夫を好きになった理由
夫は私と正反対だ。
私が好きな友情や家族愛などの人情ものや恋愛映画を全く観ないし、
私が読む現代文学や女流作家のエッセイ、自己啓発本なども全く読まない。
代わりに夫はアニメやアクション映画を観て、
ノベライズやレシピ本を読む。
夫は基本的に感情的にならない。
私は弱っちい私が嫌いだったから、自分に似た異性が嫌いだった。
優しい=弱いと紙一重だと思っていたので、
簡単に弱音を吐かない彼に魅力を感じた。
私は若いころからいつも何者かになりたくて、夢を叶えてみたくて、
でも確固たる夢や目標を見つけられなくて、叶えられもしなかった。
(税理士試験は専門学校に行き、10年以上勉強している4,50代のおじさま達を沢山見てきて、これは人生をかけて取り組む課題なんだと感じ、
そこまでの気概がなくて、諦めた)
夫は高校生の頃から道を作るという夢があり、
それを見事今は生業にしている。
そんな私が出来なかったことを叶えてる夫を見て、
私は応援したい!なんて素敵な人生なの!と思った。
私は人の顔色を見て、言うことを変えてしまったりする。
ん?違うんじゃない?と思っても、相手や相手の機嫌を見て、
言うのを止めてしまったりする。無駄な敵は作りたくない。
しかし夫は、自分の意見をしっかり持っていて、自分という軸が
しっかりしていた。
もちろん嫌なことは嫌というし、何なら論破してやるという勢いだ。
でも付き合ってる頃の私にもお店の人や一般ピーポーにも
それを出すことはなかった。やっぱり彼も基本的には
無駄な敵は作りたくないらしい。
夫は誰もが知る大企業で社会的に成功していて、
会社でも頼りにされているようだ。
そんなところも魅力だった。
私は自分の仕事ぶりにそこまで自信を持てなかったから。
そして、両親や友人に紹介するときに見栄を張れるという
点も重要だったかもしれない。
それから、少し理想より太ってはいたが、
がっちりしていて、身長もそれなりにある理想の体型。
そして、私好みのくま顔だ。
目が細くなくて、誰が見ても
優しそう。と言われる顔だ。
まさに私の好みど真ん中だ。
少しだけ似ているところも、それから全く似ていないところも
全てが彼を愛する要素になった。
似ているところは似ている要素がある!嬉しいな!だったし、
似ていないところはだからこそお互い補えあえるんだって
思ってた。
彼は大人になってから初めて内面まで好きになった人だ。
付き合っていた期間も8か月だけど、私の中では今までで最長記録だ。
だけど、それでも結局は彼の一面しか見れていなくて、
そんな大好きな彼の隣に、違う一面があったのだ。
しばらくは現れてはこなかったけれど。
私は恋愛が大の苦手だった。
男性の考え方はよく分からないし、
自分が好きかもと思った人には好かれないし、
かといって好きと言われた人は好きになれなかった。
それに何より傷つくのが怖かった。
私は弱い私の心を必死に守っていた。
だからこうして結婚できたことも奇跡だとは思っている。
自分が好きだと思った人と結婚できた!
離婚が目の前にある今では
至る所で自分の経験値のなさを恨めしく思ったりするけれども。
でも結婚して幸せだった日々は誰にも消せないし、
ありふれた言葉だけれど、かけがえのない宝物だ。
そして、自分の課題はやっぱり自分で解決しないといけない。
夢は夫が叶えるのではなく、自分で叶えるべきものだ。
私の中にも今、色々な夢が浮かんでいる。
それを叶えられるどうかは分からないが、
努力は出来る。
今度こそ、叶えてみせる。