ずっとは一緒にいられない
実家へ帰った。
いつぶりだろう。自粛ムードも収まりどきなのか、改札付近ではスマホと向き合いながら誰かを待っている人達がちらほら見える。
バイト先でもらったワタリ蟹をせっかくだから実家で味噌汁にしようということになって、予想もしない形で帰ってきている。
母と何気ない話をしながら車で家へ向かう。
2匹の犬が出迎えてくれる。
父と酒を飲む。
祖母と本を貸し借りする。
朝方まで話し込み、昼すぎまで眠る。
「ライ麦畑でつかまえて」をバックに入れて家を出る。
そうしていつもの日常へ戻る。
暖かいなぁ。
時間にすると実家にいたのはせいぜい15時間程度だろうか。
それでもあの場所は暖かすぎてこれ以上長居すると泣いてしまいそうだった。
自分を心配してくれる大切な人達に心配はかけられない。
人を頼るというのはつくづく難しいと思う。
一人暮らしのアパートへ帰ってきた。
ここは狭い。
息苦しい。
それでもしみじみ思う。
ひとりでいないと、私は息ができない。