Piatti (1922-2007) はスイスのグラフィックアーティスト。大らかな筆遣いと色彩がとても美しいです。一見すると大胆に描かれて見えますが、その形と色彩には、非常に考え抜かれたものがあります。
Queens of their Discipline – Posters by Women Designers
ここからは、女性デザイナーたちの手がけた国際ポスター展。
オランダのブックデザイナー Irma Boomが手がけた、この美術館の収蔵品展のポスター。見慣れたピーラーがまるでドローイングのよう。
こちらはLily Boesigerによる、Le Corbusier(ル・コルビュジエ)の展覧会のポスター。シンプルな図形の重なりに、空と建築が見えてきませんか?
ロシア構成主義を代表する、Aleksandr Rodčenko(アレクサンドル・ロトチェンコ)のデザインを利用したポスター。時代の風を感じます。
Kieler Wocheは、ドイツ・キールで開催されている世界最大の帆船イベント。シンプルな色面と線で、ダイナミックに波と帆の両方が表現されています。大胆な余白は日本画にも通じて見えますね。白に見える部分は、実物では銀色でした。
ドイツ・ベルリンで開催された独立女性協会 (UFV)の大会のポスター。強い黒づかいで、ドイツ表現主義版画の流れを感じる一枚。デザインもイベント内容も、とてもドイツ的だなと思います。
「パンクのゴッドマザー」ニーナ・ハーゲンのポスター。旧東ベルリン出身で、メルケル元首相の退任式で演奏された“Du hast den Farbfilm vergessen”(カラーフィルムを忘れたのね)が記憶に新しいです。ブラスバンドによる演奏は感動的でした。
Workshop Room
館内にあるワークショップルーム。ここで何が生まれるんだろう?とワクワクする空間でした。
建築のこうした細い鉄格子や古いガラス、無骨なペンキ跡が、1930年代の雰囲気を醸し出しています。こうしたモダニズム建築を訪れるといつも、空間の記憶がとても長く残ります。(噛めば噛むほど味が出る)
遊びを通じてデザインのプロセスを学ぶワークショップ、Design Kids Club。これらの模型の中に、デザイン的な思考が息づいています。
幼い頃からこうした物に親しむ文化が、スイスデザインを生み出す秘密なのかもしれませんね。
6 Rooms x 6 Positions
現代スイスを代表する6人のデザイナー監修による、6つの部屋。
3つのマリオネットはSophie Taeuber-Arpのデザイン。その独創的な造形に魅了されました。
Collection Highlights
コレクションハイライト。スイスデザインの名作たちが並びます。
彫刻家・おもちゃデザイナーのAntonio Vitali (アントニオ・ヴィターリ)。彼の木製玩具は、シンプルでやわらかなフォルムが特徴です。非常に単純化されたその形は、子供だけでなく、大人の想像力にも働きかけてきます。
いかがでしたか?清潔で知的、そして優しいスイスデザインの世界を感じていただけたなら嬉しいです。
チューリヒに訪れる際は、デザインに興味のある方もない方も、ぜひ一度訪れてみてくださいね。
…それでは、最後までお読みくださりありがとうございました!