50年続く老舗CTOになるということ。
はじめに
株式会社ハマヤでCTOをしている若井(@se_kamo)です。
これは CTOA Advent Calendar 2020 の22日目の記事です。
昨日は株式会社エウレカCTO kaneshinさんでした。お疲れさまでした。
22日目のバトンを受け取りましたので、ざっと書かせていただきます。
元々はデジタルマーケティングのベンチャーでエンジニアとして働き、そこから京都で50年続く卸問屋に入社しまして、色々とDX改革を行ってきました。
今となってはエンジニア70名以上と働くようなIT企業にはなってきましたが、入社当初はそんなことなく、むしろ、これぞアナログ企業というような状態でした。
その中から活路を見出して、今に至るまでに老舗CTOスキルとして必要だなと思ったことをたらたらと書いていきます。
老舗CTOが必要なもの
いくつかあるのですが、あえて1つに絞ると、
「ITの可能性をみせる力」かなと考えてます。
そもそも老舗の性質として、
ITに理解がない、ITに予算がでない、ITに詳しい人がいない の三拍子なことが多く、そこを理解した上で進める必要があります。
ITを理解してもらうには、ITで結果を出すしかありません。
その手段がDXでしたので、そのあたりを自身の体験談にのせて書いていきます。
ざっとしてきた流れとしては、
会社全体の把握する → 時間を空ける → 事業を作る です。
会社全体を把握する
老舗企業には経営方針が定まってない、帳簿がちらかっている、ガバナンスがない みたいなところが多く、言ってしまうと本質を見抜くのであれば、初めに会社の全体を把握する必要があります。
把握するとなると、会社全般に関わることは知っていて当たり前の状態になり、最初の頃は経営/会計/法律/業界 などの本や記事を読み漁り、なんとか理解するところまでもっていきました。
内部を調べていくうちに具体的には書かないですが、利益をあげていく必要があるとわかりましたので、そこを改善していくことにしました。
ただ利益改善施策を行うには、時間があきらかに足りないことがわかりました。
これも老舗企業でよくあることではあるのですが、今の業務で手一杯、他のことをするのに余裕がないということです。
そのため、取り急ぎとしては、"時間を空ける"ことに注力しました。
時間を空ける
"時間を空ける"となると、誰の時間をどのくらいあけると新しい取り組みに時間を使えるのかが重要になってくるので、そのあたりを計算しました。
流れとしてキーマンの時間をあけるには、誰かの仕事の時間をあけて、
その人に仕事を回すみたいなことをしないといけないので、
結果的に現場のことを把握するため、全事業部とヒアリングを行いました。
当時は 代表、役員、営業部長、経理部長、EC事業部長、管理部門長とヒアリングを行い、また、現場調査も行い状況をまとめました。
これも老舗あるあるではあるのですが、
"長年残っている人を尊重する文化"があり、
当時は平均年齢50代後半という驚異の平均値だったこともあり、
かなり気を使いながらヒアリングを行いました。
どういう悩みがあり、どういう風に伝えるとトゲがないのか、
どうすれば気持ちよく話せるのか、どうすればその人を立てれるのかを考えながら、進める必要がありました。
ヒアリングの上で下記の制約があることがわかりました。
・ITに予算はでない(代表、役員)
・パソコンがわからないのでわかりやすくないと使わない(経理部門、営業部門)
・会社外でも使いたい(営業部門、EC部門)
まず0円ができることを考え、かといっても時間がたってしまうとあきられてしまうみたいなところがあったので、半年で要件を満たした業務アプリをいくつか開発し、結果的に年間5760時間の空き時間の創出に成功しました。
次に利益を出すために"何をやるか"という壁にぶちあたりました。
事業を作る
"何をやるか"なのですが業態としての仕事は費用帯効果が悪いことが多く、新しい何かが必要でした。
色々と検討した結果、5760時間を創出した実績をもとに中小企業にDXを提供することが自社の強みを活かせ、費用対効果もいいということで社外DX事業を踏み出すことになりました。
ただ問題が発生し、成果が出るかどうかわからないものを事業するのには抵抗があるとなりました。
こちらも先に結果を出すしかない、ただ営業かけるにも予算がないのでインバウンド的な広告を出すこともできず、ドブ板営業も効率が悪かったです。
試行錯誤の上、効果が良かったのがイベントへの登壇活動でした。
年間20以上の登壇を行い、各イベントで実績をみせると、様々なお客様から連絡がくるようになり、受注残で別事業部をしのぐ利益をだすことができました。
そのときに起きたこととしては、エンジニアが足りない、
でもまだかかえることはできないので、業務委託をマネジメントして、仕事をうけていくという方向をすすめ、今では70名を超えるエンジニアと仕事をしています。
その結果、新規事業の承認がおり、正式に事業部を設立することができました。
今では会社全体がITに対して前向きであり、ある程度の投資ができるようにもなりました。このあたりは様々な形でITの可能性をみせてきたからかなとも思っております。
まとめ
まとめになるのですが、老舗CTOになるには、
「ITの可能性をみせる力」が1つ重要なスキルになってくるのかなと考えてます。
最短で結果をだして、ITの魅力を知ってもらい、その上でどのようなビジネスに消化できるかまで考えれると、よりいいのかなとも思っています。
弊社含め様々な老舗企業にDXサポートをさせていただいておりますが、そのあたりの人材、すなわち社内IT人材(特にCTO/CIO)の不足を感じております。
日本の外注文化がそうさせているのはわかっているのですが、そこがITの進化についていけない会社を創出しているのは事実かと思います。
そのあたり含めて、中小企業のITリテラシーを底上げしていきたいという志でCTO協会に賛同しております。
CTOかつ協会のビジョンに共感された方はぜひご入会ください。
普段ではなかなかお話できない方とお話できる機会などもあります。
それでは皆様、良いクリスマスをお過ごしください。