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>> プロローグ まだ寒さが残る初春 独立して念願であった自分の店を 開業して2年目 いつものように仕事を終えて 車で帰宅しようと 駐車場から出て裏道を走り始める もう薄暗く日も落ちかけていた その時 前を走っていた車の動きに違和感を感じた ゆっくり徐行スピードに落として 辺りに目を凝らす 道の真ん中に白っぽいものがうごめいている ビニール袋かと思って 通り過ぎようとしたとき ”茶虎の猫” だとわかった ぶつからないように 避けるのが精いっぱいだった 4本
あなたからもらった 仮想のダイヤの花束を 現実で ”形” にしたの それはとても甘くて 歪んだ香りがした ***
あなたの捻じれた恋愛観を わたしの歪んだ愛で ほどこうとした ますます絡み合い お互いの首を絞め合った ***
眩い光に群がる無数の夏の蛾 払っても払っても ひらりと再び舞い戻る どれだけ強く輝こうが 太陽の下を飛ぶ蝶は 絶対に近づくことはないのだから ***
明るくて前向きなあなたに 歪んだ愛は似合わない 捻れた恋も似合わない どうかこの一年の出来事は 現実から切り離された ゲームの世界だったと 夢の中に押しやって 大学で 社会で 素敵な恋愛 見つけて欲しいの 一途にずっと ひとりの人を愛せた事って 中々幸せだったよ そういう幸せを あなたには感じてもらいたいと 願う ***